魔役所にて
魔神連邦首都”魔都グランゼル”
世界最大の都市であり魔神連邦の中心地。そして数え切れないダンジョンマスター達が集う場所だった。
「でっかいな……」
ライムは思わず見上げた。
巨大な城壁に包まれる魔神城に巨大な商業区・・・何もかもが規格外だった。
ぷるっ!
ぷる吉も興奮していた。
鞄から顔だけ出してきょろきょろしている。
「観光は後だ」
「まずは魔役所だぞ」
ぷるぅ……
少し不満そうなぷる吉を宥め、ライムは苦笑しながら歩き出す。
目的地は一つ。
魔役所。
魔神連邦が管理する超巨大行政機関だ。
ダンジョン開設。
ダンジョン売買。
土地取得。
税金関係。
魔物雇用。
ありとあらゆる手続きを扱っている場所だった。
そしてライムは到着した。
「でかいな……」
建物だけで厄災の洞穴の一階層分くらいあり中へ入ると
【ダンジョン新設窓口】
↓
【ダンジョン移転窓口】
↓
【ダンジョン廃業窓口】
↓
【魔物就労窓口】
↓
【ダンジョンバトル申請窓口】
↓
【税務窓口】
とんでもない数の窓口が並んでいた。
「うわぁ……」
ライムの顔が引きつる。
ぷるぅ……
ぷる吉も引いていた。
「まず何番だ……」
案内板を見る。
【ダンジョン新設希望者は第七窓口へ】
第七窓口へ向かうと受付嬢のサキュバスがにこやかに挨拶をする。
「いらっしゃいませ~」
「ダンジョンを作りたいんですが・・・」
「申請用紙はこちらになります」
渡された紙はとんでもなく分厚かった。
「え?」
「全部必要です」
「全部?」
「全部です」
ライムは無言になりそこから三時間名前を書き、住所を書き、種族を書き、経歴を書き、犯罪歴を書き、職歴を書き、今後の経営方針を書き、目標を書き続けた。
「多いな……」
ぷるっ。
ぷる吉が励ましてくれてなんとか記入完了。
受付嬢は満面の笑みで受け取ると
「では次にダンジョンコア申請ですね」
ライムは頷く。
ここが本番だった。”ダンジョンコア”それはダンジョンの心臓。
全ての始まりであり魔神様だけが作れる神造物だった。
受付嬢が微笑む。
「申請料はこちらです」
金額を見るとライムは固まった。
「高っ!?」
思わず叫んだ。
退職金となけなしの貯金は合わせればかなりの額になるはずだった。その大部分が吹き飛ぶ。
「皆様そうおっしゃいますが、どうされますか?」
受付嬢は慣れているように応えライムは頭を抱えた。
「帰ろうかな……」
ぷるっ!?
ぷる吉が慌てたように震えると。
「冗談だ」
と呟きながら財布を取り出す。
長年働いて貯めた金。ファンリルの下で積み上げた人生。
そのほとんどが消え、代わりに受付嬢が印鑑を押す。
ドン!
【一次審査受理】
ライムは思わず息を吐いた。
「これで終わりですか?」
受付嬢は首を振る。
「いいえ」
嫌な予感がした。
「ここからが本番です」
受付嬢が一枚の紙を差し出す。
【最終審査】
【魔神様面接】
「……は?」
ライムが固まる。
「ダンジョンコアは神造物であり、軍事機密でもあります。ですので最終的には魔神様本人が認可し、その場で作成及び登録をします」
当然のように言われた。
「面接ですか?」
「面接です」
「魔神様と?」
「魔神様とです」
ライムは頭を抱えた。
受付嬢は続ける。
「日程は一週間後になります」
「一週間……」
思ったより早いが。
「それまでは?」
「ご自由にどうぞ」
受付嬢が微笑む。
「魔都観光でも楽しまれてください」
ライムは窓の外を見る。
巨大都市グランゼル。
無数の商店が建ち並び無数の魔人がひしめく。
確かに少し見て回るのも悪くない。
「そうするか」
ぷるぅっ!!
ぷる吉が大喜びした。
どうやら最初からそれを期待していたらしい。
「じゃあ一週間!魔都を楽しむとするか!」
そしてまだライムは知らない。
一週間後に会う魔神が大陸最強の名を冠し、その上でとんでもなく面倒臭い存在だということを




