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支配と理解  作者: 御中御庭より
2章 東国旅編
37/45

第36話 条件と治療

「王都?」


声をかけてきた男は、

よく笑う。


距離の詰め方が、

自然だった。


「俺ら、王都近くの街まで馬車で行くんだ」


軽い調子。


「よかったら、来るか?」


俺は、

すぐには答えなかった。


ユイを見る。


ユイは、

相手を一度見てから言う。


「話だけ、聞くわ」


男は、

その返事を待っていたみたいに頷いた。


「助かる」


「俺はレヴァル。

 こっちはゼルド」


もう一人の男が、

短く手を上げる。


「道の話なら、いくらでもある」


余計なことは言わない。


「で……」


レヴァルが、

少しだけ声を落とした。


「条件がある」


そう言って、

横にずれる。


肩を押さえた女がいた。


「この子の怪我、

 治してもらえないか」


笑ったまま、

頭を下げる。


ユイが前に出る。


「見せて」


女は、

一瞬だけ迷ってから腕を出した。


肩の位置が、

おかしい。


ユイは触れない。


目で見て、

少し角度を変える。


「……脱臼」


短い。


糸も、

魔法も使わない。


「痛いよ」


女が言う。


「一瞬」


次の瞬間、

乾いた音がした。


女が息を止める。


「……っ」


それで終わった。


「動かして」


肩が、

ゆっくり動く。


「……戻ってる」


女は、

自分の腕を見ている。


レヴァルが、

目を見開いた。


「助かった」


ゼルドは、

静かに頷いた。


「これで条件は終わりだ」


レヴァルが言う。


軽い声だった。


「準備がある」


俺を見る。


「買い出し、

 一緒に来てくれ」


俺は、

そのまま頷いた。


ミレイアも、

自然に前へ出る。


露店を回る。


水。

食料。

布。


レヴァルは、

よく喋る。


「夜は冷える」


「朝は滑る」


ゼルドが、

合間に言葉を足す。


「雨の後は、

 道を選べ」


理由は、

語られない。


それでも、

会話は止まらない。


その時。


「なあ」


声がした。


振り返ると、

男が二人。


身なりは整っている。


荷は少ない。


「王都まで行くって、

 聞こえたんだが」


慎重な目。


「俺らも、

 連れてってもらえないか?」


レヴァルは、

すぐには答えなかった。


一度、

こちらを見る。


それから、

少しだけ笑う。


「人数、増えたな」


「……どうする?」


俺は、

返事を急がなかった。

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