とある戦士の話 2
村長の家の玄関先にて
「あんら、ヨサーク」
村長の家を出てすぐ、オラを呼び止める声がしただ。
顔なんか見んとも声質で解る。 村長の娘、三女スーナだべ。
「ォゥ、ぉはょぅスーナ……」
「おはよう、偶然だなぁ」
何が偶然なもんか、待ってたのは知ってるべ。
そもそも「偶然だなぁ」って、ここはお前の家の前だからな。
そんなオラの思いも置いて、一人で喋りだした。
「そういえば、おまはんが山小屋さ行ってるあいだに、タリシェフ様とテリシェフ様が来たんだわ。」
◆ 説明しよう
山小屋
村から離れた場所の木を切る間、拠点となる場所で、長期間の宿泊・滞在することもある。
◆
タリシェフ・バーミンソン
バーミンソン男爵の三男で第一夫人の次男、次女イーシの婚約者、次の村長候補
テリシェフ・バーミンソン
バーミンソン男爵の四男で第二夫人の次男 ヨサークと同年
◆
「んで、最初は街と違って空気がうめぇとかゆうて、お二人とも喜んどったんだども、ここに着たとたんタリシェフ様が気分が悪いとかゆうて、とっとと帰って行ったんじゃ。」
「へぇー」
「あんな急に気分が悪くなるもんだべな? 出迎えたイーシ姉もせっかく綺麗なおべべ着てたんだども、会った途端にあれじゃ心配もするわなぁ」
「へぇー……ん、もしかして、タリシェフ様はイーシ姉と会うの初めてか?」
「多分そうだべ。 街からこの村まで道のりも長いし、そう簡単には行き来できんべ。 そう考えたら、数日はこの村で安静にしといて貰った方がよかったかもな」
なるほどタリシェフ様は、初めてイーシ姉に会って、容姿が……
だから、村長はオラとスーナをくっつけて、この村の村長になれと……
これは、ヤバイかもしれん!
スーナはオラと同じ12歳だども、3年もしたらイーシ姉みたいにゴツくなって、6年もしたらイーワ姉みたいにゴツゴツになるんじゃ!
なぜなら、もうその前兆はでてるべ!
本気でアリスを娶るか、この村を出て行くかせんと、スーナとくっつけられてしまうべ!
「オラ……」
「なんだべ?」
そうじゃ。 どっちにしてもこの村には居れん。
「オラ街に出て魔物退治するべ」
「魔物は危険じゃ。この辺には出んし、この村に居ればいい」
「街に出て、ドラゴンを狩るんじゃ」
「街にドラゴンは出んと思う。」
「街に出て、魔王を狩るんじゃ」
「街に魔王は住んどらんと思う。」
オラは涙ぐんだ目でスーナを睨む。
「魔力持ちの戦士の運命なんじゃ!」
そして走り去って行くオラ。
よし、村を出よう。




