オルゴールで俺ゴール
ワールドカップ前哨戦。日本代表にいつもの精彩がなく、惜敗に終わった。ここ5大会ほどは事前の盛り上がりに欠けるが、前大会の躍進を受け、注目度は鯉のぼりだ。
日本代表の辞書に、練習不足の文字は無い。鎬を削る攻防戦で、後悔をしないためである。勝った時はあまり気付かないが、負けた時真っ先に思い当たるのは、練習不足である。試合前の緊張を落ち着かせるのは、あれだけやったんだという裏付けだ。
「どれだけ頑張っても、負けるときは負けるもんさ」
頑張らなくてもいい社会など、まっぴら御免の決野。
「負けるってことは何かが足らなかったんスよ」
そうやすやすと負けを認められない千田。実力が伯仲しているチームの勝敗を分ける物とは、何か。
「前線でプレスを掛けるのは今まで通りでいいと思います。それは上手くカット出来てましたからね」
ディフェンスのオーバーラップも防げる。
「中と後ろで新顔を出したからかな。その辺の連携がな」
決野たちも20歳前後なので、十分新顔だ。
「二大会続けて出れる選手のほうが稀っスからね。監督も色々試したいんスよ」
急に総メンバー取っ替えは出来ない。
「アウェーだったってのが大きいと思いますけどね」
ところが、日本人以外にも侍ブルー旋風が起きている。
「そんなダセー言い訳してんじゃねーよ」
半分の負けを認めることになる。
「外弁慶になるんだよ、ノボル」
かあちゃんには頭が上がらないが、外でバリバリ働くのが日本男児である。千田も彼女の言うことをはいはい聞く。
「家では大人しいのに学校ではっちゃける子っていますよね」
あばれはっちゃくのように逆立ちすると、本当に良い考えが浮かび上がる。
「野球でもあるだろ、応援歌や登場曲が。ああいうのが欲しいよな」
その大会のテーマソングならあるのだが。
「93年のCAMPIONE NIPPONみたいなやつですね!」
ドーハの悲劇は動画で何度も見ているノボル。
「メロディはあのままでいいんだよな。選手名と歌詞を替えりゃいい」
なるべく後ろで登場して欲しいと思っている千田。
「あとは攻撃の時のイメージソングだな」
ムード盛り上げ楽団のような効果は確かにある。
「俺ら三人はトライガンって通り名が付いてますから、やっぱH.Tっスね」
超攻撃サッカーにピッタリだ。
「それとメガデスのHoly Wars ですね!」
人類の最終決戦にも相応しい。




