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ボールドウィン・ストライカー  作者: 三重野 創


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宇宙を創る

 ワールドカップ最終予選が始まった。ノボルに発奮したのか、今年の高校サッカーは大いに盛り上がった。技術の素晴らしさもそうだが、エンターテイメントして目が離せない一戦が続いた。日本代表の未来は、明るい。


「いいとこ走ってるじゃねえか」

 対戦相手はG国。RSBの後咲あとざきシュンは、左サイドをグングン上がるノボルを見定めた。


 前々回の俎上にもあがったが、右サイドバックは右利き、左サイドバックには左利きが良いのは、疑いようのない事実だ。右側から攻めてくる相手左ウイングに対して、ゴールと線状に結ぶ位置にポジショニングするのが鉄則だ。そうすると必然的に斜め左立ち構えになる。利き足の右側が使いやすくなるハズだ。同じ理屈が、ひっくり返しの左サイドバックにも当てはまる。


「いくぜ!」

 針の穴を通すようなロングパスが、ノボルに到達した。そう。DFが起点となって攻撃を開始する場合も、右サイドバックには右利きを置いたほうが好都合だ。RWへのパス、CFへのパス、LWへのパス。MFへのショートパス。どれも容易にキックコントロールがしやすい。これが逆足だと利き足に拘わらず動作が遅れてしまうし、そのせいでキックを躊躇いパスコースも限定されてしまう。意外とこのセオリーが守られず、モタモタしたパス回しが繰り返されるのを、目にする。蹴りやすい位置にボールを動かしてから、パスしているのだ。


 ただ、チーム全体に右利きと左利きが半数ずついることは、まず無いだろう。であるからして、MF・DFがほぼ右利きだった場合、ボールの行方は必然的に左サイドへ集まりやすくなる。LWにファンタジスタが多いのは、こうした理由がある。


 ノボルがワントラップでRSBのマークを外すと、一気に加速して置き去り、ノンストレスのままニアサイドへ蹴っ飛ばした。

 これが決勝点となり、日本代表は最終予選を通過した。


「ボルはスペースを創るのが上手いのよね」

 七星中学の体育館に全校生徒が集まって、パブリックビューイング観戦中であった。


 サッカーコートを満遍なく使う能力は、簡単なようでいて難しい。並の人間は、空間の使い方に偏りがある。自分の快適なスペースに、留まりがちな傾向があるためだ。そしてその範囲が狭い。


 日本各地を見渡してみても、人気ひとけは無いが宝の山のような地域は、至る所にある。ノボルはそういう好機のスペースを見つけ、見事モノにするのだ。


「ちゃんと会場を片付けないとね」

 ゴミを捨ててスペースを創れば、幸運はやって来る。








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