第69話 「歩み寄る終焉」
〈セレニス大陸 王都グラント・ヴァイス 王の間〉
「調査船部隊より報告、アラシア大陸全域及び付近200海里は変わらず永久凍土による人類不踏の領域と化し、原因や状況も未だ不明。その凍土も徐々に進行し、セレニス大陸東側に近付きつつあるとのこと。」
物音も立たない静かな王の間。
一人の衛兵による進展の無い声だけが響いていた。
「…報告ご苦労、下がるがよい。」
怒りの籠る王の声。
ここにいる全員が緊張と不安でただ立ち尽くしていた。
「へ、陛下…アラシア大陸の永久凍土化を確認してから既に7日、現状は何も進捗がありません…このままでは…その…」
「分かっておる」
「アラシア大陸を上空から調査を進めるためにも、大陸アヴァロンへ要請して『飛行兵部隊プリマヴェーラ』を呼ぶべきでは…?」
「ならん、彼の国の力など借りてなるものか」
「し、しかし…」
「他の大陸の力を借りるなど決してありえぬわ。我がセレニス大陸の力だけで原因を解明し対処することだけを考えよ、話は以上だ。」
純白のローブを荒く振り、足早に去る。
「聞いたか?大陸各地で獣達が同種族で争いを始めているって…」
「あぁ、このままだと生態系が大きく変わって最悪の場合は…」
王の去った後、他にも上がる報告について議論を進めるも悩みの種は増える一方であった…
〈セレニス大陸北西部 バレナ村〉
波風の音を掻き分けて巨大な船を作る音が海岸に響き渡っている。
「本当にこれが完成したら行くのか?」
不安混じりの怪訝そうな声。
「話は聞いているだろう、アラシア大陸のこと…」
「聞いてるさ」
金色の髪が潮風に揺られるのも気にせず、ただ水平線を見つめながら目も合わさずに会話を続ける。
「確信がある訳じゃないだろう、一度戻って…」
「それじゃあ間に合わない。すぐにでも"あれ"を見つけ出さないと…!」
感情が揺らぐと周りを飛ぶ青い雷を静かに纏う雷電甲虫から強い雷光が弾いた。
「俺にしか出来ないことなんだ…」
「相変わらず強情だな…イリアン…」
〈セレニス大陸~アヴァロン大陸間 オセアンヌ海〉
「そうか、報告ご苦労…」
波に揺れる木船の上。
伝書鳥からのアラシア大陸の現状を聞いた一団。
「フォルテ隊長…一度セレニス大陸に戻りますか?」
「いや、このままアヴァロンへ向かうぞ」
「よ、宜しいのですか…?」
「報告の通りなら俺達が行ったところで何もする事は出来ない。だったら、あの"青年"の言う通りに動いている方が良いだろう。」
「しかし、あの"青年"の言うことをどうしてそこまで信用しているのか…私には理解できません…」
「そんなの、眼を見れば分かる」
「分かるって…ではこのまま何もしなければ本当に…」
世界の終焉が近付いていると…




