なかま
「さあ~ん♪」
アスタロトが完成したダンジョンコアを指差す。
「早速ダンジョンコアに魔力を込めてみなさぁ~い♪」
ライムは手の中のコアを見る。
透き通るような青色。
美しい宝石のようだった。
これが自分のダンジョンの始まり・・・そう思うだけで胸が高鳴る。
「はい!」
ライムは両手でコアを包み込んだ。
そしてゆっくりと魔力を流し込む。
ぽうっと音を立てながらダンジョンコアが光り始めた。
最初は小さな光だったが徐々に徐々に輝きが増していく。
「ほほぉ~ん♪これは珍しいわねぇ~!魔力がコアに収まりきらずに溢れているわぁ~ん!」
アスタロトが面白そうに覗き込む。
「ラッキーBoy!あなたの最初の相棒となる魔物が誕生するわよぉ~ん♪」
「最初の相棒……」
ライムは息を呑む。
「かなり強い輝きねぇ~ん♪これは期待できるわよぉ~ん♪」
アスタロトの言葉にライムの鼓動が速くなる。
どんな魔物だろう。
ゴブリンか。
オークか。
あるいはスケルトンか。
何が生まれてもきっと大切な仲間になる。
ライムはさらに魔力を込めた。
するとダンジョンコアから光の柱が伸びる。
パァァァァァァァァァッ!!
あまりの眩しさにライムは思わず目を細めた。
やがて光の中に人影が現れる。
「……え?」
ライムが固まった。
長い銀髪に透き通るような白い肌、そして宝石のような青い瞳を持つ神秘的な雰囲気を纏う美少女。
年齢は十五歳ほどに見える。
少女はゆっくりと目を開いた。
そしてライムを見るとぱぁっと顔を輝かせた。
「あなたが私のマスターですね!」
元気いっぱいの声だった。
「これからよろしくです!」
ライムは固まった。
「……え?」
理解が追いつかない。
「アラァ~ン♪」
アスタロトが呆れたように肩を竦める。
「ほら!Boy!」
「は、はい!」
「あなたはこれからダンジョンマスターになるのよぉ~ん♪」
「少しはシャキッとしなさい!」
ライムの背筋が伸びる。
確かにそうだ。
呆けている場合じゃない。
するとアスタロトが少女を指差した。
「そうねぇ~ん♪まずは名前を付けてあげたらどうかしらぁ~ん?」
その瞬間少女の目がさらに輝いた。
「えっ!?名前ですか!?もう名前をいただけるんですか!?」
今にも飛び跳ねそうな勢いだった。
少女を見ると期待に満ちた顔。
まるで親を見上げる子供のようだった。
そしてライムは深く息を吐く。
「アスタロト様」
「なぁ~に?」
「ありがとうございます」
ライムは頭を下げた。
喝を入れてもらいダンジョンマスターとしての第一歩を踏み出させてもらった。
感謝しかなかった。
アスタロトは満足そうに頷く。
「いいのよぉ~ん♪アタシ面白い子は好きだからぁ~ん♪」
ライムは苦笑して少女へ向き直ると少女も真っ直ぐライムを見つめていた。
期待
喜び
そして信頼。
まだ出会って数分なのにそんな感情が瞳に浮かんでいた。
ライムは笑う。
「これからよろしく」
少女が嬉しそうに頷く。
「はい!」
ライムは言った。
「君の名前は――」
少しだけ考える。
美しく。
優しく。
そして新しい人生の始まりに相応しい名前。
「エリシア」
少女の瞳が大きく開かれた。
「エリシア……」
何度も繰り返す。
「エリシア……」
そして。
満面の笑みを浮かべた。
「ありがとうございます!」
「私、エリシアです!これから末永くお願いしますね!」
そう言うと勢いよくライムへ抱きついた。
「うおっ!?」
ライムが慌てるとアスタロトはそれを見ながら笑った。
「あらあらぁ~ん♪仲良しさんねぇ~ん♪」
こうして追放されたスライムマスターは初めての仲間を手に入れた。
その少女こそ後に世界最高峰のダンジョンを支えることになる。
クイーンスライムのエリシアであった。
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