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ブリッ

魔神城の最奥にある巨大な謁見室にライムは一人で立っていた。


ぷる吉は流石に入れてもらえなかったが現在は城の待合室で待機中である。


「緊張するな……」


ライムは頭を掻いた。


相手は魔神だ。


魔神連邦の頂点にして現人神であり世界最強。


下手なことを言えば消し飛ばされても文句は言えない。


そんな相手との面接だった。


すると突然軽快な音楽が流れ始める。


「……ん?」


ライムが顔を上げる。


どこからともなく現れた楽団。


突然始まる演奏に合わせるように大きな扉が開いた。


バァァァン!!


「な、なんだ!?」


ライムが振り返る。


次の瞬間だった。


白い羽根が舞った。


くるり

くるり


優雅な回転をしながら白鳥を模した純白のバレエ衣装に身を包むは無駄に鍛え上げられた筋肉。


盛り上がる大胸筋。

割れた腹筋。

そして。


満面の笑み。


「アラァァァァァァァァァン♪」


ライムは固まった。


「……」


「……」


「……」


その存在は優雅に踊りながら近づいてくる。


くるり

くるり

くるり


「ようこそぉ~ん♪魔神城へぇ~ん♪」


ライムは言葉を失った。


吐き気を催し本能が逃げろと叫ぶ。


しかしハッと気づく。


(まさか……もう面接が始まっている!?)


冷や汗が流れる。


そうだ相手は魔神なのだから常識で考えてはいけない。


これが試験なのだ。


きっと

たぶん

恐らく


おそらくそうだ。ならば


「アラァ~ン?」


アスタロトがその無駄に太い首を傾げる。


「こんなことで動揺を見せるなんてぇ~ん♪うぶなBOYねぇ~ん♪」


ライムの背筋が伸びた。


やはり面接だ!


評価されている!


「は、はい!俺はライムと申します!厄災の洞穴で百年以上スライム牧場を管理していました!」


アスタロトが瞬きをしたが!しかしライムは止まらない。


「俺は戦闘能力こそありませんでしたが、スライムの繁殖、育成、進化管理を行い、ミノタウロス隊やゴーレム隊への食料供給、魔物同士のトラブル解決、牧場管理、人材育成、さらには——」


「長い!!」


ドゴォォン!!


一喝だった。


謁見室の窓が震え壁には無数の亀裂が走る。


「す、すみません!」


「アタシねぇ~ん?」


アスタロトが頬杖をつく。


「面接で長話する人嫌いなのよぉ~ん♪三行でまとめなさいなぁ~ん♪」


無理だった。


百年以上働いて三行は無理だし、何よりまだ三行も話をしていない。


ライムが固まっていると。


アスタロトは楽しそうに笑う。


「あははははは♪でもぉ~ん気持ちは伝わったわぁ~ん♪」


ライムが顔を上げるとアスタロトはニヤリと笑った。


「いいでしょう♪ライム・スライムマスター!あなたにダンジョンコアを授けることを許可するわぁ~ん♪」


ライムは固まった。


「……え?」


「え?」


思わず聞き返す。


「え?」


しばらく沈黙が流れた。


やがてアスタロトが眉をひそめる。


「あらぁ~ん?いらないのかしらぁ~ん?ダ♡ン♡ジョ♡ン♡コ♡ア♡」


「い、いえ!」


ライムは慌てて首を振った。


「ありがとうございます!本当にありがとうございます!」


アスタロトは満足そうに頷いた。


「素直でよろしいぃ~ん♪」


そして立ち上がる。


「それじゃあ!今から作るわよぉ~ん♪」


ライムの目が輝いた。


ついについにだ


神秘の儀式。


ダンジョンコア創造。


神の奇跡を目の当たりにできる。


ライムは固唾を飲みながら見守っているとアスタロトが中央へ歩く。


そして腰を落とした。


「……?」


ライムが首を傾げるとさらに腰を落とす。


「……?」


もっと落とす。


「……???」


ライムの嫌な予感が膨らんだ。


「何してるんですか?」


「集中してるのよぉ~ん!!」


アスタロトが叫ぶ。


「そ、そういうものなんですか!?」


「そういうものよぉ~ん!!」


その瞬間だった。


アスタロトの全身から凄まじい魔力が噴き上がる。


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!


謁見室が震える。


床が軋むみ空間が歪む。


ライムの肌が粟立った。


凄い圧倒的だ。


これが魔神。世界最強。現人神。


次の瞬間


「ぬおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!プリッ」


パァァァァァァァァァン!!


光が弾けた。


ライムは思わず目を閉じる。


数秒後。


恐る恐る目を開くとそこには宙に浮かぶ透き通るような青色の美しい球体


まごう事なきダンジョンコアがあった。


「……」


ライムは息を呑む。


美しい。


あまりにも美しい。


アスタロトは額の汗を拭いた。


「ふぅ~ん♪できたわよぉ~ん♪」


ライムは感動した。


だが一つだけ気になることがある。


「……あの」


「なぁにぃ~ん?」


「今の儀式って……」


アスタロトがニッコリ笑う。


「企業秘密よぉ~ん♪」


絶対聞いてはいけないやつだった。


ライムは本能で理解した。


こうしてライムはついにダンジョンコアを手に入れた。


世界一のダンジョンへの第一歩。


その夢が今ここに始まったのだった。

もし少しでも

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