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ボールドウィン・ストライカー  作者: 三重野 創


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マッハ蹴り

 ノーゴールの瞬間、フットボーラーは己の不甲斐なさを怨む。『コースが甘かった』『あともう少し早く打っていれば』『トラップが悪い』いくらでも言い訳は出て来る。


「ノボル。お前のシュートなんだが」

 決野に呼ばれるノボル。晴れてサッカー日本代表に選ばれた。


(展開早すぎだな・・・)


「14であれだけの球速はなかなか出ない。どうやって会得したんだ?」

 漫画作品と違って文字だけのサッカー物語である。ダラダラやっていたら打ち切られる。


「色々あるんですけど」

 ノボルは得点力不足だった時代の日本代表に、明確な答えを出していた。シュートスピードが足りない、それだけであった。


「ゴールを割る・割らないの決定的要因は、球速だと思うんです。それを伸ばそうと考えたのが10歳の時でした」

 坂道ダッシュ、階段ダッシュを始めたのもこの頃である。ノボルは自分のトレーニング法をつらつらと述べた。


「ウェイトだの科学トレーニングだのいっても、結局そういう地道な運動が効くんだよな」

 ドラゴンボールの重力トレーニングではないが、負荷を掛けた結果、平地での動きが軽やかになる。


「坂の近くに住む人は長生きが多いって話も参考になりました」

 適度な心臓と脚への刺激が、長息に繋がる。


「あと、お前柔らかいよな」

 ノボルは軽々と180度開脚が出来る。


「昔から特撮が好きでして! 大抵忍者や空手使いが出るんですが、サッカーにも活かせると閃いたんです」

 ケイン・コスギの大ファンである。


「それだけじゃない、あの子だろ?」

 ノボルにいつもついて回っているリーナのことだ。


「リーナですか? そうなんですよ。家がバレエ教室をやってるので柔軟のやり方をよく教わりました」

 リーナはノボル以上に柔らかい。中国雑伎団にもすぐ入れるだろう。


「そいつは良かったねえ」

 決野の追っかけの数は代表1だが、時代が時代。色恋沙汰は御法度トリックだ。


「おかげでヘディングだけじゃ無くてマッハ蹴りが出来るようになりました」

 ファールにならないように注意が必要だ。


「ふうん。足の甲もずいぶん柔らかいよな」

 左右差はある。得意の左足のほうが開きやすい。足首が硬いとボールの芯を捉えにくい。


「これは正座やヤンキー座りが有効ですね」

 いきなりやると筋を痛めやすいので、掴むところを用意し、徐々に指を離していくようにするとほぐれやすい。










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