おかしな授業
033
「久しぶりの母校はどうですか?先輩」
「少しも変わらないね」
僕の素直な感想だ。
最新テクノロジーを駆使した最新鋭の学び舎。
世界各国から優秀な学生が集まり、皆学業に力を入れる。
僕の後輩にあたる檜山翠と学校の中を周ることとなったが、
どうも僕は乗り気にはなれなかった。
なぜだろう?
よくというか少しも覚えていないこの檜山くんと一緒だからか、
それとも勉学に勤しんでいただけの思い出しかないこの母校に、
何も愛着など持っていてないからなのだろうか。
「先~輩。まずは射撃訓練場にいきましょうよ」
「射撃訓練場?そんな物騒なものがこの学校にできていたのかい?」
「先輩が在籍した時からありましたよ」
「そうだったかな~?」
やはり記憶が曖昧だ。
この学校に射撃部なんてものがあったのだろうか。
娯楽施設とは言えまい。
それとも処刑人という職種に就くための訓練施設か。
処刑人の訓練?
やはりその言葉一つ一つが何故か引っかかる。
「本当に何も覚えていないんですね」
檜山くんがぼそりと何かを呟いた。
「ん?何か言った?」
「いえ。独り言です。お気にせずに」
「そっかならいいけど」
地下に向かうエスカレーターに乗り、
檜山くんのいう、射撃訓練場に向かった。
「先輩のご活躍。私の耳にも届いていますよ。しかも相棒はあのKILLBLOOD様
だとか本当に凄いです」
「様をつけるな様を。まぁ僕が今も生きている理由の半分以上は楓さんによるものなんだけどね。でも僕も地味にBランク処刑人として頑張っているつもりだよ」
「え、楓さん?」
「君の言う、KILLBLOOD様の本名さ」
「へ~え。あの伝説の処刑人とも仲がよろしい様子で」
「ぼちぼちかな」
長いエスカレーターも終着点に着いた。
少し廊下を歩き、重圧な扉の前に辿り着く。
防音も完璧なんだろう。射撃訓練場なんだから。
檜山が首から下げたIDカードでロックを外す。
「さ。須藤先輩のその手腕を私にご教授して下さい」
扉が開かれる。
そこには僕が今まで見たことのないような訓練場だった。
壁には様々な銃器が飾っており。もちろんロックはかけているようだが。
人間がただ銃を構えて撃つだけのアメリカとか警察署とは違うようで、
射撃訓練場というか実戦向きの施設だ。
そして誰かが使っていた後だろうか。
薬莢の匂いが少しだけ残っていた。
「先輩。お好きな銃を」
「僕は昔の拳銃がいいな。実弾の。レーザー銃はどうも好きになれない」
「私と気が合いますね。私も旧世代の銃が好きです。あ!これなんてどうです?」
檜山くんに銃を渡される。
コルトS.A.A
シリンダー式のリボルバー拳銃。
弾数は六発。
リボルバー拳銃か。
かのゴールドマンでもないし。
僕はその銃をまじまじと手に取り確認した。
だがすぐに手に馴染んだ。
この感触というかこの形状の拳銃。昔使っていたっけ?
なんとなく僕はリボルバーを回転させ昔を思い出そうとした。
まぁ結果は勉学に勤しんでいた自分しか浮かばなかったけどね。
僕は訓練場の中に入る。
「先輩!!レベルはいくつにします?」
「一番高いやつでいいよ!!」
扉越しの檜山くんに向かって叫んだ。
先輩の優越感というものだろうか。
僕は少し調子に乗っていた。
その訓練場は訓練というレベルではなかったのだ。
「グルルルア!!!」
ダークソウルズ!?
鈍器を手にしたダークソウルズがいきなり僕の目の前に現れた。
僕はすかさず銃を構え射撃した。
バン!!
「ゲァアア!!!」
一撃でダークソウルズは倒れた。
訓練場の四方からダークソウルズは次々と現れる。
様々な武器を持って。
拳銃をもつタイプから僕は射殺した。
ダークソウルズに囲まれた時の必勝法というか。生き抜きかただ。
リボルバーの拳銃は威力が高く。
一撃で目標を射抜けた。
なんどか武器を振り下ろされる時もあったが、
躱し続け『核』を正確に射抜いていった。
本当に実戦と同じだ。
四隅に準備されていた予備の弾丸を補充しながら。
何体も何体も、
射殺していった。
パーン!!!
終了のブザーが鳴り響いた。
周りのダークソウルズは灰となって消えた。
檜山くんが訓練場の中に入ってきた。
「流石です。Sランク満点得点とはさすが現役バリバリの処刑人ですね。
またまた尊敬しちゃいます」
檜山くんから拍手と賛辞を受ける。
「ダークソウルズが相手だとは思っていなかったよ。しかも本物だし」
「クローンのダークソウルズですけどね」
「やっぱり本物じゃねえかよ!!!」
思わず後輩にキレてしまった。
「本物相手じゃないと死の恐怖がないといいますか。リアルさが無くなりますよ」
「これ死人出ていないかい?」
「いえ一人も。ダークソウルズの攻撃が肉体に当たる直前で訓練は終了しますからね。
攻撃を貰えば死ですからね。本物は」
檜山の言葉には嘘があったようだ。
目は笑っているが、この部屋に漂う違和感というのだろうか?が僕の勘を刺激する。
過去のこべりついている血の匂い。
確実にこの訓練場で死者は出ている。
・・・・・・はずだ。
処刑人の勘?が僕に問い聞かせている。
「いいものを見せて頂きました。次の場所へ向かいましょう先輩」
「次の場所?」
「先輩が四年間学んだエリート教室ですよ♡」




