21. 武闘会①
武闘会の当日。
学園はたくさんの人で賑わっていた。
さすがは、国内最大規模の学園であるサンザール学園。
集客力がある。
武闘会は3日間に渡って行われ、その間、大勢の観客が訪れる。
初等部は初日に1、2回戦、2日目に決勝戦がある。
中等部や高等部の前座というところらしい。
試合はコロッセオのような円形の舞台で行われる。
ここは約3万人も収容できる学園最大の闘技場だ。
選手である俺は、実際に試合をする舞台に立ち代表選手の宣誓を聞いていた。
そして、宣誓が終わると、
「それでは、第52回、サンザール学園武闘会を始める!」
学園長による宣言と同時に会場の至るところから空に向かって魔法が放たれた。
それらが上空で爆発し艶やかな色を放つ。
まるで花火のようだ。
こうして武闘会は幕を開けた。
開会式が終わると、俺はベルクやナタリーと控室で待機することになった。
初等部の試合は最初に行われ、俺達の対戦相手は3年生の先輩で2試合目だ。
「1年生が勝ち進むことはほとんどないし、胸を借りるつもりで行くか」
俺がそう言うと、ナタリーが反論してきた。
「何言ってるの? 優勝以外ありえないわ」
「そうだね……。きっと優勝できる」
ベルクまでナタリーの発言に同意した。
「武闘会始まって以来、1年生が優勝したことは数えるほどしかない。そんな簡単にいくか―――?」
突出した才能を持つ者が上級生を打ち倒すことは良くある。
だけど、チーム戦のため、一人の天才だけでは勝ちあがれないようになっている。
「でも、僕たちなら優勝できる」
ベルクは確信をもっているようだった。
「なんで、そう断言できる?」
「今の先輩たちはそんなに強くない。確か……生徒会長は強いらしいけど、他は警戒するほどでもない」
「そうよ、オーウェン。弱気になってどうするの? 大丈夫。私達は強い」
そう言われてもなぁ……。
俺が今まで戦ったことがあるのは、カザリーナ先生とドミニクだけだ。
カザリーナ先生は明らかに俺より強かったし、ドミニクは逆に弱かった。
参考になる相手がいない。
「それと、なんで俺が大将?」
先鋒、中堅、大将を決めるときにベルクとナタリーは真っ先に俺を大将にした。……大将って柄じゃないぞ。
先鋒、中堅で良い試合をして大将でボロ負けしたらカッコ悪いじゃん。
「オーウェンが一番強いからよ」
「君になら大将を任せられると考えた」
ちなみに先鋒がベルクで中堅がナタリーだ。
「そんなこと言われても、俺なんて……大したことないぞ?」
「何を言っているの? 10歳で飛行魔法使える子供が大したことない? そんなこと言ったら世の中の人は全員大したことないわ。もっと自分に自信を持って」
それは、前世の知識というチートを使ったまでだ。魔力制御に関してはカザリーナ先生の足元にも及ばない。
それに重力魔法は戦闘ではあまり役に立たない。試合で使えるのは火魔法と土魔法ぐらいだ。
他にも使える魔法があるが……、あれは制御を誤れば大変なことになるため、実戦ではまだ使えない。
「まあ、できる限り頑張ってみるよ」
「そうだね。全力を尽くそう」
ベルクはそう言って、白い歯を覗かせて微笑んだ。
なんで、こいつはこんなにキラキラしているのだろうか。
王子様だからか?
ベルクの皮を剥ぎ取れば、キラキラ光る粉が作れそうだ。
ちょっと想像してみたが、グロテスクで気持ち悪かった。
「それでは、1年生チームの方、準備をお願いします」
係の人に案内され俺たちは動き出す。
そして会場の前に着くと、舞台が盛り上がっているのが伝わってきた。
「では、先鋒の方どうぞ」
「ベルク、頑張れよ」
「勝ってくる」
そう言って、ベルクは舞台に出ていった。
ベルクが会場に顔を出すと、盛り上がりがより一層増す。
主に黄色い声援だが。
ベルクは人気者なんだな……。顔も良くて、実力も合って王子様。そりゃあ、人気があって当然か。
それに対して俺は……悪徳領主の息子で……。まあ、気にしてないけどな!
「それでは1試合目、開始っ!」
魔法道具によって響き渡る実況者の声と同時に、ベルクが動き出した―――。




