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そしてヨーロッパ  作者: 船木千滉
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第7話 (その3)

いよいよドイツ・ハンブルクへ!

 ロッテルダムからハンブルクまで直線距離で約200キロ。幸い直行便が取れて、機中凡そ1時間程であった。


 ここへ来て弘明は、バックに放り込んでいたガイドブックが役立ち、突然訪ねるハンブルクを多少なりとも知ることが出来た。


 ハンバーガーの発祥地らしいのだが、地図を見れば街は内陸地であり、そこに船級協会があるというのが不思議だった。


 街はチェコ北部から北海へ出るエルベ川沿いにあり、古くから海運が栄えていたらしい。だが島国の川しか知らぬ弘明には不可解だった。


 すっかり陽の落ちた中、空港からホテルへ近づくにつれ、なだらかな丘の向こうに垣間見える人工的な光の群れは、いかにも工業地帯を思わせた。それでもホテルのまわりは深い緑に覆われ、その中に瀟洒な建物があった。  


 宇佐美の紹介で予約したのだが、思った以上にゴージャスなホテルだった。こぢんまりとした車寄せの奥には格式高い玄関があり、乗りつけたベンツの車体を見ていると、弘明はどこか芝居じみた振る舞いになっていた。


 これがドイツかと思うと、むくむくと好奇心が沸いた。


 もちろんチェックインは英語だったが、応対するフロントマンの容姿とその耳慣れぬ発音に思わず戸惑った。


 弘明に取ってドイツ人と言えば、アメリカ映画のコンバットで鍵十字のヘルメットを被る男なのだが、フロントマンは完璧な金髪碧眼だった。その彼が発するキレッキレの英語を聞くと、本当に映画を見ている様だった。


 天井の高いロビーはふんだんに木を使った内装で、家具は直線的なデザインなのだが重厚な木の温もりを感じさせた。特にロビー脇のカウンターバーは、ほんの数人が座れる様になっていて、背高のカウンターチェアーを設えた止まり木はいかにもアットホームな感じがした。


 腹が減ったと思う弘明はもう我慢が出来ず、フロントマンにレストランの閉店時間を聞くと部屋へ急いだ。


 シャワーをする余裕はなく、なにはともあれまずは腹ごしらえと荷物を仕分けた。いつもの通り上着の財布とパスポートを確認すべく、右左の内ポケットをパタパタ確認しながら部屋を出た。


 古風なエレベーターで降りると、フロントの前を横切ってレストランへ。


 中へ入り耳慣れぬ言葉に席を見回す……と、すぐに視線はオープンテラスの奥の光景に奪われるのだった。


(第7話おわり)

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