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幸福のフェリス  作者: 海野 咲凛木
第四章 セレニス大陸編

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第88話 「平原」


〈セレニス大陸 王都グラント・ヴァイス 王の間〉


「報告によると、東の果てのインニッツィオ村にて生態系異常及び巨大化したクラーケナーを確認。同時に五神獣の反応も確認したとのことです。」


一人の衛兵の報告が流れると、王の間にどよめきが生じる。

大臣達が顔を見合わせるも、皆同じ表情で立ち尽くすだけだ。



「ついに我が大陸の五神獣まで動き出したか…」

「して、村の被害状況は?」


「村民の死亡者数は明確には出ていませんが、数名以上は確かとのこと…さらに漁業における漁獲数は減少傾向…しかしこれは今後復帰傾向になる見込みです。」


「その見込みの根拠はなんだ。」


「五神獣の捕食によるクラーケナー討伐、漁業において使役しているリーフィーホースの治癒により、すぐに漁獲数は回復する予想です」


「治癒?まさか治癒魔法の使い手がいるというのか?」


「はい、蒼い髪に蒼い瞳の女性が施していたと…」


「蒼い髪…まさかノアの一族では…」


「また、その者は黒いドラゴンに跨がり、空を飛んでいたとか…」


「ドラゴンだと?!」


「ノアの一族とドラゴンが…これはあの"言い伝え"と同じではないか…このままでは…」





「衛兵、早急にその一族の末裔とドラゴンを探しだせ」




〈セレニス大陸東側 ソルニ平原〉


風から少しずつ潮の匂いが消え、草花の揺れる匂いに変わり、村が見えなくなるまで歩き続けると周りには腰の高さ程の草が揺れ始めていた。


「わぁ…綺麗……」

「アラシア大陸とは気候も違うからな、初めて見る景色も多いはずだ。」

「世界って広いんですね…」


ラズリも初めて見る景色に目を輝かせている。

きっと同じことを思っているのだろう。


「あ、シルフさんあそこに何かいます!」


道から外れた平原の先に複数動くものが視界に入った。


「あれは…『ロールホーン』の群れだ。ヤギの一種で名前の通り角が巻かれながら大きくなって、それを打撃武器のように使うヤギだ。」


「へぇ…じゃあ、あそこにいるのは?」


「『ミノウサギ』、この大陸の平原地帯に多く見れる獣だ。繁殖能力が桁違いに高いんだが、警戒心が薄くて外敵が多いのが難点なやつらだ。」


「図鑑で見たことはあったけど、本物が見れるなんて…」


「ミノウサギはアラシアには生息していないんだったか…ここじゃ飽きるくらい見られるし、肉も美味いんだ」


「え?」

「ん?」


保存食の魚の干物をかじりながら不思議そうにしているシルフさんと目があった。


「た、食べた事あるんですか…?」

「あぁ、インニッツィオ村にはあまり流通していなかったけど、ミノウサギは食用としても重宝されてるぞ」


「あんな可愛い獣を…」


いや…こんなこと言っても私だってオオツメドリの肉とか食べてたし…


「そりゃ私達も生きるために必要だからな」

「そうですよね…」


「とにかく、まずは隣村の酒場へ向かおうか」

「酒場…ですか?」

「私も久しぶりに村を出たからな、まずはここらの情勢を把握しておきたい。そういう情報は酒場で聞くのが一番さ。」


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