見つけたもの
アルに褒められるなら、何でもいいや。
アルのニコニコ笑顔見ながら、わたしは思った。
アルの笑顔を見ると、わたしも嬉しくなる。
見つめあって、2人でニコニコした。
その背後では、魔物の悲痛な叫び声と、興奮した3人の高笑いが聞こえる。
温度差がすごいなぁと、ちょっと思った。
人って、興奮したら、言葉遣いと性格が変わるんだね。
また一つ、勉強になった。
皆んなははしゃいでいるけど、わたしは暇になってきた。
わたしはわたしで、ミスティにもらった課題をしよう。
ミスティから出された課題は、感知できる気配の範囲を拡大すること。
感知できる範囲が広くなればなるほど、危険から遠ざかることができるし、危険に備えることもできる。
今のわたしは、目に見える範囲しか感知できない。
それでは、自分の身を守ることができない。
だからこそ、課題として出されている。
ここは森の中で、魔物がたくさんいる。
アルたちがいるから、万が一の危険性もない。
それなら、感知に集中しても大丈夫そう。
わたしはアルに抱きつきながら、目を閉じた。
自分の気配、アルの気配、ミスティたちの気配……。
少しずつ、範囲を広げていく。
ミスティたちを狙っている魔物が、4体。
距離は、50メートルくらい?
アルを狙っている魔物もいるけど、魔物の悲鳴や音で近づいてくる様子がない。
当然アルも気づいているはずだから、心配いらない。
もっと範囲を広げて……広げて。
あれ?
なんか、変なのに引っかかった。
何かな?
黒い?
ぐちゃぐちゃ?
なんか気持ち悪いけど、気配は人っぽい。
助けるべきか?
見なかったフリか?
……ない。
助けない理由なんてない。
助ける理由は……
わたしはアルに助けられた。
どうしようもないとき、アルが手を握ってくれた。
アルが繋いでくれた命だから、今度はわたしが誰かの命を繋ぐ番。
アルの肩を叩く。
「アル。」
「ん?どうした?」
「散歩、してくる。」
「一緒に行くか?」
「へーき。ハオウがいる。」
シュー
ハオウが頭を上げて返事をする。
「わかった。気をつけてな。」
「うん。楽しみにしてて。」
「?ああ。」
アルに降ろしてもらい、意気揚々と気配のする方向に歩き出した。
あ、忘れないように、魔力出しとかないと。
わたしの短い足で歩いて、ようやく気配のする場所にたどり着いた。
何……これ……?
真っ黒で、嫌な気配。
恨み、嫉妬、憎悪……
全部の負の感情を詰め込んでいる。
これ、たぶん呪詛だ。
ミスティが言ってた。
呪詛は、あらゆる負の感情を込めて作られる呪いなんだって。
見ればわかるって言ってたけど、確かに見ればわかった。
これは、存在してたら、ダメなやつ。
こんなのは、あっちゃいけない。




