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第24話 商都ベルトア

間が開いてしまいました。申し訳ありません。

今回から第2章です。



 中央大陸ミドラスの北部を占めるロードリア王国。


 ロードリア王国は、その起源を正統五王家まで遡ることのできる歴史ある国である。



 ロードリア王国に限らず、その昔、人々の生活を脅かす最大の敵は、山野に住まう獣だった。


 中でも、凶暴で好んで人を襲うものは魔獣と呼ばれ恐れられた。


 人々は、住まいの周囲に柵を巡らし身を守った。


 腕に自信のある者は柵の外へ魔獣を狩りに行った。


 狩った魔獣の毛皮や牙に価値が見出されると、それを生業にする者が現れる。


 現在のハンターと呼ばれる仕事の始まりである。


 危険な仕事を生業とするハンターは、互助会を作り、それは後にハンターギルドと呼ばれるようになった。



 ロードリア王国の西部のあるカフェルの街は、人口一万人程の地方都市である。


 そのカフェルの街にも、御多分に洩れずハンターギルドがあり、連日多くのハンターが出入りしている。


 大穴の事件から孝太郎達がカフェルに帰還してkら6日が経過し、孝太郎はその報酬を受け取りにギルドへと足を運んでいた。


「おはよう、カーシャさん」


 馴染みの窓口嬢へ声をかける。


「コタロー様、おはようございます」


「さ……様?」


「ええ、コタロー様はカフェルのハンターギルド期待の星ですからね。今から「様」で呼んでおいた方が、ゴールドプレートやミスリルプレートになられた時に間違えなくて済みますわ」


「いやいや、むしろずっと「さん」でいいですよ」


「はぁ……そうですか、わかりました」


「で、コタローさん、今日は何のご用でしょうか」


 あからさまに不機嫌になるカーシャだが、笑顔なのは変わらない。


 他人行儀な「様」付けよりも、今まで通り親しい感じの呼び方でいいですよと言われた事は理解しているが、ずっと「さん」づけというのは、それ以上親しくなる気はないと、暗に仄めかされたような気がしてカーシャは不機嫌になったのだが、孝太郎にそれを察する能力は当然のことながら備わっていない。


「ええ、先日の報酬とランクアップの件で。ギルドマスターから来るよう言われてまして、取次をお願いします」


「伺ってますので、こちらへどうぞ」


 そのまま、個室へと通される。


「しばらくお待ちください」


 深々とおじぎをしてカーシャは、部屋を出た。


「なんだか……怒ってる?」


 カーシャの態度は、とげとげしいものになっていたが、その理由に心当たりがない孝太郎は、勘違いだろうと自分を納得させる。


「よう、おまたせ」


 陽気な挨拶と共に入ってきたのはギルドマスターのレブナンだった。


 レブナンは孝太郎の向かいの席に着くと、挨拶もそこそこに皮の袋をテーブルの中央に置いた。


「金貨50枚、これが今回のコタローの取り分だ。ちなみに、創造の槌と自由の風が45枚、ウィンディアとその他のパーティーが30枚という査定になっている。報酬について依存はないか?」


 各パーティーの構成まで考えれば、ウィンディアは3人なので一人あたり10枚、創造の槌は5人なので9枚という計算になる。


 それなのに孝太郎は一人で50枚である。


「私の分だけ、多すぎませんか?」


「そうか?100枚主張してもいいぐらいだと思うが」


「そもそも相場が分かりませんしね」


「そうか。100枚のところが50だから、ごねるかと思ったんだが……。交換条件として出そうと思ったんだがやめとくか?」


 レブナンは一枚の紙をヒラヒラと振る。


「それは?」


「これは、ランクアップ試験の紹介状だ」


「紹介状?」


「そうだな、順を追わないとか。まずはランクアップだ、これでEクラス、アイアンプレートだ。一人前のハンターってことだ」


「ありがとうございます」


「で、EランクのコタローにDランクになるための試験を受ける権利も与える」


「は?」


「所謂、跳び級ってやつだ。Dランクへの昇格するための功績も十分だからな」


「はあ」


「なんだ、張り合いのない奴だな。跳び級なんて、そうそうできるもんじゃないんだぞ」


「あ、ありがとうございます。でも、試験に受からないとならないんですよね」


「それ、それなんだがな」


 レブナンは言い淀むと頭をガシガシと掻きながら続けた。


「ちょいと事情があってな、跳び級のDランクへの昇格試験はカフェルでは受けられないんだ。なので、王都か商都まで行って受けてもらうことになる。当然、試験内容もそこのギルドマスター次第ってことになるが」


「となると、商都ですかね」


 王都メルキスまで馬で8日、その手前の商都ベルトアまでが6日かかる距離である。


「まあ、その選択は任せる。この書類をギルドに提出すればいい」


 レブナンから書類を受け取った孝太郎は、その場で商都行きを決めた。



 平和だが退屈な6日間の馬車の旅を経て、孝太郎は商都と呼ばれるベルトアの街へと到着した。


 商都ベルトアは、王都から西の交易路の分岐点として発展した宿場町である。


 元々は街などは無く、広大な平原に粗末な宿屋が宿屋が建っていただけであったが、王国の西部に対する開発の結果、交易路が整備されて利用する者が激増したことにより、宿屋の周辺に店が増え、それを囲む様に防壁が建てられて街として発展した、いわば商人達が作り上げた都市である。


 その都市も発展を重ね、今や王都に次ぐロードリア王国第二の都市となっている。


 王都と商都間の交易も盛んであり、王国の西部をその基板とする商人は、王都へ行かずに商都で売買することで、日数とコストを削減できる事から、その殆どが商都での売買を重ねている。


 商都におけるハンターギルドの歴史は古く、宿屋と雑貨屋の次に建てられたのがギルドの建物であったと言われている。


 交易路も碌に整備されておらず、ベルトアが数件の店がかたまって建っているだけで防壁もない、名も無き集落だった頃は、ハンターの需要は護衛や防衛にと非常に高かったのである。


 商都の中央には、他の都市と同様に広大な広場があり、その広場に面して建てられているのは街の起源となった言われる宿屋と雑貨屋、それにハンターギルドの3件のみである。


 とはいえ、雑貨屋は商工連絡会の本部ともなっており、そこで売られている商品は申し訳程度であり、辛うじて雑貨屋としての体裁を保っているのみである。


 中央広場には、大小様々な露天が広げられ、売り手と買い手が喧騒を生み出していた。


 一攫千金を夢見る者や着実な商売を重ねようとする者、目利きの者や物を見る目のない者、今日たまたま店を広げている者や過去には大店の店主だった者、それぞれがそれぞれの思惑で大声で、時に囁くように行う商談がここかしこで繰り返され独特の熱気で広場は満たされている。


 孝太郎は、その広場を横切り、ランクアップ試験の手続きのために、ハンターギルドを訪れた。


「いらっしゃいませ。ハンターギルドへようこそ。本日はどのようなご用件でしょうか?」


「ああ、これを」


 愛想たっぷりの窓口嬢に無愛想に紹介状を渡す。


 孝太郎の対応をしている窓口嬢に限らず、商都の窓口嬢は皆美しいが、孝太郎自身は、たっぷりの化粧粉と香水の匂いに半ば閉口気味である。


「カフェルギルドの紹介状ですね。D級への昇級試験の手続きでよろしいですか?」


「はい」


「わかりました。コタロー様の今回のテストは3つになります。一次テストは「武力テスト」、二次テストは「任務遂行能力テスト」、三次テストが「指導力テスト」となります。一次テストの「武力テスト」は「武器戦闘」と「魔法戦闘」の選択となりますが、いかがいたしますか?」


「武器戦闘でお願いします」


「武器戦闘ですね。一番早い時期だと、もうすぐ始まる本日午後の部をお受け頂けますよ」


 早いに越した事はない。


「今日の午後の部を受けます」


「わかりました。では表の広場を左に進むと武器戦闘テストの会場があるので、そちらでお待ち下さい」


「はい」


「テストが終わったら結果表をお渡ししますので、もう一度こちらまで起こしください。合格でしたらその時に二次テストの課題もお渡しします」


「わかりました」


 ギルドを出て、言われたとおり広場を左に進むと、柵で囲われたスペースが現れた。


 ご丁寧に「武器テスト会場」と書かれた大きな看板まで設置してある。


 どうやら「武器テスト」は衆人環視の元で行われるらしい。

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