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最近、青は絶好調に機嫌が悪い。
紺の知る限り、人生で一番と言えるほど、不機嫌だ。
理由は明白。
「それでは、藍さん、お借りしますね」
と、縹が藍とドライブに出掛けた、その日から、ずっと苛々としているのだから。
最初の数回、二人の集合場所はBlue Gradationだった。そして、その度に縹は律儀に紺と青に断りを入れてから出掛けていった。そして、帰りも、Blue Gradationにきっちりと送り届けた。
その後も、ちょくちょく出掛けているようだが、集合解散がBlue Gradationでなくなったから、いつどこへ行ったのか、紺たちは知る由がない。藍が屈託なく、美術館に行っただの、ご飯をご馳走してもらっただの話すから、外で会ってるんだなぁ、と薄っすら認識はしているという状態だ。
「あのおっさん、今日も藍連れ回してんのかな」
藍が店に現れなかった日曜日、閉店後の作業をしている時に、青が忌々しそうに言った。青が、店の客をおっさん呼ばわりするなんて、相当だ。
「青、藍をあの部屋に閉じ込めて置くことはできないよ」
「そんなこと、解ってるよ」
青の顔が、かーっと赤くなった。小五男子かよ、とちょっと可愛く思う。
「藍は本来、沢山の人の中で、溌剌と輝くタイプの人だよ。いつまでも引き篭もっていない方がいい。藍の特性を知ってる縹さんは、リハビリには適任だと思うよ」
「だからだよ。それでまた裏切られたら、藍、もう立ち直れないだろ」
「下心も恋心もなしで、って縹さん、自分で言ってたろ」
「そんなの解んないだろぉよ。最初はそうでも、一緒にいたら惚れるに決まってる。」
惚れるに決まってる、と言い切る青が、少し痛々しい。
「もし、惚れたとしても、それを自分の中に仕舞っておけるくらいには、縹さんは大人だと思うよ」
「大人じゃないよ。ただのジジイだよ」
「そうかな。縹さん、結構なイケオジだと思うけどな」
ちょっとイジワルな突っ込みを入れると、「そおゆうことじゃねえよ」とプンスカしてゴミ出しに出て行った。




