猛者の油断
029
楓さんは銀髪のヴァンパイア本気バージョン。
ミラさんは両腕両足から光の刃を出し、攻撃特化バージョン
その二人の姿を見てか、
「Killers9」はいきなり両腕のロケットパンチを繰り出して来た。
ボゴーン!!!!!!!!!!!!!!!!!!
広場の地面が大きく砕けた。
「楓さん!!!」
「遅いわ。見えているわよ」
「同じく」
高速で二人は「Killers9」の顔の前に跳躍していた。
「斬鉄!!」「光神斬!!」
二人が同時に「Killers9」を斬りつける。
ズバガギィン!!!
「Killers9」は右足を上げ大きく揺らいだ。
効いている!?
『魔法装甲ヒュペリオン』の上からでも彼女達の斬撃は効いたようだ。
そのまま二人は「Killers9」の左足に移動し、
再度同時に斬りつけた。
「斬鉄二回目!!」「光神斬!!」
ズバガギィン!!!
ゴゴゴゴゴゴゴゴ
ゴガシャーン!!!
「Killers9」はバランスを崩し砂煙を上げ転倒した。
「楓ちゃん。胸を狙え」
「何で?」
「「Killers9」には『核』がある。ダークソウルズの『核』だ。今微かに見えた
「Killers9」は機械とダークソウルズのハイブリッドだ!!」
「オッケー!!」
二人は「Killers9」の胸の部分に乗り、斬撃のラッシュを加える。
ガギガギガギガギガギガギガギガギガギガギガギガギガギガギ
ガギガギガギガギガギガギガギガギガギガギガギガギガギガギ
ガギガギガギガギガギガギガギガギガギガギガギガギガギガギ
パリーン!!!!!!!!
二人のラッシュによって『魔法装甲ヒュペリオン』を斬り破り、
確実に少しずつだが斬撃が「Killers9」に届いていた。
「魔法装甲を破ったね」
「ああ。いけるぞ」
「うん」
ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ
ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ
ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ
二人の斬撃の嵐はおさまらない。
いける。いけるぞ。
薄くだが装甲が剥げてきている!?
「Killers9」はその斬撃の嵐に指一つ動かせれてはいない、
いや腕が動き始めている!!
予測していたかのようにミラさんが言う。
「楓ちゃん。レーザー光線が来るぞ。避けろ!!」
「わかった」
ミラさんが予測していた通り、「Killers9」は胸に乗っている二人目がけて
両掌をかざした。
その十本の指の先からレーザー光線が放たれた。
二人はそのレーザー光線を躱す。
十本のレーザー光線をものともにしていない。
乱雑に放たれるレーザー光線を二人は躱し続けた。
空中で旋回しながらも躱す。
なんて体術なんだよ。人間技ではない。
ギゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
二人が回避に専念している間に「Killers9」はその巨体を持ち上げた。
「しまった」
「また転倒させるぞ」
「うん」
二人は足元を狙い走る。
二人が「Killers9」の足元に到着した瞬間だ。
パカッ
「Killers9」の股の部分が開き、黒い物体が何発も投下された。
「爆雷だ!!避けろ!!」
「くそ!!」
ボガーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!!
「Killers9」の足元で大爆発が起きた。
その爆風は僕のところにも届いた。
「うわっ!!」
僕は三メートルほど吹き飛ばされた。
僕はすぐに立ち上がり楓さん達の安否を確認する。
二人は崩壊した広場の瓦礫の上に立っていた。
あの爆風を躱したとは流石です。
無事で良かった。
でも絶対的な防御力を誇る装甲を破るには・・・・・・
そうか!!
「楓さん。新月です!!」
僕は叫んだ。
「新月!?」
「新月には『本来斬ることができないものを斬る力』があります!!
「トランスポート」で今すぐ転送して下さい」
「・・・・・・あ!?」
「なんですか?」
「新月を「トランスポート」の対象にするの忘れちゃった・・・・・・」
おおおおい!!!!
楓さん。人類の存亡がかかっているかもしれないこの時に
それを忘れちゃ駄目でしょ。
ならば、
「五分待っていて下さい。僕が事務所から新月を取って来ます!!」
僕は走り出す。だが、
迂闊だった。
「Killers9」は、あろうことか僕めがけてロケットパンチを飛ばしてきた。
僕が余計なことを言ったせいでターゲットが僕に切り替わったのだ。
巨大な拳が僕に急接近してくる。
須藤正一。ここで死ぬのか。
僕は死を覚悟して目を瞑った。
ガギィン!!!!! ブシャッ!!!
嫌な音が発せられた。
僕の体からではなかった。
僕は目を開ける。
「か、楓さん!!」
楓さんが怨月の刃で「Killers9」の巨大な拳をガードしていた。
だがその衝撃をモロに受けたためか、楓さんの全身から大量の血が流れていた。
頭、腹、腕、脚、関節、
血が出ていない部位がないほどの出血。
「しょ・・・・・・ういち。ゆ、油断しちゃだ、めでしょ・・・・・・」
楓さんの銀髪が黒髪に戻る。
そして意識を失い地面に向けて倒れ始めた。
僕は倒れる前に楓さんを抱きかかえた。
「KILLBLOOD。アウトー(笑)」
『ファントム』が笑う。
「黙れ!!楓さん!!楓さん!!そうだ「ヒーリング」まだか「ヒーリング」」
何度も何度も「ヒーリング」を唱える。
だが楓さんの傷は一向に回復しなかった。
「何故だ。「ヒーリング」くそ「ヒーリング」なんでだよ。何故回復しない!!」
何度も「ヒーリング」を唱え続ける。
「うわっ!!!うぐっ!!!!」
右腕に激痛が走った。
ワイヤーが右腕に何重にも巻かれる幻覚。
魔法大量酷使の罰。人間の心が闇に飲まれる前の最終警告。
構うものか。
僕のせいで楓さんは・・・・・・「ヒーリ」
「それまでにしておけ!!!」
僕の右腕はある人物に抑えられた。
英雄は遅くに登場する。
だがその「守銭奴の英雄」はあまりに遅く登場した。
金色の髪、金色の指輪、金色のコート、超長い剣、
全身金色で固めたこの男は世界の英雄。特Sランク処刑人。
世界最強の処刑人。
「ゴ、ゴールドマン!?」
「英雄を呼び捨てか?小僧。―まぁ俺のキラーネームだから勘弁してやるか。
丁度零時だ。俺は時間きっかりに来たぞ。何だその顔は、泣いているのか?
ふん・・・・・・ヴァンパイア娘のその全身の傷は、
ヴァンパイア状態を使いすぎた後遺症の傷だ。魔法では治らねぇよ。
あとで吸血でもされて回復させてやれや」
「治るんですか!?」
「ヴァンパイア退治も生業としてきた俺の見解だ。安心しろ。
ほぅ。『魔法装甲ヒュペリオン』を破ったのか?ハハハハ。
やるじゃねぇか。新月も無しによぉ。俺が褒める言葉を言ったら
ヴァンパイア娘、ブチギレるだろうな。黙っておけよ。恥ずかしいからな。
小僧。いつまでもその腕で抱いてないで、背中におぶってやれ。男だろ?」
僕は楓さんを背中におぶった。
こんな軽い身体であんな巨体のロボットと殺りあっていたなんて、
本当に無茶するよな。
僕が弱いせいで・・・・・・
「Killers9」はロケットパンチをゴールドマンいや僕達に向けて飛ばして来た。
「「ソードドライブ」「ボディオーバードライブ」」
ゴールドマンは二つの魔法を唱えた。
そして「Killers9」の巨大な拳を、忍者刀・黒金を縦に構え切断した。
巨大な腕が僕達の脇を抜けてドンドン切断されていった。
「うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!?」
僕はその凄まじい切れ味に叫び声を上げた。
「Killers9」の左腕は完全に斬れて無くなった。
「Killers9」は想定外のダメージで困惑している様子だった。
中のダークソウルズと高性能自立コンピューターが混じって混乱しているのであろう。
そう僕は解釈する。
「「Killers9」は機械とダークソウルズのハイブリッドだ。
それはもうわかっているよな。小僧」
「はい」
「だから『核』が存在する。見てろ小僧。俺が一撃でそれを破壊してやる。
そして今から言う言葉を覚えておけ。いいな。」
ゴールドマンは僕に語り始めた。




