↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/11

とある赤ちゃんの話 あかちゃんタイム

 窓の外には、まっ白い雲が流れている。


 ◆


 これじゃまるで牢屋の中だ。

 1メートル四方の格子で囲まれた中に、布団だけが敷かれている。


 そして、ボクは力無く、ソコに寝るしかないのだ。

 何故ならボクは今、赤ん坊なのだ。

 勘違いして欲しくないのだが、そういうプレイをしている訳ではない。

 いやむしろ、そうであれば どれだけ良かった事か……。


 しかし、何故だろう……布団の上に寝ていることに、凄く慣れている感じもする。

 でも、自分にそんな過去があるとは思えない。赤ちゃんだもの。


 ◆


 ボクの隣には、もう一人赤ん坊が寝ている。

 黒髪・黒目で、何やらバブバブ言っている。正直何言ってるか分からない。

 その癖、やたらと泣くのだ。しかも耳元で。そして隣には逃げれないボク。こんな状況だとこっちまで泣きたくなってくる。


 でもまぁ察しは付く。 ボクは双子なのだ。

 だからボクも同じく黒髪・黒目なのだ。きっとたぶん。


 ◆


 ここに寝てから、四種類の人間がやってくる。


 ◆


 一人は黒髪の女性。

 いつもボク達と一緒にいる。

 ボクにおっぱいをくれる。

 多分お母さん。

 たまに独り言を呟く。

 何故かその言葉をボクは理解できる。

 だからその言葉通りにする。

 おっぱいをいっぱい飲む。

 大きなおっぱい。

 大きなおなか。

 大きなおしり。

 優しい顔。

 誇らしい顔。


 ◆


 一人は、おっさん。

 細いピーマンのような顔。

 妙にデコボコしてる顔が変。

 痩せこけている。

 何か言っている。

 何を言ってるのか全然解らない。

 銀色の髪に、銀色の髭。

 口髭があまり似合ってない。

 額に宝石が光ってるサークレットが綺麗。

 多分お父さん。

 たまに、ボクを持ち上げる。

 だけど、すぐお婆ちゃんに手渡す。

 でも、優しい顔。

 誇らしい顔。


 ◆


 一人は仮面の人?

 仮面みたいな人。

 顔が動かない。

 額に宝石が光ってる。綺麗。

 お父さんの額にも同じ色の宝石のサークレットがある。綺麗。

 何も喋らない。

 息をしてるのかも怪しい。

 耳が長い。

 尖っている。

 多分女性。

 服が女性服だから。

 でも、男かもしれない。

 そういう趣味かもしれない。


 ◆


 一人は、お婆ちゃん。

 ピーマンのような顔のお婆ちゃん。

 妙にデコボコしてる顔が変。

 あの顎(あご)に見覚えがある気がする。

 でも思い出せない。

 何を言ってるのか全然解らない。

 ボクのオシメを替えてくれたりする。

 お父さんの母親かと思ったけど、何か違うみたい。

 お父さんが厳しい顔で何か言うと、頭を下げる。

 でも、優しい顔。

 誇らしい顔。


 ◆


 他にも人は来る。


 みんな良い服を着ている。

 良い服すぎる気がする。


 父親と母親の服は金や銀の刺繍がいっぱい。

 ちょっと趣味が悪い。


 おばあちゃんの服は黒い。


 仮面みたいな人達の服は、額の宝石に似た色。

 この人たちが一番趣味が良い気がする。

 でも、男かもしれない。女服を着ているだけかもしれない。


 昔の西洋のお城に住んでそうな服。

 凄く窮屈そうな服。


 ◆


 ボクは喋るのが苦手だ。

 なんとなくそんな気がする。

 何故かは分からない。


 母親の言葉は理解できるのに、父親の言葉が理解できないから、そう思うのかも?

 なんか違う気がする。


 理解は出来ても、喋れないから?

 なんか違う気がする。


 あぁ、まだボクが赤ん坊だからか……。

 簡単な事だった。


 昔の記憶が無い。

 赤ん坊だもの、昔なんか無い。


 あ、うんこでそう。

 とりあえず泣くか。


「おんぎゃーーーーーーー」

 ちょっとアザトい?

 すると隣の赤ちゃんも泣きだす。

「おんぎゃーーーーーーー」

 泣き方がナチュラルだ。



 あ、お婆ちゃんが来た。


 えい!


 気持ち悪い時間は短い方が良いに決まってる。



 ◆


 ボクの目の前を、雲が流れる。


 あぁ、多分おねむの時間だな。


 窓の外を見ると、遠くに雲が流れる。 雲に鳥の影が走る。


 ボクはボクの心に囁く。


 【眠れ】


 これ……で、すぐに眠……れ……る――


 ◆ 時は流れ ◆



 ボクが卒乳する頃、お母さんがいなくなった……。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。