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■07スポンサー探し

さて、着任早々問題に巻き込まれたレオパルドであったが、レオパルド自身は何をするでもなくあっさり解決してしまった。

まぁ、現場の後片付けや本社へ提出する報告書の作成などはあったが、それらも殆ど地域の人たちとおばちゃんずがやってくれたので、レオパルドは最終確認と書類へサインをするだけで済んでしまった。


そう、今回の事件に関してレオパルドは全く出番がなかったのである。

まぁ、それはそれで楽だったね、と言う者もいるだろうが、着任早々というハンデはあったものの一応レオパルドは冒険者ギルドエッセニア支部の最高責任者なので、面子の面からはかなり低評価の烙印が押されたと言わざるを得ないだろう。


なのでレオパルドは、だだ下がりした人々からの信任を回復すべく、これだけは人に任せられない仕事を始めた。それは支部活性化の為のアイデア探しと、そのアイデアを実現させる為に必要になるであろう資金の調達、つまりスポンサー探しだ。

特にスポンサー探しは責任重大である。これなくしてはどんなに素晴らしいアイデアも現実化が出来ないのだから。


とは言ってもエッセニア支部のあるアザー王国は貧乏国であった。いや、そもそもこの異世界ではウロナ王国は別格としても、ファンタジア王国とロマンス王国くらいしか大国と言える国家がなかったのである。

いや、単に財力の比較だけならばこの異世界には人間界とは別のグループが存在していて、そのグループは結構な資金を持ち合わせていた。


と言うか、ファンタジア王国が隆盛なのはそのグループがあればこそだったのだ。そしてそのグループとは、魔王率いる『魔族』であった。

因みに魔族と一言で言ってもその種類は多様で、それ故魔王も沢山存在していた。そう、この世界では魔王や勇者は一人だけではないのである。当然聖女も沢山いた。


つまりこの異世界には魔族も人間のように地域毎に魔王がいて、それぞれの土地を支配していたのである。

それ故に魔族たちも一枚岩でなく、時には人間と協力して別の魔王を攻撃する魔王もいたのだ。


そしてこのエッセニア支部があるアザー王国に隣接した地域も魔王の管轄地で、その地を統治している魔王の名は『アンジュ・ノワール』と言った。

そんな魔王は神から悪魔に堕ちた堕天使の直系の子孫と噂され、数いる魔王の中でも中位の上クラスに位置する魔王であった。


なのでレオパルドはこの魔王『アンジュ・ノワール』にスポンサーになって貰えないだろうかと真剣に考えた。

その根拠として、実はレオパルドは本社にいた時に魔王『アンジュ・ノワール』について色々調べる事があり、魔王が結構な資産家で、且つ数いる魔王たちの中では穏健派だという情報を得ていたからだ。


そして他に妙案が浮かばなかったレオパルドは魔王『アンジュ・ノワール』にアポイントを取り付けた。

そして暫くすると先方から会ってもよいとの返事が返ってきた。但し条件として『おばちゃんたち』も同席させよと言ってきたのである。


この条件をレオパルドは訝しんだが、背に腹は代えられない。しかもおばちゃんたちにこの件を伝えたら、二つ返事で了承してきたのである。

なのでレオパルドはその事をエレベに尋ねた。


「えーと、もしかしてエレベさんたちって魔王とお知り合いなんですか?随分簡単に了承しましたよね?」

「まっ、あいつとはお隣同士ですから。なので昔から色々あったのよ。でも安心して、今のところ7戦4勝3引き分けだからこっちが圧勝。」

中の上ランクの魔王相手に7戦4勝3引き分け・・。これはちょっと俄かには信じられない戦績だ。

だが、レオパルドは先の事件でおばちゃんたちの実力を結果だけとは言え垣間見ていた。なので、それがホラではない事を肌で感じていたのだった。


だが、それでもまだ疑問は残る。そんな魔王にとっては天敵とも言えるおばちゃんたちを、何故魔王は同席させようとしているのか?

これはもしかしたら罠なのではないかとレオパルドは思い始めた。

しかし、そんなレオパルドの危惧もエレナは一笑に付した。


「あはははは、それはないっ!少なくともアンジュはもう懲りているはずだからないわ。まぁ、新しい方法を編み出した可能性はあるけど、その時はその時です。まだ打破してやればいいだけですから。」

あっけらかんとしたエレベの物言いに、レオパルドは背筋に冷たいものが走るのを感じた。


これはもしかして、僕って爆弾を抱えた立場にいるんじゃないだろうか?何か彼女たちの癇に障る事をしたら僕って一瞬で消されちゃうかも・・。


だが、レオパルドは頭を振ってその考えを追い出した。そもそも部下が優秀なのは上司としてとても楽なはずなのだ。

それを下克上を怖がっていては上司は務まらない。と言うか、その感情の底には男女差別があるように思えてレオパルドは自分を恥じたのだった。


いや、レオパルドよ、その感情は至極まともだと思うぞ?だっておばちゃんたちって本職はギルドの事務系職員なんだろう?

なのにそんな彼女たちが副業で上位冒険者のような実力があるって事がそもそも異端なんだよっ!どんだけキャラを盛り込んでいるんだっ!


いや、通常は平凡な社会人として生活しているのがヒーローの常套手段だったね。スーパーマンも日頃はしがない新聞記者だったしな。

因みにバットマンはゴッサム・シティの巨大企業のオーナー兼経営者で超お金持ちだったはずだ。


ともあれ、おばちゃんたちからは同席するとの返事を貰えたレオパルドは、次にプレゼンテーション用の資料を作り始めたのだった。

そう、どんなに優れたアイデアでも相手に理解して貰わなければ現実化ないのだ。特にお金が絡む時は尚更である。


まぁ、本当ならば双方win-winとなるのが一番なのだが、事業とは中々うまく行くものではない。

仮にやり始めは好調でも、持続させるのは大変なのである。そこら辺も含めて、レオパルドは将来の具体的なビジョンを形にすべく、資料作成に没頭したのであった。

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