一歩
ライムはダンジョンコアの前に立った。
薄く光る透明な宝石であり世界一のダンジョンへの第一歩その心臓部だった。
「さて」
ライムは両手を擦る。
「まずはコアの機能確認だな」
「はい!」
エリシアも隣に並ぶ。
ぷる吉もぴょんぴょん跳ねていた。
ライムがコアへ手を置く。
すると空中に光の文字が浮かび上がった。
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ダンジョン名:未設定
ダンジョンランク:E級
所持魔素:2000
所持金:魔金貨3枚
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「少なっ!」
エリシアが叫んだ。
「そうだな・・・少ないな……」
ライムも苦笑する。
魔金貨三枚とは一般人なら十分大金。
だがダンジョン経営では話が別だ。
「ちなみに」
ライムは説明する。
「魔金貨一枚で魔銀貨千枚」
「魔銀貨一枚で魔銅貨百枚だ」
「そして魔素千で魔金貨一枚くらいの価値がある」
「つまり私達の資産は……」
エリシアが指を折る。
「魔金貨五枚分くらいですか?」
「そんなところだな」
エリシアは青ざめた。
「世界一まで遠くないですか!?」
「遠いな!」
ライムは即答し、二人は顔を見合わせた。
ぷるっ!
ぷる吉もぷるぷるしていた。
「まあいい」
ライムはコアの画面を操作する。
するとさらに文字が浮かぶ。
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・地図機能
・契約書作成
・ショップ
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「おおー!」
エリシアが感動する。
「便利ですね!」
ライムは頷く。
「契約書は労働契約とか税金関係だ。人を雇う時に必要になる。地図機能はダンジョン管理。そしてショップ機能。」
エリシアが目を輝かせる。
「これで強い罠とか買うんですね!」
「いや」
ライムは首を振った。
「まずは水場だ」
「……水場?」
エリシアがぽかんとした。
ライムはショップを開く。
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生活設備
・水場 100魔素
・簡易寝床 50魔素
・簡易照明 20魔素
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「安いですね!」
「生きるのに必要だからな。政府から最低限だが補助がでてるんだ。」
そう言いながらライムは迷わず購入した。
次の瞬間洞窟の隅から水が湧き出した。
透き通った綺麗な水が流れる小さな泉だった。
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所持魔素
2000→1900
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「わあ!」
エリシアが歓声を上げる。
「こうやってたくさん購入してどんどんダンジョンを充実させていくんですね!」
だがライムは首を横に振った。
「確かに、最初の内は必要最低限の基本設備や契約書関係はコアを使うけどそれ以外は違う」
「え?」
「ダンジョンの拡張、罠の設置、施設建設、出来ることは出来るだけ自分達でやる」
エリシアが首を傾げた。
「どうしてです?」
ライムはコアを見つめる。
「ランキングだ」
「ランキング?」
「ダンジョンランキング上位になるには魔素を魔神様へ大量に捧げなきゃいけないんだ。つまり無駄遣いしてたら勝てない。あとある程度成長すると補助金を貰えなくなって普通にやったら赤字になる。」
エリシアがハッとする。
「なるほど!節約経営ですね!」
「その通りだ」
ライムは笑った。
「だから俺達は自分で作るんだ!世界一になるための小さな一歩だ」
エリシアの目が輝く。
完全に尊敬の眼差しだった。
「やっぱりマスターは凄いです!」
「いや普通だろ」
「普通じゃないですよ!」
「そうか?」
その時だった。
ぷるっ!
ぷる吉が水場へ飛び込んだ。
「おっと」
ライムは笑う。
「そうだった」
そして。
泉へ手を伸ばした。
そして大量の魔力を流し込む。
ごぼごぼごぼ。
泉が青く輝き始める。
「マスター?これは?」
「これが俺の力。魔力水精製だ。最初から水があると効率が良くなるんだ。そして何よりスライムにとって最高の栄養になる」
ぷる吉の目が輝いた。
ぷるぅぅぅぅぅ!!
ごくごくごくごく。
猛烈な勢いで飲み始める。
「おい!飲み過ぎだ!まだもうちょっと待ってくれ!」
「ぷるるるるるるる!!」
止まらない。
そして次の瞬間だった。
ぽん!
ぽん!
ぽん!
「え?」
エリシアが固まる。
ぷる吉の隣に小さなスライムが現れた。
さらに
ぽん!
ぽん!
ぽん!
次々と増えていく。
数秒後そこには十匹近いスライムがいた。
「増えたぁぁぁ!?」
エリシアが叫ぶ。
ぷるぷる。
ぷるぷる。
小さなスライム達が跳ね回る。
ライムは満足そうに頷いた。
「ま、まあ・・・・・成功だな」
「成功なんですかこれ!?」
「うん!成功だ!」
ライムは胸を張る。
そして増殖したスライム達を見渡した。
「俺はスライムマスター!スライムを育てることなら誰にも負けない」
ぷるっ!
ぷるっ!
ぷるっ!
スライム達が嬉しそうに鳴く。
「まずはスライムだ。そこから始める!俺はこいつらを使って最強のダンジョンを作ってやるさ」
エリシアは拳を握る。
「はい!私も頑張ります!」
小さな洞窟の生まれたばかりのダンジョン。
だがその中では既に未来の大ダンジョンへの第一歩が始まっていた。
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