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18. 買い物

 俺たちは、学園都市にある商業エリアに来ていた。


 食事処や服屋だけでなく、ここでは魔法に関連したものも売られている。


 たくさんの生徒たちがおり、ここが学園街だということを実感させられる。


「で、何買いに来たんだ?」


「特に買うものはないわ。必要なものは実家から持ってきたもの」


「それなら、何しに……?」


「見学よ。これから住むところがどういう場所か知りたいじゃない」


「それもそうだな」


 特に目的もなく、商業エリアをぶらぶら歩く。


 学園の中とは思えないくらい、色々な店があった。


「私、あれが食べたいわ」


 ナタリーが指差したのは焼き鳥の屋台だ。


 少し離れたところからも香ばしい香りがする。


 俺たちは屋台の前まで言って、おばちゃんに声をかけた。


「焼き鳥2本ください」


「あいよ! あら、可愛いカップルね」


「か、カップルじゃないです!」


 ナタリーが慌てて否定する。


 そんなに否定しなくてもいいじゃないか。


「ふふふ。あたしにもそういう頃があったわね。羨ましいわ。ねっ、あんた!」


 そう言って、隣で焼き鳥を焼いている男性に言った。


「昔のことは覚えとらん」


 頑固そうな親父がそう言うと、おばちゃんは快活に笑う。


「まあ、楽しんどいてくれ。はい、串だ。2本で2ペニーね」


 この国の貨幣の単位はペニーだ。


 ただ、イギリスで使われていたものとは違って、1ペニーが100円のイメージである。


 実際は、前世と今世では諸々の物価が違うが、おおよその値として捉えている。


「ありがとうございます」


 俺はお金を渡して、串を受け取る。


 その後、近くの空いたスペースを見つけて座った。


「はいよ」


「お金は?」


「そんなのいいよ」


 そう言ってナタリーに串を渡し、俺は焼き鳥にかぶり付く。


「おっ、うまい!」


 屋台の焼き鳥はどうしてこんなに美味いのだろう。


「普段食べるものとは全然違うけど、美味しいわ」


 公爵家ではさすがに、屋台で出るような焼き鳥は食卓に並ばないだろう。


 ナタリーはほくほくと美味しそうに焼き鳥を食べている。


 という俺も久しぶりの屋台の焼き鳥だ。


 うめーなー。


 焼き鳥を食べ終わると、串を屋台に返して、歩き始めた。


 特に目的はないため、適当に目につく場所に寄る感じだ。


 服屋や魔法道具屋に寄っていたら、日が暮れてきた。


「そろそろ帰るか?」


「そうね……。帰りましょ」


 と、寮に向かって歩いているときだ。


「オーウェンさんと……ナタリーさん。こんにちは」


 声をかけてきたのはファーレンだ。


 俺とナタリーは同時にこんにちは、と挨拶する。


「そう言えば、ドミニクになんか変なことはされてないか?」


「はい。大丈夫です。その節はどうもありがとうございました」


 ファーレンはそう言って、お礼をする。


「その節って……?」


 ナタリーが「どういうことよ」と視線で尋ねてくる。


「ドミニクに絡まれていたから、ちょっとね」


 ナタリーは「ふーん」と言って、黙った。


「また、なんかあったら言ってね」


 自分が中心だと考えているドミニクのような存在って何をしでかすかわからんしな。


 逆恨みでもされたら怖い。


「はい。ありがとうございます。では、私はこれで」


 そう言って、ファーレンは離れていく。


「ふーん、あなた……。ああいう清廉潔白そうな子が好みなのね」


 ナタリーは目を細めて聞いてきた。


 こころなしか、機嫌が悪い。


 どうしてだ?


 俺は何も悪いことはやっていないはずだ。


「い、いや、俺の好みってわけでは……」


 確かに可愛いが、ど真ん中ストライクってわけじゃない。


「じゃあ、どういう子が好みなの?」


「えーと……考えとく!」


「考えとくって何よ!」


 恥ずかしくて言えない。


 俺の好みが金髪碧眼なんて。


 前世では金髪碧眼のアニメキャラが好きだった。


 どはまりしてた。


 ナタリーも金髪碧眼なんだよな。


 ナタリーはまだ幼さを残しているものの、もろ好みの顔なんだよ。


 そんなの恥ずかしくて言えるはずがない。

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