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ボールドウィン・ストライカー  作者: 三重野 創


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16/17

ロケットダイブ

《火輪還、渾身のダイビングヘッド~!!》

 ノボルが頭でねじ込んだ。ワールドカップ本戦まで、のこりわずかである。


「やりやがったな、あの石頭!」

 めったに笑わない奥義キャプテンの口元が、ほころんだ。


 この後、決野のロングシュートもネットを揺らし、日本への期待値は否が応でも高まった。


~~~


「またボルにやられたよ」

 決勝点に比べて、追加点の印象は薄い。


「ダイビングヘッドはいまあんまり見なくなったよな」

 千田は身長が高いわけではないが、頭で合わせるのは得意だ。


「ダイビングヘッドが生まれやすい布陣は、あるんですよ」

 御託だけでとどまらないのが、ノボルの良さだ。


「ま、俺がアシストしたんだけどな。ナイスボールだったろ?」

 決野の右サイドからのラストパスであった。


「僕の持論なんですけど、この形を作るには左右のポジションと利き足の左右が一致してないと駄目なんですよ」

 リーナとも話していた戦術である。


「分かるぜ。いまだにFWやWBで左利きを右サイドに配置するチームはいるよな」

 新しいことを試すのはいいが、うまく機能しなければすぐ変えなければならない。


「どちらからのサイドでも共通ですけど、ダイビングヘッドしやすいボールを供給出来るのは、右サイドなら右利き、左サイドなら左利きですよ」

 ゴールキーパーから見てマイナスのほうにボールが回転する。


「そうだよな。俺のポジションから左足で蹴ったら、上手く合わせるイメージが湧かない」

 決野は、もちろん左足も使える上で、話している。


「ディフェンスとフォワードが同じラインで並走していても、ダイビングヘッドなら、頑張ってあと一歩飛び込めば競り勝てますからね」

 センターフォワードがディフェンス2枚にサンドイッチされていたとして、右サイドからの左利きによる縦の流れるボールでは、相手側からしたら守りやすい。


「これを指導者がよく分かってないんだろうな。プラスのボールでゴールに近づけばいいってわけじゃない」

 ボールを一番供給される側の千田の発言は、前線で闘う男だけが持つ、真実味のある言葉だ。


「速攻で右サイドに出たボールを、左利きが切り返しちゃみすみすチャンスを潰しちまう」

 決野は、去年まで左サイドで活躍できなかった経緯がある。


「三浦監督は最初からこの方針でしたけど、Jリーグの監督にも再考してもらいたいです」










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