表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王はこの中にいる  作者: 南蛇井


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

48/63

⑪ だが違和感(超重要)

連行されていく魔導士の背中が、扉の向こうに消えた。


 


重い音を立てて閉まる。


 


それで――


 


すべてが終わった、はずだった。


 


 


誰かが、安堵の息を漏らす。


 


「……解決、か」


 


 


その言葉に、何人かが小さく頷いた。


 


理屈は通っている。


 


犯人も捕まった。


 


 


もう、考える必要はない。


 


 


――普通なら。


 


 


 


(……違う)


 


 


神谷は、一人だけ動かなかった。


 


 


視線は、閉じられた扉に向いたまま。


 


 


(成立しすぎている)


 


 


頭の中で、もう一度、事件をなぞる。


 


 


転移魔法。


 


条件発動。


 


座標固定。


 


 


理屈としては、完璧だ。


 


 


(完璧すぎる)


 


 


わずかに、眉が寄る。


 


 


あの精度。


 


あのタイミング。


 


 


「偶然」で片付けるには、整いすぎている。


 


 


(ピンポイントで成功している)


 


 


被害者が入室した瞬間。


 


 


誤差なく、急所へ。


 


 


(そんなに都合よく決まるか?)


 


 


ほんのわずかなズレで、失敗するはずだ。


 


 


それなのに――


 


 


(成功している前提で、話が進んでいる)


 


 


違和感。


 


 


さらに。


 


 


(証言も、綺麗すぎる)


 


 


「誰も入っていない」


 


「一人だった」


 


「結界は正常」


 


 


すべてが、噛み合っている。


 


 


まるで――


 


 


(“そう見えるように”揃っている)


 


 


 


神谷の思考が、ゆっくりと沈む。


 


 


(タイミングも完璧だ)


 


 


目撃。


 


入室。


 


発動。


 


発見。


 


 


どこにも、ズレがない。


 


 


(こんなに“綺麗に決まる事件”があるか?)


 


 


現実は、もっと雑だ。


 


もっと曖昧で、もっと崩れる。


 


 


なのに、これは――


 


 


(出来すぎている)


 


 


 


ふと。


 


 


第2話の光景が、頭をよぎる。


 


 


食い違う証言。


 


 


そして――


 


 


“全員が本気で間違っている”という事実。


 


 


 


(もし)


 


 


そこまで考えて、止まる。


 


 


 


(……いや)


 


 


首を振る。


 


 


まだ、繋げるには早い。


 


 


証拠がない。


 


 


だが。


 


 


 


(何かが、整えられている)


 


 


 


静かに、確信だけが残る。


 


 


 


解決したはずの事件。


 


 


その裏側に――


 


 


 


“完成度の異常さ”だけが、取り残されていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ