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19. 武闘会の参加権

 学園に来てから一月が経ち、その間、俺はナタリーと行動していた。


 クラスメートからは遠巻きにされている。


 悪名高いペッパー家の跡取り息子だから仕方ない。


 唯一接してくれるナタリーに感謝だ。


 ただ、ナタリーの評価が下がるのは良くないと考え、


「俺とばっかり、一緒にいてもいいのか?」


 と聞いてみた。


「全然構わないわ」


「でも、ナタリーまで悪い噂が立つのは……」


「言いたい人には言わせておけばいいのよ」


 と言ってくれた。


 優しい子だ。


 ナタリー、ありがとう。


 彼女のおかげで学園生活に特に不満はない。


 もし、一つ不満を上げるとすれば、ご飯が美味しくないことだ。


 料理長の美味しいご飯に慣れてしまったせいで、舌が肥えてしまっている。


 貴族が多く通うということで、それなりの料理人が作っているとのことだが、料理長には敵わないな。


 やはり、料理長は存在が惜しい。


 なんとしてでも連れてくるべきだった。


 そうして、学園生活にも慣れた頃だ。


「来週から武闘会がある」


 クリス先生が俺たちに向かって言った。


 武闘会は学園における一大イベントだ。


 サンザール学園の生徒同士で試合を行い、優劣を争う大会だ。


 普段は立ち入りが制限されている学園も、武闘会期間中は一般の人でも入れるようになる。


 毎年、多くの人で賑わう。


 初等部、中等部、高等部で試合の形式が異なり、初等部の場合、3人1組でチーム戦を行う。


 ちなみに中等部や高等部は個人戦だ。


 これは伝統的にそう決められているというもので、明確な理由はわからない。


 1年生から1組、2年生から2組、3年生から5組の計8組によるトーナメント形式だ。


 初等部の学生が勝ち進むことはめったにないため、ここで一勝でもすると大きな盛り上がりを見せる。


 だが、あくまでも3年生同士の戦いがメインとなる。


「毎年、1年生はAクラスから1組出すことになるのだが、今回は私の独断で決めさせてもらった」


 クリス先生がそう言うと、教室が緊張感に包まれる。


 前世でいう小学校の運動会とはわけが違う。


 武闘会は、生徒が実力を示す絶好の機会だ。


 なにより、武闘会に出場することが誉れとなる。


 そこに出たいと思うのは当然のことだろう。


 まあ、初等部の試合は、そこまで注目を浴びていないが。


 特に1年生は実力だめしのところが大きく、一回戦でも勝てればよいと見られている。


 クリス先生は教室全体を見渡す。


 そして、一呼吸おいてから参加者を発表した。


「ベルク、ナタリー、オーウェンの3人だ」


 と、クリス先生の言葉に一瞬、俺はキョトンとする。


 俺が選ばれたのか?


 ベルクとナタリーが選ばれる理由はわかる。


 彼らは家柄も実力も申し分ない。


 それに対し、俺は選ばれるだけの理由がない気がする。


「クリス先生! 納得できません! なぜ、オーウェンなのですか!?」


 そう言ったのは、ドミニクだった。


 他の生徒も俺が選ばれたことに、疑問を抱いているのが伝わってくる。


「ほう? 私の目が節穴だと言いたいのか?」


「そういうわけでは! ただ……納得できない!」


「オーウェンが選ばれて、自分が選ばれないのが納得できない。そういうことだな?」


「……そうです」


 クリス先生が「うむ」と満足そうに頷く。


「まあ、お前の主張もわかる。それなら、こうしよう。オーウェンとドミニクで模擬戦をする。その結果、勝った方を武闘会に参加させよう」


 確かに、戦った結果ならお互い納得できる。


 俺とドミニクは同時に頷いた。


 クリス先生がどういう意図で俺を選んだかはわからない。


 だけど、やるからには全力で参戦権を勝ち取ろう。

ブックマークや高評価ありがとうございます!

皆様のおかげで、日間ランキング8位までくることができました!


また、誤字脱字報告ありがとうございます!

非常に助かっております!

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