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■04地域の活性化案

さて、先にも説明したが冒険者ギルドの支部は独立採算制である。それでいて本部にはロイヤリティを上納しなければならないので支部を預かるギルド長としては何かと大変なのだ。

そして地域を盛り上げると言っても他で成功した事案をただ真似ただけではまず失敗する。そう、企業を誘致しようと無計画に工業団地を作ってもインフラや人材が整っていなくては企業は来てくれないのだ。


なのでレオパルドはまず地域の特色を学ぼうとこの地域に伝わる逸話集を読み始めた。そこからエッセニア支部が賑わっていた頃の要因を知ろうとしたのである。

だがこの目論見は直ぐに瓦解した。何故ならばエッセニア支部が賑わっていたのは『ハイファーン支部』の余波が原因だったと直ぐに判ったからである。


つまりエッセニア支部の賑わいはハイファーン支部のおこぼれであり漁夫の利だったらしいのである。

だが、それでもレオパルドは逸話集の中に書かれていた一文が気になった。それはハイファーン支部内での権力抗争に敗れた一派が。かなりの額のお宝をギルドの金庫から持ち出してこの地に落ちのびた際、そのお宝をどこかに隠したというものだった。


その額、なんと当時の価値で333億ギールっ!もっともそれらは現金ではなく貴金属や骨董品などだったらしいので今ならばもっと価値が上がっているはずである。

なのでその隠し埋蔵金を探し当てればそれを原資としてかなり大掛かりな事業も展開できるはずとレオパルドは考えたのだ。


とは言っても埋蔵金はあくまで噂でしかない。仮にそれが本当だとしてもどこに隠されたのかという情報は書かれてなかった。つまり埋蔵金かなり怪しい情報でしかないのだ。

まぁ、それでもその『噂』は今後この地に人を呼び寄せる『飴』としては使えるかも知れないので、レオパルドは一応ノートに書き留めておく事にしたようである。


因みに後から聞いた話では埋蔵金は眉唾でも魔王の隠し湯と呼ばれている温泉は実在するらしい。ただ場所が山奥なので猟師くらいしか使わないとの事だった。

そして嘘か真か怪しいが、この温泉はそれなりに効能はあるらしい。


まっ、これも資金さえあれば隠し湯までの道路を整備して、尚且つ温泉周りの設備を整えれば観光客を呼べる物件になるかも知れない。なのでレオパルドはこれもいずれ自分で確かめようとメモったようである。

更にレオパルドは魔石が枯渇したダンジョンをなんとか別の用途に使えないかとも考えた。


そう、ダンジョンはそのまま放置しておくと盗賊や犯罪者の隠れ家や拠点になりやすいのだ。そうさせない為にもダンジョンは手を入れて管理しなければならないのである。

ただその為にはやはり人手と資金が必要で歴代のギルド長は出費を嫌って放置していたらしい。


そこでレオパルドは本社にいた頃から温めていたダンジョン活性化の方法を試したいと考えた。

その方法とは寂れたダンジョンを新人冒険者育成用に改造して研修施設として活用するというものだった。


更にこの地域にはその様なダンジョンが沢山あるので、それらの一部はアトラクション化する案も浮かんできた。

その案とは来場者にクエストを提供し、その出来具合によってランキングを付与するというものだ。つまり冒険者ごっこをしてもらうのである。


そして、それらが計画が順調に進めば必然的に人が増えるので、それらの人々を収容する宿泊施設も増設しなければならない。

勿論道路網の整備と補修も必要となるだろう。また来場者たちにお金を使ってもらうという事は銀行業務も必要になるはずだ。


そして更には来場者の数が見込めるようになったらダンジョン以外の娯楽施設も作りたいと考えていた。

つまりレオパルドはこの地をダンジョンを活用した一大アトラクション地域にする計画を持っているのだ。


とは言え、それには先立つものが必要である。もしくはスポンサーか。

そう、夢を語るのはタダだが、それを実現させるには資金が必要なのである。そしてその額は規模が大きければ大きいほど膨らむのだ。


そんな夢の計画を卓上で夢想していたレオパルドの元にエレベがひとりの男を連れてきた。


「失礼します、ギルド長。この男は私の知り合いの猟師なのですが、先日山に入ったところ今は使われていないダンジョンに見知らぬ一団が出入りしているのを見たそうです。しかもそいつらはダンジョンにかなり高性能っぽい通信設備を持ち込んでいたとか。これって、先頃本社から通達があった成りすまし詐欺集団ではないでしょうか?」

「えっ、マジで?えーと、ちょっと詳しく話を聞かせてよ。」

エレベの報告にレオパルドは危険な匂いを嗅ぎつけたらしい。そう、冒険者ギルドにとって魔物はある意味商売道具だが、犯罪者は地域の治安を悪化させるので殲滅すべきゴキブリとして認識されているのである。


さて、ここでギルド本社から通達があった成りすまし詐欺集団について説明しておこう。

その集団の元締めは悪の組織『まおーん』と言った。そして『まおーん』は悪の組織と言うだけあって様々な悪事に手を染めていた。


それらの悪事とは贋金作りや、無許可での漫画の複製、更には強盗や人身売買など多岐にわたる。実際、人身売買に関しては最近この地区でも行方不明になる者が出ていた。

なので成りすまし詐欺集団はあくまで悪の組織『まおーん』の一犯罪部門でしかないのだ。


そしてこの成りすまし詐欺集団は、各国の王都に住む高齢者をターゲットとし、高齢者の息子や孫に成りすまして魔法通信機を使って連絡を取り、仕事でミスをしてしまったのでその金を補填しなければならないと泣き付くらしい。

そして通話を受けた高齢者の中には身内の一大事とパニクって、確かめもせずに金を用意してしまい受け取りに来た見ず知らずの者にお金を渡してしまう場合があるのだ。


また、別のケースだと税務署を騙って遠い親戚が残した莫大な遺産相続の権利があなたにあるが、その権利を行使するには担保金を一旦税務署に納める必要があると騙くらかし、お金に目がくらんだ者たちからまんまと金をせしめるケースなどもあるらしい。


そしてこれらの詐欺に使われるのが魔法通信機であった。そう、今は魔法通信機一本で簡単に詐欺が出来てしまうのである。

とは言ってもこんな話に騙されるのはほんの一握りの方々だ。なので成りすまし詐欺集団は多数の通信機を駆使して裏社会から手に入れた通信番号に通話を掛けまくり、数打ちゃ当たる戦法で得物が引っかかるのを待つらしい。


ただ、そのは活動拠点は小国間の国境や大国ならば地方の山中などとする事が多かった。つまり人目を避けたのである。

まぁ、これは詐欺の方法が魔法通信機を使い何処からでも通信できるが故に出来るようになったやり方だろう。


もっともその為には高性能な通信機器が必要で、社会活動が盛んな街中などならばともかく、山中でそんなものを備えるのは不自然である。

なのでその事を猟師はいぶかしみ冒険者ギルドに知らせに来たのだ。


そして猟師の話を聞き終えたレオパルドは、かなり信憑性が高いと判断し明日にでも自ら調べる事にして男に案内を頼んだ。


さて、着任早々きな臭い問題が舞い込んできたが物事には順序というものがある。なのでレオパルドは散らかした書類を片付けると、迎えに来たエレベに誘われるまま歓迎会に出席すべく1階の受付ルームへと降りたのであった。

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