↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
生け簀の国のジン   ド田舎に生まれたら、お嬢様系幼馴染が攻撃力も防御力も高い上にボス耐性まであるんだが  作者: 長月未至


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
18/19

職場の風景 (5)

板張りの廊下を歩く。床は程よく黒ずんでいて、ピカピカ1年生って感じがまるでない。その上檜みたいな香りがする。檜張りのお屋敷建てるのは男の夢って?  少なくとも俺の趣味じゃないな。コレクションを並べられて、一通りゲームが出来れば十分だな。……あれはとっくの昔にゴミに出されただろう。傍から見ればガラクタなのは否定できないし。

呼び出された時はいつも明るく照らす窓ガラスは真っ暗。いくら日当たりも良好といっても、今は夜明けるか明けないかって具合だからな。






蝋燭に火が灯っている。良い香りがするし、おまけに絵付き。洒落た飾りのついた十字架だ。台は何かを背負う男を象っている。


「ボス、朝早いぜ。」


といってもそんなに眠りが必要なわけじゃない。ほぼ24時間稼働だ。俺こそ真の企業戦士さ。


「仕事よ。」


ジンがいつものように言ってくる。


「はん、なんなりと。」

「殿を務めなさい。」

「あいよ。」


どこのどいつをぶっ殺せばいいんだ。誰が来たって苦戦はしないだろ。しても死ぬまでコンティニューだ。


「遠征組から、敵との接触を受け、後続の撤退が完了するまで戦闘を行うとの連絡を受けた。あんたは彼らと交代して、戦闘を継続なさい。」

「お安い御用だ。」

























やたら湿気っていて、息が詰まりそうだ。長居したら、黴が生えそうだな。

洞窟、定番のマップだ。簡単なのから難しいのまで、さんざん彷徨ったな。レベル上げしてたら、うっかりしてそれまでの時間を何度パーにしたことか。引き際ってのがあることを学ばされたね。

走っていると、どこまでも行けそうな気がする。これが運動できる奴の気持ちか。あいつらずっとこんな気持ちを味わっていたんだ。ずるいんじゃないか、なんて。これが昔にできれば。いや、それでも連中とは仲良くなれねーな。ナイーブがすぎる。

道案内はもう後ろに。途中までは合わせて走った。連中を一言からかいたくなったな、チャリンコ走らせている先公みたいに。そこまでガキやってないから、口にはしなかったが。このまま真っ直ぐいけば良いらしいから置いてきた。ナビご苦労さん。










暗がりに、灯りがぼおっと浮かぶ。1つ、2つ。その周りには男共に女共。みんなボロボロ。傷を拵えて、矢弾少なく、剣も弓も折れ曲げが多い。HPは黄色、攻撃力1段減少って感じ。バトルは一段落ついたとこみたいだな。雑魚がいったん退いたのか、こいつらが全滅させたのか分からないけれど。


「騎兵隊の参上だぜ。」


男に話しかける。血まみれで、剣にだってべっとりと脂がついている。周りの視線を集めているから、リーダーだな。


「あなたが、1人で?」


連絡された通りに誰か来たけれど、そいつが怪しい、って感じか。おまけに俺は松明持ってきてないし。


「十分だって判断されたのさ。信じてもらっていいぜ。」

「    そうしよう。よろしく頼む。」













十字路を通せんばしていると、ぶんぶんと耳障りな音が響く。羽音のさざめきだ。嫌な感じがするが、少し嬉しいような気もする。まだ人間って感じがするから。

のそのそと這ってくる。黄色い蛇だ。腹の辺りが膨らんでいる、ツチノコだ。ツチノコは本当にいたんだ!  これで懸賞金が手に入るな。

真っ二つになる。迂闊に跳んでくるから。やっちまった。ちくしょう。

空気が動く。2匹、3匹と似たような大きさ、同じ色合いの鱗。そいつが跳んでくる。おかわりか。有難いね。

それに、ぶーんと羽音が続く。居た。蜂だ。見慣れた大きさ。スズメバチだな。いかにもぶっ刺さりそうな針ぶら下げてやがる。2回刺されたら、この身体でも死ぬんだろうか?  いや、試したくはないが。

殺虫スプレーなんて気の効いたものはないけれど

1匹、落ちるツチノコを斬り

2匹 3匹

合い間を縫って、蜂をぴゅんと斬る。胴体が真っ二つ。こうすると剣豪になったみたいだ。性能にものを言わせただけだが。

地べたを這い回る平たい蛇。その頭を優しく叩いて、動かなくなる。形はそのまま。こうすれば証明できる。ネオジオだろうがなんだろうが思いのまま。




暗がりから、何か現れる。マムシみたいな色合いの鱗、肘くらいに太い蛇の体に、人の身体をくっつけている。ナーガだな。そいつが4匹、シューシューと鳴いている。

真ん中には、杖を持って、綺麗な緑色の石の首飾りしているのがいる。ナーガシャーマンってところか。お供に戦士っぽいのが3匹。槍が2匹、剣が1匹。ナーガランサー、ナーガソードマンだな。どいつもこいつも兜とか鎧とかちゃんと装備着けてやがる。


槍持ちが前に。なんだ一騎打ちってか。

そいつ真っ直ぐ向き合うように立つ。他の敵は見守る。

蛇体が素早く這って、こっちへ。ぐねぐねと曲がりくねる、でかい図体してるのにちゃんと蛇みたいに動くんだな

短い槍を構えて

剣を置くと

暗がりにパチリと火花が散る。 人間よりは手応えがあるな。とはいえ

刃を首へ。

腰を90度曲げて、避ける。マトリックスかよ。身体柔らかいな。背中が尻尾についてやがる。

剣を持ち替え、向こうも肘引いてもう一度突こうとしてくる。

すれ違い

突き刺し、今度こそ首をねじ切る。槍は空をついて、カランと落ちる。



こいつらのステータスはこうだな


ナーガ 



HP    90

MP    俺より少ない



ちから   D+

すばやさ  D







シューシュー、鳴き声を大きく上げる。なんだ、仇取ってやるとか言ってんのか? できるならやってみろよ。

次は2匹がこっちに向かってくる。にょろにょろにょろにょろ。

目の前まで来たら

1匹は地べたすれすれを這って槍を突き出し もう一匹は左から薙ぎはらい

半歩左に。剣を這わせて、そのまま

火の玉が飛んでくる。ファイアだ。魔法か。つーか俺ごとかよ。

目の前がオレンジ1色に、おまけに熱と破片がボロボロと。



前へ踏み出せば、それもお終い。爆発も残骸も背景になる。

最後の敵が

槍を投げてくる。

半歩ずれて

横を過ぎるのを見送る。

もう一発も

避ける。


おまけに杖で殴ってくる

それでも、剣を振り下ろし

首が落ち、キンと甲高い音が鳴る。

頬に何か垂れる。拭えば、血だ。俺の血はちゃんと赤いんだよな。

どこに、周りには居なくて

上か。トカゲがひっついてやがる。石を投げれば

落ちる。




ドカドカと足音が響く。

デカい図体、3本の白い角、頭の後ろまで伸びたビラビラ、ぶっとい脚。

トリケラトプスだ。

そいつが突撃して

そのまま奥へ。

追いかけるか?  殿だから、倒すことよりここに居ることが優先だな。なら止めよう。

じゃあな、誰かの経験値になるまで生きてろよ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。