土地探し
「アラァ~ン♪」
アスタロトが手を叩いた。
「感動のご対面中に申し訳ないんだけどぉ♡次は土地探しよぉ~ん♡」
ライムとエリシアが同時に首を傾げる。
「土地…ですか?」
「土地ですね!?」
アスタロトは巨大な地図を広げた。
大陸全土が描かれている。
人類国家。
魔神連邦。
無数のダンジョン。
それらが細かく記されていた。
「正直言うとぉ~ん♪」
アスタロトが肩を竦める。
「どこでもいいわよ?」
「え?」
ライムが驚く。
するとアスタロトは説明を始めた。
「ダンジョンっていうのはねぇ~ん♪ただの魔法建造物じゃないのよぉ~!魔神連邦の軍事施設なの♡」
ライムは頷いた。
それは知っていが詳しく聞いたことはなかった。
「例えば魔神領に近い場所なら防衛拠点。人類圏なら侵略拠点。交易路の近くなら経済拠点。つまりダンジョンマスターっていうのはぁ~ん♪国から領地を与えられた人間で言うと領主様みたいなものなのよぉ~♡」
エリシアが目を輝かせた。
「おおー!」
「マスター王様です!」
「違う違う!」
ライムは慌てて否定する。
しかしアスタロトは頷いた。
「間違ってないわよ?実際かなり偉いわ。だからダンジョンランキングなんて制度もあるの♡優秀なダンジョンには予算も支援も集まる。逆に無能は潰れる。」
「実力主義よぉ~ん♡」
ライムは地図を見る。
世界中にある無数のダンジョン。
その頂点であるランキング一位。
そこを目指す。
その決意は変わらない。
「じゃあどこに作りますか!」
エリシアが元気よく手を上げた。
「私は黒鉄帝国の首都がいいと思います!灯台もと暗しって言いますし!」
ライムは苦笑した。
「それも面白いけどな・・・博打すぎる。いきなり首都の真横に作ったら軍隊が飛んでくるぞ」
「確かに!」
エリシアが納得した声を上げるが全然納得していない顔だった。
「ならぁ~ん♪」
アスタロトが指を鳴らす。
「魔神連邦内に作るといいわ~比較的安全だし少なくともすぐ軍隊に攻められることはないはずよぉ~」
しかしライムは首を横に振った。
アスタロトの眉が上がる。
「へぇ?どうしてかしら?」
ライムは地図を見つめた。
そして言う。
「俺はダンジョンランキング一位になりたいんです」
謁見室が静かになる。
「そのためには成長しないといけない・・・人類を討伐して魔力を集めなければ大きな発展はできません」
アスタロトは笑う。
「よく勉強してるじゃない♡」
ライムは続ける。
「魔神領の中でダンジョンが攻められることはない。けどそれではあまり稼げない。だから人類圏にダンジョンを創ります。危険でも苦しくても最初から逃げるつもりはありません」
エリシアが目を輝かせた。
「流石ですマスター!かっこいいです!」
アスタロトは黙ったまま十秒ほどライムを見てにやりと笑った。
「フフフ♡やっぱりアンタ面白いBoyねぇ~♪」
ライムは地図へ手を伸ばした。
そしてある一点を指差す。
「決めました」
アスタロトが視線を落とす。
その場所を見た瞬間笑みが深くなった。
「アハッ♡最高じゃない♡普通そこ選ばないわよぉ~ん♪そして、あたし個人としてもそこに拠点が作れるのはありがたいわぁ~ん!」
エリシアも地図を見る。
「え?ここですか!?」
ライムは頷く。
「ここだ!俺はここから始める」
アスタロトは楽しそうに笑った。
「いいわ♡本当なら馬車を用意してぇ~何日もかけて向かってもらうところなんだけどぉ~」
アスタロトが立ち上がる。
「特♡別サービス♪アタシの魔法で送ってあげるわぁ~ん♡」
ライムの顔が明るくなった。
「本当ですか!?ありがとうございます!」
その時謁見室の扉が勢いよく開く。
ぷるぷる。
ぷるぷる。
「ぷるぅー!」
使用人に抱えられたぷる吉が飛び込んできた。
「あ、ぷる吉!」
「ぷるぅ!」
勢いよくライムの胸へ飛び込む。
ライムは思わず笑った。
「お前も一緒だぞ」
「ぷるっ!」
エリシアも嬉しそうだった。
「これからが楽しみですね!」
アスタロトが拳を掲げると次の瞬間巨大な魔法陣が広がった。
床と天井一面に神々しい光が満ちると空間そのものが震えた。
ライムは息を呑む。
これが現人神魔神アスタロトの力。
国家すら滅ぼせる存在の魔法。
アスタロトは優しく微笑んだ。
「さぁ。新たなるダンジョンマスター♡あなたの行く末を楽しみにしているわぁ~ん♪」
光が溢れ視界が真っ白に染まる。
ライムはエリシアの手を握った。
反対側にはぷる吉。
世界一のダンジョン。
その夢への第一歩。
それが今始まろうとしていた。
――――光が全てを包み込んだ。
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それではまた次回!




