105話 「金色」
グルォォォォォォォォォォッ!!!
「獣の…咆哮…?」
王都の方向から獣の咆哮が響き渡ってきた。
「なんだ?なぜ王都から聞こえたんだ?」
「あっちゃー…マスター達もうちょい足止めしててほしかったなぁ…」
「エナンジ!!何か知っているなら話せ!!」
「とりあえずついてきて!」
そう言うと、エナンジは王都から離れるよう走り出した。
「おい!!」
「シルフさん王都の方から馬が…!」
歩いてきた街道を甲冑の騎馬隊がこちら目掛けて迫ってきている。
「一旦街道から離れた方が良さそうだなぁ…こっち!」
エナンジが方向を変えて茂みへ突っ走っていく。
「エナンジ!!」
シルフが呼んでも振り返ろうとしない。
どんどん茂みも深くなり、気付けば森の中。
馬が入れなさそうな程の生い茂った緑に囲まれ、エナンジはその足を止めた。
「とりあえずは撒けたかな…」
「はぁ…はぁ…」
「おい、なぜ王都の兵隊どもから逃げた?」
走ったのに息一つ乱していないシルフがエナンジに問い詰めていく。
「ここは静かな森だね、王都の近くにこんなところがあったなんて」
「貴様ふざけているのか?」
シルフが魔法陣を展開して風を呼び出した。
「シルフさん!」
「ごめんごめん、まぁ簡単に言うとあいつらはフェリスちゃんが目的だ」
「私?」
「正確にはフェリスちゃんの力とその黒いトカゲちゃんだけど」
「ラズリ?」
「力って、治癒の力か?」
「正解!以前、インニッツィオ村で生け簀にいたリーフィーホースの治癒をしていたんでしょ?それがお偉いさん達の耳に入ってね、利用しようと企んでるらしい」
「なぜそれがわかった?」
「まぁギルドには情報通が多いからさ、それでマスターとユウビちゃんが大門で食い止めるっていう作戦だったんだけど…」
「ここでなにしてるの?」
突然、幼い声が話しかけてきた。
振り返ると、金色の長い髪の小さな女の子が木の実をカゴ一杯に抱えて立っていた。
「女の子?なぜこんなところにいる?」
「迷い子でしょうか?」
「わぁ、お姉ちゃんの髪とても綺麗!眼も宝石みたい!」
瞳を輝かせながら私の蒼い髪と眼に釘付けになっている。
「え、えっと…」
「おっぱいも大きいね!」
「ふぇっ?!///」
「触ってもいーい?」
「ちょっとそれは…///」
「君も綺麗な金色の髪をしているじゃないか、どこから来たんだい?」
シルフさんが女の子の気を引いてくれた。
「えっと、あっち!」
指指す先は街道とは反対の森の奥深く。
「エナンジ、この森に村か何かは?」
「んー…というかこんなところにこんな森なんてあったかな…」
「ついてきて!」
無邪気に走っていく女の子だが、流石に一人放っておくことはできない。
その金色の髪を目印に私達は森の奥へと追いかけていった。




