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魔王はこの中にいる  作者: 南蛇井


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⑫ ラストモノローグ

部屋は静まり返っていた。


灯りは小さく、影が壁に揺れている。


神谷は、立ったまま動かなかった。


机の上には、閉じられた記録。


もう開くことはない。


――少なくとも、今は。


視線を落とすこともせず、


ただ、そこにある“存在”だけを感じている。


(知れば知るほど、壊れる)


思考は、冷静だった。


感情は揺れていない。


だが、その結論はあまりにも明確だった。


証言は歪む。


認識はズレる。


思考は壊れる。


そして――


記録すら、変わる。


(なら――)


問いが浮かぶ。


避けることはできない。


(どこまで知るべきだ?)


踏み込めば、壊れる。


だが、踏み込まなければ、


何も分からない。


神谷はゆっくりと目を閉じた。


暗闇の中で、


あの文字が浮かぶ。


『魔王はこの中にいる』


(止まるか)


それとも――


(進むか)


選択の形をしているが、


実際には違う。


神谷はすでに理解している。


この問いには、意味がない。


なぜなら――


神谷は、ゆっくりと目を開けた。


静かな光が、その奥に宿る。


(……もう遅いか)


その一言は、諦めではない。


確認だった。


すでに足を踏み入れている。


理解してしまっている。


戻ることはできない。


部屋の外は、静かだ。


何も変わらない。


だが――


何かが、確実に進んでいる。


見えないまま。


音もなく。


神谷は振り返らず、歩き出した。


影が、床に長く伸びる。


それはまるで、


どこかへ引きずられているようにも見えた。

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