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異世界に転生したけどファンタジーなのは俺だけらしい  作者: 三十六
王都武芸大会編

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80話 武芸者の矜持 2

-武芸大会会場 選手控室 ローランド-


 決勝では無事にグレンに勝って今年の優勝を決めた。いつもより熱が入ってしまって奴も少し驚いていた様子だったな。少々強めに撃ち込んでしまったが奴はまだ若い。直ぐに回復するはずだ。


 まずはこれで流派の面子も回復、周囲の掌返しが何とも困ったものだが、気にしても仕方があるまい。そういうものだと心得ておけば良いだけのことだ。

 表彰式の段取りを伝えるということで、この部屋にもうすぐあの黒鎧が来る。私自身は何度かやっているので説明は不要なのだが、どうしても彼女と直接話す機会を得たかったのでこうして待っている訳だ。


 暇つぶしに係員と他愛無い話をしていると、彼女が到着した。


「私がブラックロータスです。ここに来るよう指示を受けました」


 係員が驚いて反応に困っている。確かに優勝者がこんな女性とは思うまいな。


 係員が彼女に式の段取りを説明する間、静かに待つ。あの凄腕が目の前の女性とはな。今でも信じられないところだ。む、説明が済んだ様だな。


「代理人では無い様だね。新人戦優勝おめでとう、お嬢さん。少し聞いてもいいかな」


「ありがとうございます。貴方こそ見事な腕前でした。本戦優勝おめでとうございます。私にどのようなお話でしょうか」


 ほう、礼儀正しいお嬢さんだ。あれほどの腕で少しも驕ったところが無いとは。


「はは、これは丁寧にありがとう。師はどなたかな?」


「ほぼ我流で明確な師は居りませんが、一時期師事した方を模しています。ゼベットと言う者です」


 何だと?まさかあの人の名前をここで聞くとは・・・という事は、この女性はあの地獄の様な修行を熟したというのか。私達でも何度も吐いて結局音を上げたというのに・・・それは強くなるはずだ。待てよ・・・そもそもが相当な才能が無ければ難しい内容であったし、だいたいあの人が手加減なんて覚えるとは考えにくい。それに決勝で当たったあの子供の方も面倒見ていたとすれば・・・ひょっとしてこの女性はあの人の娘か?だとすれば化け物じみた強さなのも分からんでも無いな。確認したいところだが登録に偽名使ってるぐらいであるし、はぐらかされるだけか。聞くのは止めた方が良かろう。


「ほう・・・あの高弟ゼベット殿の・・・。いやぁ、同門とは。これは嬉しい事を聞いた。ありがとう、引き留めて済まなかったね」


 しかし今大会は本戦・新人戦共に我が流派の勝利か。やはり王国最強の旗を掲げるのは南聖流ということだな!そう言えばあの子供は苗字が有ったな。確かサマリードと言ったか。この辺りでは聞かぬ貴族名だし、あの強さなら騎士には申し分なかろう。ラキスに紹介しておいてやるか。同じ流派の先輩として、これぐらいは当然してやるべきだな。

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