↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

43/174

43. 別れ

 俺とトールの試合は20分経過しても、勝負は付かなかった。


 基本的に、俺が距離を取りながら、魔法を放ち、それをトールが止めるといった感じだ。


 何度か、接近されたものの、そのときは重力魔法を使って空に逃げた。


 お互い決め手にかけ、引き分けとなる。


「オーウェン! また、やろーぜ」


 戦闘モードのトールは最後にそう言った。


 そして、全試合が終了した。


 ちなみに戦績は3勝1敗1分だ。


 ベルク、ナタリー、カイザフが勝利を収めた。


 最近の交流戦の中ではだいぶ良い結果らしい。


 セントラル学園の生徒たちは、悔しそうにしていた。


 特に今年もカイザフに負けたモネは、


「次こそは、あんたに勝ってやるんだから!」


 と涙目になっていた。


 こうして、交流戦を終えた俺達は早めの昼食を終える。


 そして、セントラル学園の門の前で、交流を持った生徒同士、別れの言葉を交わしていた。


 ナタリーやベルクは俺の知らないところで、セントラル学園の生徒と仲良くなっている。


 すごいな。


 どこで仲良くしてたんだよ。


 最初のパーティのときかな?


「やあ、オーウェン君。交流会はどうだった?」


 モネが挨拶にきた。


「楽しかったですよ」


「君はずっと特訓しかしてなかったね」


「そうですね。モネさんも特訓に付き合っていただいて、ありがとうございました」


 モネのおかげで、トールにやり返すことができた。


「ふふふ。また、何かあれば言ってね。手伝うわ」


「お。お姉ちゃん。オーウェン君の特訓に付き合ってたの?」


 後ろにいたトールがモネの袖を引っ張る。


「そうよ。オーウェン君、強かったでしょ」


「う、うん。僕ももっと頑張らなくちゃ」


 トールはこくりと頷く。


「それより、あんた、戦闘モードに入ったときの変わりよう、どうにかできないの?」


「ご、ごめん。ちょっと、気持ちが高ぶっちゃって」


 あれはちょっとってレベルじゃないだろう。


 もはや別人だ。


 二重人格と言われても納得してしまう。


「はあ……。もう少し自制できるようになってよね。あんたは才能あるんだから」


「う、うん。ごめん」


「オーウェン君もこれからトールと仲良くしてやってね。こんな性格だから、友達いなくて」


 確かに面倒そうな性格だ。


 普段仲良くしてるのに、戦闘になったら凶変するとか、どこのラ◯チだよ。


 もしくは、キャベ◯ディッシュか?


「お、お姉ちゃん……」


 トールは恥ずかしそうに顔を赤らめる。


「トールとは今後も切磋琢磨していきます」


 ベルク、ナタリーと比べても遜色ない実力を有している。


 俺のライバルになる存在だ。


「うん、よろしくね」


「オーウェン君。よ、よろしく」


 モネとトールとの挨拶が終わると、俺はレン先生のもとに向かった。


「先生、5日間ありがとうございました」


「オーウェン君ですか。お疲れさまでした。何か学びはありましたか?」


「はい!」


「それは良かったです」


 そう言えば、レン先生はカザリーナ先生とは昔からの知り合いだよな。


「カザリーナ先生とは、どんな関係だったんですか?」


「先輩と後輩ですよ。少し親しいだけの」


 レン先生は懐かしそうに目を細める。


「彼女は、私に魔法使いとしてのあり方を教えてくれました」


「魔法使いとしてのあり方?」


「この国は、魔法至上主義です。そのこと自体を否定する気はありません。魔法が使える者と、そうでない者。そこには明確な違いがあります」


 人によってはそれを差別という人もいる。


 でも、魔法の才能が評価基準になることを、俺は差別だとは思わない。


 ただ、この王国では行き過ぎた選民主義がある。


 そこに差別を感じることはある。


「サンザール学園では、魔力量が全てのような風潮があります。私を含め、魔力量が比較的に少ない人は、肩身の狭い思いをしました。ここで教師として努めているのは、魔力量が全てでないことを証明したいからです」


 レン先生の瞳から強い意志が感じられた。


 最初は嫌味な人だと、思ったけど、そんな悪い人ではない。


 クリス先生が「そろそろ、出発するぞ」と、みんなに声をかける。


「そう言えば、以前君に言ったことを訂正しなければなりません」


「訂正……ですか?」


「君は期待以上の人物だ。カザリーナさんが認めただけのことはあります。いずれ、この国を背負う優秀な魔法使いになるでしょう。これからも精進してください」


「短い間でしたが、お世話になりました」


 俺はお辞儀をする。


 そして、セントラル学園を出発した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。