46. 相談
「ん……どうした?」
以前の会話以降、相談されなかったため……もう忘れられているかと思っていた。
もしくは、俺なんかに相談する必要はないんじゃないかって。
「ここではちょっと話しにくいことなので……」
「わかった。なあ、ちょっと移動しよっか」
無言のまま歩き人気のないところ―――校舎裏に来た。
テストも終わった今日、ほとんどの生徒はすぐに帰っている。
生徒が残っていたとしても校舎裏にいることはない……と予想した通り、ここには誰もいない。
「……話してくれるか?」
「最近のドミニクさん、ちょっと変だと思いませんか?」
「変と言われれば変だけど、前から変なやつだったからな」
今日の出来事を思い出して……ムカついてきた。
もともと傲慢な性格だが、最近はそれが顕著になっている。
実技試験でいきなり魔法を放たれるとは思わなかった。
「そ、そうですよね」
「相談ってのはドミニクに関してか?」
「はい……。最近のドミニクさんの様子が気になっていまして」
「そんなに気にするほどのことでもないと思うが」
というより、ドミニクにはあまり関わりたくない。
ああいう奴に関わっても、時間を無駄に費やすだけだ。
「実は最近……ドミニクさんが上級生と一緒にいるのを偶然見かけまして……。その上級生が、なんだか柄の悪い人たちだったので……」
ヤンキーと絡み始めたってことか? 今日魔法をぶっ放してきたのも……それが影響?
ふざけんなよ。
てか、そんなこと他人が気にすることじゃないだろ。
「誰と一緒にいるかはドミニクの勝手だろ」
今日のドミニクのことがあったせいで、声に苛立ちが乗ってしまう。
「いえ、誰と一緒にいるかは別に良いのです。ただ、それが関係しているのかわかりませんが……」
そういってファーレンは周りに誰もいないことを確認すると、声を落としていった。
「ドミニクさんの魔力に……人に害をもたらすものが混じっています」
「害を……もたらす……?」
「まだ確信をもっていないので、明確なことは言えません。ただ、あれは人間が扱って良いものではありません」
「そんなのわかるのか?」
「聖女の能力の一つだと思って下さい」
聖女の能力って便利で幅広いんだな。
でも、それが本当に害をもたらすなら、俺なんかよりも先生に相談するべきことじゃないか?
「クリス先生には言ってないのか?」
「まだ、何も言っておりません」
「どうして……?」
クリス先生に相談すれば、俺よりもしっかりした対応してくれそうだ。
俺も相談に乗ると言った手前、断ることはしないが……。
「確証があるわけではありませんので……。それに、このことをクリス先生に伝えると、ドミニクさんの立場が悪くなってしまいます。できれば……自分の力で解決したいです。そこでオーウェンさん。勝手なお願いですけど、私に協力していただけないでしょうか」
「それは、誰のために……?」
「私のためです」
ファーレンは澄んだ瞳で見つめてきた。
そう言われたら協力するしかないな。
ドミニクのためってことだったら、間違いなく断っていた。
あんなやつのために、何かしてやろうとは思わない。
「具体的に何をすればいいんだ?」
「明日、私と一緒にドミニクさんを尾行していただけないでしょうか」
尾行か……。
なんか探偵っぽくてちょっとワクワクする。
「いいよ」
と俺は頷く。
「ありがとうございます。こういうことを頼めるのはオーウェンさんだけなので」
おう……。そんなことを言われたらおじちゃん頑張っちゃうぞ。
それに……ドミニクの―――魔法の威力。
もしドミニクがファーレンの言うように害をもたらす力を手にしていたら……そのとき俺は……。




