お試し
本日の実践訓練は、いつもの5人のメンバーでお送りいたします!
アルが、わたしの作ったスクロールの威力を知りたいんだって。
じゃあ、実践でお試ししてみよう!って。
いろんな人が使えるかも見たいから、皆んなで行くことになった。
皆んなの実践なんて見たことがなかったから、どんなのかちょっと楽しみ。
なんたって、闇ギルドクロネコの上位実力者だもんね!
近場の森の奥、上級魔物がいるあたりまでやってきた。
……の、だけど……
「あれ?いつもすぐに出てくるのに、いないっすね〜」
あ、私の魔力、漏れっぱなしだった。
それじゃあ、寄ってこないよね。
私は魔力を体内で循環させて、放出をなくした。
すると途端に姿を見せる魔物の群れ。
おおう……大量だぁ……
上級、上級、中級、上級……
うん……うん!
アルの顔を見上げると、いい笑顔。
続いて、皆んなの顔を見てみると、いい笑顔がいっぱい。
あれれ?
実は皆んな、戦闘狂だった……?
新たな事実を発見した。
これは、見なかったことにすべきか、触れるべきか。
……ふむ。
見なかったことにしよう。
「このスクロールを手に持って魔力を注ぎ、もう片方の手で場所を指定する、だったな。」
「う?……うん、そうだよ!」
危ない、危ない。
アルたちがいると言っても、ここは強い魔物がたくさんいる場所。
ぼーっとしてたらダメ。
「ふんすっ。」
もう一度、気合いを入れなおした。
ギャァァァァァーー
グルァァァァァーー
目が痛くなりそうなほどの雷。
数え切れないほどの、氷の刃。
熱気が伝わってくる炎。
ん?
んん?
んんん?
なんか、想定していた威力よりも強い……ような?
思ってたのは、もっとこう……
〈火球〉とか〈雷線〉とかなんだけど……
わたしは自分の持っているスクロールを、しっかりと見る。
見る……見る……み……
「あ……」
これ、魔力を込めれば込めるだけ強くなるんだ。
確かに少量の魔力で発動できる。
それは間違いない。
けど、魔力量を制限していないから、理論上はいくらでも魔力を込められる。
そして、魔法というものは魔力操作が大事だけど、単純に魔力を込めればそれだけ大きな現象を起こせる。
つまり、スクロールでも同じことが言えるわけだ。
やっちまった!!
え、これ、改良?改悪?した方がいい!?
アルの顔と蹂躙される魔物を、何度も見比べる。
「すごいな、ユフィーレ!天才だ!偉いぞ〜」
戸惑うわたしをよそに、皆んな子どもに戻ったかのようにはしゃいでいる。
アルに至っては、わたしを抱っこしてクルクル回っていた。
まぁ、アルが喜んでるなら、それでいっか!
わたしは、考えることをやめた。




