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魔都観光

魔神連邦最大の都市”魔都グランゼル”


世界でもトップクラスの繁栄を誇る街の大通りは朝から人で溢れていた。


魔族。

獣人。

ドワーフ。

エルフと様々な魔人が歩いている。


「すごいな……」


ライムは辺りを見回した。


厄災の洞穴周辺の町とは比べ物にならない。


活気が違う。

規模が違う。


ぷるぅっ!


ぷる吉が鞄から目を輝かせて飛び出す。


「おいおい迷子になるなよ」


ぷるっ!


全然聞いていなかった。


すると香ばしい匂いが漂ってくる。


ジュゥゥゥゥッ!!


肉の焼ける音を聴いてライムの腹が鳴った。


「そういや朝飯もまだだったな」


屋台へ向かうと大きな鉄板の上では巨大な肉が焼かれていた。


香辛料がたっぷり振られている。


脂が弾ける度に香りが広がる。


「兄ちゃん一本どうだ!」


「じゃあ一本くれ」


受け取った串焼きを一口。


ガブッ。


「うまっ!?」


思わず声が出た。


肉汁が溢れ、柔らかく噛むほど旨味が広がる。


香辛料も絶妙だった。


「こりゃうまいな」


ぷるぅ……


足元から熱い視線。


「分かった分かった」


小さくちぎりぷる吉に投げ渡す。


ぷるっ!


ぱくっ。


ぷるるるるるっ!!


ぷる吉が飛び跳ねた。


「そんなに美味いのか」


ぷるっ!!


めちゃくちゃ美味いらしい。


その後も食べ歩きは続く。


魔蜂蜜アイス。


冷たく甘い濃厚なバニラアイスだ。


ぷる吉が全部食べようとして怒られる。


魔導パンの中にはたっぷりの肉が入っている。


焼き魔芋に関してはぷる吉が10以上も平らげてしまった。


「お前、本当に食い意地だけは凄いな……」


ぷるっ!


褒められたと思ったらしい。


昼頃になるとライムは魔都で最も有名な場所へやってきた。


巨大な白亜の建造物に空へ伸びる無数の尖塔がある大聖堂。


その名は魔神神殿。


魔神連邦最大の宗教施設だった。


「でかいな……」


思わず呟く。


そこには剣を掲げる一人の男を模した巨大な像があった。


魔神アスタロト。


現代を生きる魔神。


「本当に実在してるんだよな」


ライムは像を見上げる。


魔神は現代においても生きており神話の存在ではない。


魔神連邦を作り、ダンジョンコアを作り、ダンジョンランキングを始めた傑物。


そして現世界最強の存在でもある。


「一度だけ見たことがあるんだけど・・・」


かなり昔複数の巨大ダンジョンによる人間界への大侵攻をしかけた際、戦意高揚のために戦場へ現れたことがある。


その時見た魔神は笑いながら拳をふりあげ、たった一人で国一つを滅ぼした。


「考えるのやめよう」


ライムは首を振った。


会うのは一週間後だ。


今から考えても仕方ない。


そしてあっという間に時は流れた。


一週間後ライムは正装に着替えていた。


ぷる吉も肩に乗せておりなぜか小さな蝶ネクタイを付けていた。


「誰が付けたんだそれ」


ぷるっ!


そしてゆっくりと顔を上げるとそこにあるのは魔神城。


雲を突き抜けるほど巨大な黒い城。

大陸の支配者が住む場所。

魔神アスタロトが待つ場所。


ライムは大きく息を吐いた。


「よし」


世界一への第一歩。


その扉の前に立つ。


「行くか」


ぷるぅっ!!


こうしてライムは魔神との面接へ向かうのだった。

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