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1章:幕間

【幕間:結希乃とミラその1】


アストを無事に異世界へ送り出し、ミラはようやく一息ついた。

だが、ふとテーブルの上に目をやり、思い出す。


――テップが残していった、もう一つの“お土産”。


恐る恐る箱に近づき、慎重に封を解く。

フタを開けた瞬間、眩い閃光が迸り、一筋の光が空間を駆け抜けた。



「っ……!?」



思わずフタを盾のように構え、後ずさるミラ。

光は空中で留まり、やがて人間ほどの大きさに膨らんでいく。



「うーん、ここどこ? 私、仕事から帰ってすぐ寝ちゃって……夢? 明晰夢ってやつ? 起きたらアストに話さなきゃ!」



光の中から聞こえる、どこか間の抜けた声。

やがて光は人の輪郭を描き、徐々に像を結ぶ。


そこに現れたのは――香澄結希乃、その人だった。

ミラは目を見開き、信じられないというように呟く。



「あなたは……アスト様の、マスター様……?」



結希乃はミラの姿を認めると、目を輝かせて駆け寄ってくる。



「えっ、あなた神様!? うわー! もしかして私、異世界転生しちゃった!? あがるー!」



肩に手をかけ、まくし立てる結希乃に、ミラは目を白黒させながらも必死に制止する。



「お、落ち着いてください……! まずは、そこのテーブルに~……!」



ようやくなだめられた結希乃は「えへへ~」と笑いながら席に着く。



ミラは深呼吸し、これまでの経緯を丁寧に説明した。



「……というわけで、アスト様はテップ様のお導きにより、この世界を救うためパルカ・アストリアに転生されました」



説明を聞き終えた結希乃は、先ほどのテンションが嘘のように、静かに頷いた。



「そっか……やっぱり私、死んじゃってたんだね。うん、なんかあの時、すごくしんどかったし……」



自分の手を見つめながら、しみじみ話す様子に、ミラはそっと言葉をかける。



「……ご心中、お察しします。まだ若くしてこのようなこと……」



だが、結希乃は顔を上げ、ぱっと明るい笑顔を浮かべた。



「ま、いっか! あの世でも私は元気にやってますってことで!」



呆気にとられるミラをよそに、結希乃はさらに話を続ける。



「それにしても、あなたもアストって言うんだね! 奇遇~! でも二人ともアストだと紛らわしいか。ミラって呼んでいい?」



身を乗り出してくる結希乃に、ミラはやや引き気味に答える。



「え、えぇ……構いませんが……。ずいぶんと、あっさりとされていますね……」



結希乃は背もたれに体を預け、腕を組む。



「家族や友達には申し訳ないけどさ~、私の不摂生が原因だし、そこは嘆いてもしょうがないでしょ~。それに――」



チラリとミラを見て、ウィンク。



「アストがいるんでしょ? 一人ぼっちってわけでもないし。だったらさ、私もアストのとこに送ってよ~。あ、転生ボーナスはマシマシでお願いね!」



ニコニコと笑う結希乃に、ミラは気まずそうに視線を横に逸らす。



「……申し訳ありません。それは、できません……」



そう言われるや否や、結希乃はテーブル越しに身を乗り出し、再びミラの肩を掴み揺さぶる。



「えぇ!? なんでよ~! アストは良くて私はダメなの!? 協力するよ! 異世界再生! それはもう、すっごい協力するよー!」



ミラはガクガクと揺らされながらも、なんとか説明を続ける。



「アスト様の転生に、私の力を使いすぎてしまったのです……。私程度の神では、代償なしに力を与えることはできません。今転生されても、特別な力を持たない、ただの人間として生まれるだけになりますよ……」



その言葉に、結希乃は頭を抱え、天を仰いで叫んだ。



「ゲームか!!!」

お読みいただきありがとうございます。

これにて第1章は終了となります。

次章も引き続きよろしくお願いいたします。


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