33. 交流会
ハイオークとの戦いから2ヶ月が過ぎた。
あの後、森に他のハイオークがいないか確かめるために調査隊が派遣されたが、ハイオークはあの一体だけだったらしい。
俺たちが遭遇したのは、ただのはぐれハイオークだった。
運が悪かったってことだ。
ハイオークとの一戦以降は、特に問題なく過ごしている。
ナタリーと遊んだり、エミリアと話したり、ドミニクに絡まれたり、ベルクが女子に囲まれてるのをみたり、とそんな毎日だ。
こういう何気ない日々が良いんだよな。
そして、今日、俺とナタリー、ベルクはクリス先生に呼ばれた。
職務室でクリス先生が俺たちを待っていた。
「おう、来たな」
「先生、何の用ですか?」
俺がさっそく聞くと、
「来週から交流会があって、お前たち3人に行って欲しい」
「交流会……ですか?」
「毎年、セントラル学園との交流会を行っている。お互いの現状を把握しようという目的だ。今回の主催は向こうだから、サンザール学園からは人数を絞って行く。それで、1年生からは、お前ら3人を選んだ」
「なぜ、僕らなのでしょう?」
ベルクの質問に、クリス先生は答える。
「実力順だ。武闘会で結果を残したからな。お前たちはサンザール学園を代表して行くことになる。そのことを自覚して行くように。では、出発までに荷物の準備をしておけ。4日間滞在することになるからな」
俺たちが同時に返事をすると、クリス先生は満足そうに頷いた。
■ ■ ■
セントラル学園へ行く日になった。
俺たちは荷物を馬車に入れ、学園の門付近で待機していた。
セントラル学園に行くのは、生徒と先生合わせて20人だ。
ちなみにクリス先生も同伴である。
というより、クリス先生がこの集団を引率することになっている。
俺たちがいない間は、Aクラスは他の教師が見るらしい。
生徒は初等部、中等部、高等部でそれぞれ5名が選出されている。
中等部、高等部は、ほとんど最高学年から選出されているのに対し、初等部だけ1年生から3人の選出だ。
「カイザフさん。本当に僕たちで良かったんでしょうか?」
隣に立っていたカイザフに聞いてみた。
カイザフも初等部の代表として参加することになっている。
「実力が高い者が交流会に参加するのが決まりだからね。妥当な評価だよ。それに君たち1年生の実力が高いってことは、良いことだ。今後に期待できる」
先輩たちに申し訳ない気持ちもあるが、交流会にワクワクしている自分もいる。
学園を代表して行くわけだし、気を引き締めないとな。
下手な姿は見せられない。
俺たちは、各自割り振られた馬車に乗り込む。
なんと、この馬車はただの馬車ではない。
魔道具が用いられており、乗り心地がよくなっている。
振動を吸収するような魔道具を使っているとのことだ。
その分、値段も相当なものだが、これはサンザール学園の生徒が作り出したもので、安く購入出来たらしい。
さすがはサンザール学園だ。
馬車の中で、そんな話をナタリーとしていた。
午前に出発した俺たちは休憩をはさみながら、夕方にセントラル学園に到着した。
「ここが……セントラル学園か……」
敷地面積はサンザール学園よりは小さいとのことだが、それでも十分な広さだ。
馬車から降りると、出迎えてくれる集団があった。
30人ほどで、おそらくセントラル学園の生徒や先生だろう。
「本日はようこそおいでくださいました」
一人の男性が前に出て言った。
年齢的にはクリス先生と同じくらいか。
「おお、レンじゃないか。久しぶりだな」
クリス先生の知り合いみたいだ。
「クリスさん。お久しぶりです。あなたは今、初等部の先生でしたか?」
「そうだが……何か?」
「いえ……。ただ、三ツ星ともあろうあなたがサンザール学園で教鞭を取られていることを、少し意外に思いまして」
なんか、含みをもたせた言い方だな。
「それは私の自由だろう。そういうお前こそ、教師をやっているじゃないか」
「私はあなたほどの才能があるわけではないので」
「……そうか。まあ、お互い有意義な時間にしようじゃないか」
「そうですね。よろしくお願いします」
先生同士の挨拶が終わると、俺達はパーティー会場に案内された。
パーティーか……。
苦手なんだよな。
未だに初対面の人と仲良く話すことができない。
最初から上手く話せたのは、ナタリーぐらいだ。
今回もパーティー会場の壁に花を咲かせようじゃないか。
俺という名の花をな!
ちょっと、かっこいいこと言ってみた。
いや、かっこ悪いな。




