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「友達としてしか見れない」なんて言ってごめん。一緒に異世界転生したので、今度こそ彼とやり直そうと思います  作者: ふたーなる
第一章 魔王討伐

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第10話 冒険の始まり、の始まり

 目的の村に辿り着いた。

 まだ暗くなるまでかなり時間がありそうだ。

 私が居た街に比べれば、かなり小さなものだ。


 地面に立った状態からでも全体を見渡すことができるほどの広さだ。見渡しきれない場所には、牛舎があったり畑があったりするのだろうけど。




 村へ着いた私たちは、近くに居た村人に聞いて一番偉い人のところへ行くことにした。

 その村人に案内してもらった家には村の長がいるらしいが、別に他の家となんら変わらない普通の家だった。屋根も壁も木で作られた、二階建ての小さな家だ。


 街に住んでいる偉い人たちは、あんなにデカい城に住んで権力を誇示しているのだから、いくら小さな村だとしても、そのくらいはやったほうがいいんじゃないか、と思うのだが、まあ関係のないことだ。



「あの、旅の冒険者の方たちが来たんですけど、」



 すると、木でできた扉が、ギイ、と開いて中から四〇代くらいと思われるおじさんが出てきた。



「あ、あの、俺達冒険者なんですけど、この村で泊めてもらうことって」



 すると、おじさんは豪快に笑って「全然構わねえよ。ただ、手伝ってほしいことがあるんだけど、いいか?」と言った。


 これで、一安心だ。


 私たちはおじさんに頭を下げて、空いている家が一つあるからそこに泊まらせてくれる、という話になった。ただ、これはもう暗黙のルールみたいなものだが、その代わりに手伝いをしてくれ、という話にまとまった。



「良かったね。優しそうな人だし」



 家は一階建ての実に簡素なものだが、室内である、というだけでかなり違ってくる。



「まあ、初めてだから一応注意しておこうな」



 私たちは荷物を家に置いて、そして長のところに戻る。



「最近、狼が家畜や人を襲うっていうのが多発してて、それで退治してもらえないかって思って」



 狼の襲来なんていうのは、街に居ても数年に一回程度はあることだ。


 魔法使いの私からしたら、群れで襲ってくる彼らは非常に厄介な敵なのだが、カイトもいるのだ。


 油断は禁物だが、それでも問題ない相手だろう。



「わかりました」と私とカイトの声が合わさる。



「じゃあ、よろしくな。これで、今日は安心して眠れるよ」



 そうですね。



 あれ、ちょっと待った!!



「あれ、もしかして私たちずっとここで見張りですか?」



 すると、長は何食わぬ顔で「夜にならないと、来ないから」と言った。

 さっき案内されたあの家は、ただの荷物置き場だったのか。

 してやられた。

 長はすぐに帰っていった。



「あのさ、また野営みたいなもんじゃない?」



「仕方ないよ。交代で見張ろう。先、俺が起きているから、時間経ったら起こすし、狼が来ても起こすから」



 昨日は、よく眠れたかと言われれば、かなりよく眠れたのだが、だからと言って睡眠というものはやはり大事なのだから、しっかりと取っておくべきなのだ。

 いつ、魔王に遭遇するのかもわからないのだから。



「ちょっと、何か敷くものくらい持ってくるか。ちょっと待ってて、」



 そういって、カイトが一度先程の家まで戻った。


 狼か。

 とりあえず、見張りするための場所を整えよう。

 村の中心から離れると、牛の鳴き声が聞こえてきたのと同時に、嗅いだことのない悪臭が漂ってきた。



 ここで一晩か、


 私は、鼻をつまみながら牛の様子を観察できる場所を探す。

 牛は、いわゆる放牧という形なのだろう。

 柵なんかはなく、広い草原で牛が思い思いに草を食んでいた。

 平坦な土地だったので、仕方ないちょうど牛のいるエリアと村との中間地点に陣取ることにしよう。



 程なくして、カイトも布をもってこちらに来た。


 結局、今日も隣で寝るのか。



「今、眠い?」



 カイトが布を広げながら私に尋ねてきた。



「眠くない」



「でも、夜眠れないと困るから、・・・俺が先に寝た方がいいのか。じゃあ、暗くなってきたら交代しよう」



「そうだね」



 広げた布は、一人が体を伸ばして眠れる程度の大きさしかないので、私はカイトの頭の真横に尻を置いて、座るしかない。



「じゃあ、おやすみ」



 そういって、カイトは目をつぶった。

 まあ、そんなすぐに寝れないだろう、と思ったので、彼から少し離れて周りの観察をした。



 狼なのだから、来るとしたら森の中からだろう。

 牛がいるところの奥にも森はあり、そもそも村自体が森に囲まれる構造になっているので、あちらこちらから出てこられたら、被害を零で守り切るのはほぼ不可能だろう。なんて、真面目なことを考えておきながら、私はカイトに「早く寝ろ」と念じつつ、彼の周りをウロウロとしていた。



 いそいそとしていたので、どのくらい時間が経ったかわからないが、ようやくカイトの寝息が聞こえてきたところで、私はカイトの横に座った。



「まあ、このくらいいいよね。仕方ないもの、ええ、そうよね」



 声に出しているつもりはなかったが、心の声がどうやら外へ漏れ出ていたようだ。

 私は、彼の寝顔を覗き込む。


 そういえば、彼の顔をこんなまじまじと見つめたことなんてなかったではないか。

 つい伸びてしまいそうになる手を抑える。



「ダメダメダメ、ホント、彼はただの幼馴染じゃないの」



 またもや、心の声が外へ染み出ていたみたいだ。



「え、でもちょっとくらいいいよね、そうよね。大丈夫、落ち着くのよ、」



 そういって、私は彼の鼻先を指でちょん、と触った。



「ヤバイヤバイヤバイ!!、落ち着くのよ、ルナ。落ち着くの」



 そんなことを続けているうちに、何事もないまま日が沈み、夜がやってきた。


 そろそろ起こさなきゃいけないのか、と落胆していたら、カイトは自然と目を覚ました。



「あれ、夜になったのかな?」



 カイトがぐるぐると周囲を見回しながら喋る。



「・・・じゃあ、交代だね」



「そうだね。狼が来たら起こすからね」



 なんだか、残念な気分だ。

 もう少し、彼の顔を見ていたかったのに。

 カイトは起き上がり、伸びをしたり、その場でぴょんぴょんとジャンプしてストレッチをしている。



「じゃあ、おやすみ」



 先程まで彼が寝ていた場所に、私も同じように寝転んだ。

 少し、温かい。


 私は目をつぶる。


 カイトがおやすみ、と言ったような気がしたのだが、私はそのまま眠ることにした。










 目が覚めた。

 バッと目が開き、私はカイトと目が合った。

 何か、視界の端に赤い?ものがある。と思ったら、それはすぐにヒョイ、と引っ込んだ。

 そして、体を起こす。



「お、俺何もしてないからね。ほんとに、何もしてないから」



 目が覚めたのはいいけれども、まだ頭はボーっとしていた。

 ふあ、とあくびをしてついさっきのことを思い出す。


 あれ、もしかしてカイトも私と同じことをしていたんじゃないの、と思った矢先、遠くから牛の鳴き声が聞こえてきた。



「行こう!!」



 まずはカイトが走り出した。


 私の頭も一気に冴え渡り、そして彼のあとについていく。


 さすがに、戦士の走る速度は比べ物にならない。


 敵は複数いるのだ。


 先程アクアまで使ったから、次はウィンドだ。

 まあ、狼に向かってウィンドを使うのは若干気が引けるけれども、仕方がない。

 それにしても、暗い。が、カイトの姿はなんとか見える。

 牛と狼との睨み合いの間に入り、そして狼の前に立ちふさがっている。

 しかし、暗いのも相まって、この距離ではまだ魔法は命中しないだろう。


 私は、こっちにヘイトが向かない程度のところまで近づく。

 カイトが攻撃を仕掛けるよりは、私が攻撃を仕掛けて、群れを乱すべきだ。


 幸い、こっちがどれだけバサバサと音を立てて走っても、狼の群れはこちらに意識を割ける程余裕はないので、私は思い切り走る。


 ここでいいだろう。



「ウィンド!!!」



 私は、一番私に近いところにいた狼を狙い、魔法を放つとその狼はまたたく間に空の藻屑となった。

 狼の意識がこっちに向いた瞬間を逃さず、カイトが一匹、また一匹と斬り伏せていく。


 これなら、何も問題はないだろう。さっきみたいに、狼を魔法で退治すると、せっかくの毛皮やらが無駄になってしまうからな。


 私は走ってカイトに近づく。




 カイトは、「ふう」と一息ついて、額の汗を腕で拭っていた。

 先程追い詰められていた牛は、いつの間にか居なくなっていた。



「ナイス!!」



 私はそう言ってカイトの前に手のひらを差し出す。



「一匹取り逃しちゃった」



 と笑いながら、私とハイタッチを交わした。

 地面には、血を出して倒れている狼が五匹程いた。とすると、七匹の群れだったのか。

 まあ、森の中ではそのぐらいが統率の取れる丁度良い匹数なのだろう。



「これ、報告に行こう」



「そうだね」



 私は、手についてしまった血を、地面に落ちていた石で拭った。

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