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エリシアの約束

「ふぅ……。」


エリシアは大きくお腹をさすった。


「美味しかったですねぇ。」


右手には、最後に残った一つのおにぎりを持っている。


先ほどまでコアの機能を使って、お肉に串焼き、甘いお菓子、焼きたてのパン、果物まで食い漁っていたのだ。


「もうお金使い切っちゃいました……。」


エリシアは最後のおにぎりを眺める。


「これが最後のおにぎりです。」


一口で食べきる


「おいしいですねぇ……。……。」


全部食べ終えると、少しだけ寂しくなった。


「他に食べるもの……。」


きょろきょろと辺りを見回す。


「そうです!」


ぱんっと手を叩く。


「今日はダンジョンを探検しましょう!何か食べ物が落ちてるかも!」


エリシアは元気よく歩き始めた。


 ◇


「まずは第一階層です!」


誰に紹介しているのか両手を広げてアピールをする。


入口から続く長い通路には浅く張られた魔力水の上でぷるぷると大量のスライム達が跳ね回っていた。


「ここは私達の一番大事な場所ですよ!スライムさん達がいっぱい暮らしています!最近は壁もキラキラしています!ミレイアさんが驚いていましたがマスターのおかげみたいです!」


魔力水のおかげで、傷付いたスライムもすぐに元気になる。だから数もどんどん増えていく。


「それに!前よりちょっとだけ危なくなりました!」


通路の壁を指差す。


「ここには落とし穴があります!しかも、前より開く速度が速くなったんですよ!」


嬉しそうに胸を張る。


「ミレイアさんが改良してくださいました!」


さらに奥へ進む。


「この壁もです!」


一見すると普通の岩壁だが近付くと。


 ガコン。


壁が横へ滑った。


「えへへ。」


「隠し通路です!」


冒険者戦では使う機会がなかった設備だ。


だがいざという時には魔物達が素早く移動できるようになっている。


「まだまだ改良中なんですよ!」


 ◇


 第二階層へ降りる。


「こちらは自動人形さん達のお部屋です!」


広い部屋には、木箱や工具が綺麗に並べられていた。


壁際には数体の自動人形が静かに立っている。


「今回活躍したのは、この子ですね!」


エリシアがぽんぽんと肩を叩く。


「バランス型です!攻撃も防御も得意なんですよ!」


その隣には、一回り大きな機体が置かれていた。


「こちらは大型です!力持ちなので、通路を守るのが得意ですね!」


さらに、小さな人形もいる。


「この子は小型です!小さいので狭い場所でも動けますよ!」


そして部屋の奥。


赤い印が描かれた機体を見て、エリシアは一歩下がった。


「これは……自爆特化型です。近付くと、とっても危ないですよ!私もちょっと怖いです……。」


えへへ、と苦笑いする。


ライムが考えた自動人形は、一種類ではない。


役割ごとに少しずつ改良が進められていた。


「みんな、早く活躍できるといいですね!」


 ◇


そのまま罠置き場へ向かう。


「ここも少し変わりました!」


床には新しい魔方陣。

壁には見慣れない装置。


「まだ秘密です!」


エリシアは人差し指を口へ当てる。


「ライムさんとミレイアさんが一生懸命考えてるんですよ!」


冒険者戦で分かったこと、足りなかったことを少しずつ改良している最中だった。


「次はもっと驚いてもらえると思います!」


エリシアは嬉しそうに頷いた。


 ◇

気付けば、一周して第一階層へ戻ってきた。


「みなさーん!」


その声を聞くなり


「ぷる!」


「ぷるる!」


「ぷるー!」


大量のスライム達が一斉に集まってくる。


「ふふっ。みんな元気ですね!」


エリシアは一匹ずつ優しく撫でていくとスライム達も嬉しそうに身体を揺らした。


「ぷる!」


「ぷるる!」


とても穏やかな時間だった。


けれど


「……あれ?」


エリシアは首を傾げた。


「楽しいんですけど……。何か足りません。」


しばらく考える。


そして。


「あっ。」


思い出した。


「マスターがいないんですね。」


いつもならライムと笑いながら歩いている。


スライム達に話しかけたり設備を見て頭を悩ませたり新しいアイデアを思いついて目を輝かせたり・・・


しかしその姿が今日はなかった。


エリシアは少しだけ寂しそうに笑う。


「決めました!」


ぱっと顔を上げる。


「今度はマスターと一緒にお散歩しましょう!きっと、その方がもっともっと楽しいですよ!」


「ぷるーー!」


 スライム達も一斉に跳ね上がる。


 エリシアはその光景を見て、満面の笑みを浮かべた。


「約束ですよ、マスター!そしていつか私もみんなと一緒に戦うんです!」


この場にはいないライムとの約束を勝手に取り付けるエリシアであった。

もし少しでも

「続きが気になる!」

「面白かった!」

と思っていただけたら、

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それではまた次回!

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