48話 第二の村 1
-サマリード領 フォート開拓村-
ロコナ村を南に下るとフォートという小さな開拓村が有る。そう地理上の情報としては知っていた。
実際に見に訪れてみると、開拓地には違いないが精々が集落という程度でしかない。エクスで確認したところ、住人は比較的若い者ばかりが20名程度。ビッグベアー湖の北東部で細々と小さな畑を作り、漁をして暮らしている。
生活水準はロコナと同じかそれ未満。正直、何がしたくてここに居るのか理解に苦しむところだな。何かしらの理由は有りそうだが、大した事じゃないだろう。
-自警団詰所 食堂-
「あぁ、あいつらフォートって名前にしたのか。で、お嬢は何が知りたいんだい」
とりあえずタニアに何か知らないかと尋ねると、良くない雰囲気になった。
彼女にはあまり関わりたくない事柄の様だ。こういう反応は珍しい。
「彼らがあそこで暮らしている理由です。何かご存知ではありませんか」
面倒事には関わりたくないが、兎に角事情は知っておきたい。
「あそこにどんな連中が住んでいるか、知っているのかい」
「いえ、どなたが住んでいるのかも知りません」
「ではラドクリフという名前に聞き覚えはないかい」
「残念ですが全く有りません。何か特別な方なのでしょうか」
嫌な予感しかせんな。だが避けては通れまい。
「話は聞かされていないのか。5年ぐらい前だったかな。だいぶ揉めてね」
タニアは俺に話すのを躊躇っている。知らせて良いのか迷う内容らしい。
「まぁ、皆も周知の話だから構わないか。一種の反乱行為だね」
何だ?どうも穏やかじゃないな。
「武装蜂起とか物騒な話じゃない。別の貴族に治めてもらおうって話が持ち上がって、暫く騒動になった。一時は熱くなった者も多かったんだが、トーラスが諭して上手く収めた。ただ、一部の奴らは不満が強くて納得しなくてね。翻意を促す村長の説得に耳を貸さなかった奴らが村から出て行ったという話さ」
そんな事が有ったとは聞いていないな。俺が知らなかっただけかも知れんが。
「その騒動の大元がラドクリフって司祭だ。不満の強かった奴らを連れて、湖近くに新しく村を拓いたとは聞いている。その後どうなったかまでは分からないね」
なるほどな。しかし強い不満ってのが気になるな。
「出て行く程の不満が有ったという話ですが、何かに困っていたということですか」
「そうだね。ずっと困っていたよ。簡単に解決しないってのも分かってた」
不意にタニアが俺の顔を覗き込んできた。
「でも最近はそうでもないか。皆、解決しそうだと感じているみたいだしね」




