決戦の終わりに
031
「ゴールドマン。生きていますか!!」
僕は倒れているゴールドマンの安否を確認する。
「小僧。何を見てやがる。どけ!!」
口や腹から血を流しながらゴールドマンが立ち上がる。
黒金を杖のように支えにして。
「ゴールドマン。その傷では・・・・・・」
「倒れた時に「ヒーリング」で塞いだ。死にはしねぇよ。演技だ」
だが僕の眼で見てもわかるくらいにゴールドマンは疲弊していた。
たぶん内蔵系統のダメージが回復していないのだろう。
「背中のヴァンパイア娘に今起きられたら困るからな、俺はもう帰るぜ。
・・・・・・生きてりゃまた会おう」
そう言ってゴールドマンは夜のNEO東京を後にした。
待機させていたヘリに乗って。
「・・・・・・正一?」
「楓さん!!」
僕の背中で眠っていた、血だらけの楓さんが目を覚ました。
「あれ?なんで私。正一の背中におぶさっているの?・・・・・・まぁいっか」
楓さんが僕にさらにもたれかかってきた。
背中に胸の温かさと柔らかさをさらに僕は感じる。
「―ねぇ。正一」
「な、何ですか。楓さん」
「私。処刑人としてまだまだだな~って思っちゃった」
「楓さんにしては珍しい弱気発言ですね」
「新月を「トランスポート」の準備してたら、あんなロボ楽勝だったかもしれない」
「まぁ弘法も筆の誤りって奴ですよ。次に生かしましょう」
「それどういう意味?」
「ハハハ。その内学校で習いますよ。猿も木から落ちると同じ意味です」
「バカにして~。あむ」
ギャーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
とは言わなかった。
僕はワザと楓さんを怒らせた。
僕を庇ったせいで楓さんは昏睡するほどのダメージを負ったのだ。
今回だけは叫ばず、大量に血を吸われよう。
・・・・・・超痛いけど。
・・・・・・なんかめっちゃ眩暈するけど。
「Killers9」にやられた。Sランクの処刑人達?
さすが歴戦の猛者達ですよ。
全員重症は負ったようだが、殉職者は一人もでなかった。
処刑連盟が派遣した。スカイ・レスキューの手によって、
次々と救急車の中に担ぎ込まれいった。
サイボーグの処刑人二人、アイアンブローとグランプ将軍は
すぐに緊急のオペ・メンテナンスが行われるらしい。
「ヒヒヒ。話は途中から聞かせてもらっていたが、まさかあのヘル・プリズナーがな
それで我々の戦闘データや能力を知っていたわけだ。
まぁ『魔法装甲ヒュペリオン』なんて高度な魔法どうやって使えたのは謎だけどな」
ドクター・バットが金属バットを杖に歩き、「Killers9」
の残骸を手に取ってまじまじと見ていた。
「うおっ!!ドクター・バットさん!?あなた潰されたはずじゃあ?」
「ワシはロボットだ。遠隔操作しておる」
「・・・・・・そうですか」
Sランク処刑人達、人外の存在が多すぎる。
僕もサイボーグ手術をしようかな。なんてね。
いやマジでしようかな。右手だけでも。
「「Killers9」未知の金属でできておるね。ヒヒヒ。これは持ち帰って研究せねば」
「Killers9」の残骸はドクター・バットが要請した大型ヘリに乗せられ、
彼の研究室であろうに運ばれていった。
ドクター・バットもそのヘリに搭乗して帰って行った。
そして最後に残った。手加減して闘っていたという、
仮面の処刑人 ミラさんは
「また会おう。須藤さん。楓ちゃん。さらばだ!!」
とNEO東京の闇夜に跳んで行った。
まぁそのあと普通の女の子として広場に歩いて戻ってきたのだが。
「・・・・・・家まで送って下さい」
と僕に懇願してきた。
普通の女子高生、霧崎未来に戻って。
楓さんと未来さんの二人を乗せてエアドライブを発進させた。
崩壊した。処刑連盟本部前の広場から浮かびエアドライブは走る。
楓さんは助手席ですぐに眠りについた。
あの激戦だ。無理もない。
そして僕を庇った傷も完全に回復していないのだろう。
本当に眠ったその顔は普通の可愛い女の子だ。
いつまでも見ていたい位だ。
「・・・・・・須藤さん」
後部座席の未来さんからの急な声かけで我に戻る。
「な、何でしょう?未来さん」
「・・・・・・楓ちゃんが他人を庇うなんて・・・・・・初めて・・・・・・だよ」
「そうなんですか?」
「・・・・・・うん。楓ちゃんが今まで組んできたパートナーは・・・・・・
けっこう見過ごされて・・・・・・死んでいったって話」
「まぁそれが処刑人の世界ってやつじゃないですかね。弱い奴から死ぬ。
弱肉強食です。Bランクの僕の口から言えた言葉じゃないですけどね。アハハ」
「・・・・・・愛かもよ」
その言葉で僕はたじろいだ。
少しハンドル操作も間違える位だ。
「あ、愛ですか!?まっさか~。楓さんは僕のことをいつも馬鹿にしてますよ~」
「・・・・・・うん。学校でよくそんな話をしている」
「やっぱりそうなんですね」
天国から地獄だー。
「・・・・・・でもね。須藤さん」
「はい?」
「・・・・・・楓ちゃん。須藤さんの話ばっかりするの・・・・・・ウザイくらい。
少しずつ強くなってきたとか・・・・・・頭はいいだとか・・・・・・
影では認めているみたいだよ」
「マジですか?」
「・・・・・・うん。マジです」
楓さんが僕のことをね~。
嬉しいな。
「・・・・・・あ。ここです」
未来さんの指示通り目的地についた。
そこは超超高級マンションだった。確か家賃何千万もするところだ。
特Sランク処刑人半端ねー!!!!
「・・・・・・須藤さん」
「何ですか?」
「・・・・・・携帯・・・・・・ある?」
「いつも持ち歩いてありますよ」
「・・・・・・貸して」
未来さんに「QA」を渡す。
未来さんは「QA」を手にしたとたん高速で何かを打ち出した。
「・・・・・・はい。送ってくれたお礼・・・・・・私の番号・・・・・・レアだよ」
未来さんから「QA」を受け取る。
「・・・・・・なにか困ったことがあったら・・・・・・相談のるよ?
・・・・・・処刑の依頼でもいいよ」
「ありがとうございます」
「・・・・・・じゃあまた・・・・・・おやすみなさい」
「お疲れ様でした」
未来さんはペコリと頭を下げた後、マンションの中に入っていった。
僕はそれを最後まで見送った後、
最後の移動先はっと。
「お疲れ様です。只今戻りました」
神谷処刑事務所。
「おー須藤くん。お疲れ様。激闘だったね」
「僕は闘っていませんよ。楓さんのおかげです」
社長は先ほどまで特別テレビ中継の『ファントム』との闘いを見ていたらしい。
「まさか処刑人の中に裏切り者がいるなんてね~ビックリしただろ?」
「はい。あのヘル・プリズナーが『ファントム』だったなんて・・・・・・」
「楓も疲れたようだね。ベッドまで連れて行ってあげてくれるかな?」
「もちろんです」
僕は事務所二階の楓さんの部屋を開ける。
そっとベッドに楓さんを寝かせた。
そして僕は部屋を後にする。
「・・・・・・正一?」
「楓さん。起きちゃいましたか。すいません」
「寝間着取って。血まみれじゃ寝られない」
「失礼。そうでしたね」
僕はクローゼットに入っていた。
ネコ柄のパジャマを持って来た。可愛い趣味だ。
楓さんは下着姿になっていた。
「はい。ネコさんパジャマです。どうぞ。おぅ!?」
楓さんに凄い力で手首を掴まれベッドに引き込まれる。
「か、楓さん!?」
「今夜はこのまま、一緒にいて」
「えぇ!!いいんですか!?」
「・・・・・・うん。いいよ」
その後僕達がどうなったかは皆様のご想像にお任せする。
処刑対象『「Killers9」』処刑完了。
処刑対象その二『ファントム』処刑失敗
処刑場所「処刑連盟本部前広場」
『¥5,000,000,000』入金予定
依頼№60『幻影』
完




