生中より朝中
「フットボーラーたるもの、酒には気をつけないとな」
20歳になったばかりの決野には、誘惑が多い。
「ツバっさん、禁酒とまでは行かなくとも、毎晩は危険っスよ」
千田はまだ19歳だが、酒に溺れて身を滅ぼす先輩らを見てきている。
「まだラーメンのほうが可愛げがありますね」
30前に引退する選手がほとんどだとノボルも諦観している。アラサーもアサラーだ。
「朝ラーメン食べれる店が出て来たよな」
24時間営業だったりする。
「それなんスけど、牛丼チェーンは朝からガッツリイケるのに、中華のそういう店舗が無いっスよね」
せいぜい、10時オープンである。
「ああ~、朝の8時くらいにめっちゃチャーハン食べたい時ありますよ!」
朝チャーである。
「健康的にどうなんだろうな(笑)」
胃袋が丈夫でないと厳しいだろう。食べたくなるのは健康の証か。
「食べたいですけど、食文化とか破壊しにきてる感はあるっスよね~」
ただ、朝食バイキングが物足りないという人は一定数いる。
「お前、マシュマロマンみたいになっても知らないぞ?」
千田は筋肉マンだが、ボディビルダーのような極端な食事制限はしていない。
「商売として成り立つかは分かんないんですけど、朝マックに行って肩透かしを食らう人はいると思うんですよね」
昼メニューと比べて、大幅にカロリーダウンだ。
「朝からビッグマックか? 頼もしさはあるな」
そうはならんやろ。
「可能性あるとしたら、モーニングやってる喫茶店っスかね」
朝、ミニラーメンの付いてくる店もある。
「チャーハンはレンチンぽいですね」
さすがにラッシュアワー時に中華鍋を振れるゆとりがない。
「AモーニングとかBモーニングとか固定すりゃ、ありえるかもな」
そんなに朝中を食べたいのか。
「夏バテ防止やスタミナ増強に向いてると思うっスけどね~」
運動量の多い彼らだから、許されるのだろう。
「中華弁当とか中華おせちも確かに美味しいです!」
なんでもジャパナイズして進化させる国民性である。
どこの国の料理が好きかという次元なら、かわいいものだ。
地球上では、どこどこの国が優れているという序列は付けられないだろう。だが、一国内に限って言えば、何が優先されるのかは自明である。世界を日本に置き換えてみればいい。青森県政が青森県民を差し置いて、宮崎県民を優遇したりはしないし、あってはならない。




