第61話 「発見」
「・・・うっ・・・ん・・・」
全身に激痛が走っている。
その痛みに耐えながらゆっくりと目を開けるとラズリが心配そうに見ていた。
「ラズリ・・・ここは・・・」
頭を撫でながら辺りを見渡してみると、薄暗いが広い空間だということが分かる。
「確か、地面の割れ目に落ちたはず・・・」
教会の地下にどうしてこんな空間が・・・
散らばる瓦礫・・・見上げると微かに光が見える割れ目・・・
助けるために何も考えずに飛び込んだが、相当深いようだ・・・
「あれ・・・マテリアは?!」
抱き抱えて落ちてきたはずなのに、彼女の姿が見当たらない。
ラズリに支えてもらいながら立ち上がり、この薄暗さの中をゆっくり歩き始める。
「痛い・・・」
体を強く打ったようで、歩くのもやっとだ。
ラズリにもたれながらしばらく進んでいると、薄暗いせいで大きな何かにぶつかってしまった。
「これは・・・あっ・・・」
目を凝らすと、そこにはホムラマトイ・ライノスの亡骸が横たわっていた。
おそらく、逃げ遅れて割れ目に落ちてしまっただろう。
すぐに手を触れて力を込めるも、治癒することはできない。
もう、手遅れだと諭された。
「巻き込んじゃって、ごめんなさい・・・」
助けることができなかった命を弔うように撫でると、手に油のような液体が付いた。
「そうだ、確かホムラマトイ・ライノスは・・・」
昔、見た本を思い出した。
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ホムラマトイ・ライノスの角には鉄分が多く含まれ、さらに汗腺を通して汗に発火性の高い油分が含まれる為、同種同士の縄張り争いでお互いの角をぶつけあったり、防衛時に石や岩などに角をこすり汗に着火させて炎を纏うことができる。
その炎は魔法で生成される炎と同等性質で魔力を使用せずとも日常生活が可能となる為、燃料目的で乱獲され個体数が激減している。
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つまり、この子の角と皮膚を使えば火を起こして光源にできるかもしれない・・・
亡骸をいじるなんて、気乗りはしない。
でも、このままだとマテリアを見つけることは難しいことは確かだし、いつ崩れるかわからないこの空間ではラズリの息吹も不安だ。
懐からゆっくりとナイフを取り出し、亡骸に向ける。
「ごめんなさい、あなたの力を貸りるね」
皮を剥ぎ、落ちていた棒に巻き付ける。
石を拾って角に叩きつけ、その火花で皮に着火することができた。
「これならなんとか探せそう」
改めて周囲を見渡すと、まるで洞窟のような広い空間だった。
だが、岩肌に囲まれたこの空間には似つかわない物も見える。
「これは・・・牢屋?」
半壊してはいるが、教会の地下牢と同じような鉄格子の洞穴はいくつも確認できる。
そして、その中には転移魔方陣の痕跡が残っているのを見て理解した。
「ここで人造種を生成していたんだ・・・」
牢屋に入ると冷たい空気が身体に触れてくるのを感じ、心が締め付けられる・・・
キュルルルッ!!
ラズリが何かを見つけたようだ。
「どうしたの?!」
ラズリの下へ向かうと、その視線の先にある牢屋の中に縄で縛られた人が倒れていた。
身なりからしてマテリアではないようだが・・・
「大丈夫ですか!?」
声をかけると少し身をよじり反応があった。
「よかった生きてる・・まっててください!」
ゆがんだ牢屋の扉を強引に開き駆け寄ると・・・
「エヴァンスさん!?」




