↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

35/174

35. モネとカイザフ

 クリス先生は、レン先生の方に体を向ける。


「そうだ。うちのルーキーのオーウェンだ。お前も名前は知っているだろう」


「確か『飛翔』でしたか? まだ若いのに大したものですね」


「ど、どうも」


 俺は軽くお辞儀をする。


「うちにも1年生のルーキーがいるのですよ。ほら、彼です」


 レンの後ろにいた少年が前に出る。


「は、は、はじめまして! と、トールです!」


 もじもじしながら、その少年は言った。


「はじめまして。オーウェンです」


 いい子そうだ。


 良かった。


 ドミニクみたいに、癖のあるやつでなないようだ。


 トールは挨拶を済ませると、スッとレン先生の後ろに隠れた。


「普段は(・・)、大人しい生徒でしてね。こう見えても、実力はありますよ」


「そうか。それは良かったな。最近、セントラル学園は力を伸ばしているようだしな」


 サンザール学園の後追いで創設されたセントラル学園だが、すでにサンザール学園と肩を並べていると言ってもよい。


「いつまで、上から目線でいるつもりですか?」


「上から目線?」


「……いえ、なんでもありません。では、私たちはこれで」


 レン先生はトールを連れて去っていく。


 それを確認した俺は口を開く。


「レン先生とはどんな仲ですか?」


「あいつは私の後輩でな。昔はもう少し可愛げがあったんだが……。そう言えば、カザリーナと私は同級生だぞ」


「カザリーナ先生ですか!」


「ああ。同級生であり、良きライバルだった」


「クリス先生がカザリーナ先生とライバル?」


「ああ。学生時代、私が唯一敵わないと感じた相手がカザリーナだからな」


 へー、そうなんだ。


 さすがはカザリーナ先生だ。


 三ツ星のクリス先生がライバル視するほどの人だなんて。


 なんで俺なんかの家庭教師になったのかな?


 もっと、よい条件あっただろうに。


「で、お前はいつまでそうしているんだ? そろそろ交流してこい」


「今、交流しましたよ」


「あんな短時間で交流したとは言わん。ほら、いけ」


 俺は背中を叩かれ、仕方なく動き出す。


 パーティーは苦手なんだよ。


 こういうときはナタリーに頼りたいが、彼女は男子に囲まれている。


 さすがにあの中に割って入っていくのは嫌だな。


 俺はそう思って、会場の中をぐるぐる歩いていた。


「あれ? ひょっとして、オーウェン君じゃない?」


 振り向くと、水色の髪の少女がいた。


「そうですけど……あなたは?」


「あたしは、モネよ! よろしく」


「あ、はい、よろしくお願いします」


 ペコリとする。


「あたし、あなたのファンなの! 武闘会であのムカつく野郎をぶっ飛ばしてくれて、スッキリしたわ」


 モネがそういうと、彼女の後ろからカイザフがひょこっと姿を見せた。


「それは俺のことかい?」


「げっ、カイザフ……」


 モネはすかさず、カイザフとの距離を取った。


「久しぶりだね。モネ。元気にしていた?」


「ふんっ、あんたの顔を見るまでは元気だったわ」


「あいも変わらず、君は冷たいね」


「あんたを見るとぶん殴りたくなるのよ」


「それは、俺に負け越しているから?」


「むきー! そういうところがムカつくのよ」


「2人共、知り合いですか?」


「こんなやつのこと知らないわ!」


「モネとは1年生のときからの知り合いでね。初めて交流会に参加したとき、彼女がいたんだ。当時はお互い唯一の1年生ということで、仲良くなったってところかな」


「あんたと仲良くなった記憶なんてないわ! ていうか、オーウェン君にやられていたわね。あれは最高に傑作だったわ」


「いやぁ、実に情けない。まさかオーウェンが空を飛べるとは思わなかったよ」


「あははは、いい気味よ。ところで、オーウェン君。さっきあたしの弟と話していたようだけど、大丈夫だった?」 


「あ、はい。普通に良い子でしたけど」


「そう……まあ、またなんかあったら言ってね」


「はい。ありがとうございます」


 トールに何か問題があるのだろうか?


 まあ、気にしても仕方ない。


 しばらく、モネ、カイザフと話していたら、パーティーが終了の時間となった。


 よっしゃ。


 今回は壁の花じゃなかったぜ。


 リア充の仲間入りだ。


 俺はこのことをドヤ顔でナタリーに話したら、


「そんなことで威張らないで頂戴」


 と、言われた。


 俺にしては頑張ったんだけどな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。