決戦
028
NEO東京 処刑連盟本部ビル前広場
ゴールドマン、ヘル・プリズナーを除く、
八人のSランクの処刑人達は広場の前に集結していた。
アイアンブローのようにシャドーボクシングをしていたり、
ソニック・ブレイドのように目を瞑って正座して瞑想していたり、
皆各々のやり方で零時を待っていた。
僕も楓さんの相棒として現場に来ている。
がこの周りの雰囲気は少し僕を怖じ気づかせた。
これがSランクの処刑人達の本来の気迫。殺気。
サインを頂いた時は大違いだ。
午後十一時四十五分
予告していた時間より早く。
『ファントム』がビルの闇の中から歩いて現れた。
「Sランクの処刑人達ごきげんよう。―おや二人ほど足りないようですね~。
あと知らない眼鏡君もいるし・・・・・・これだから処刑人という職種は」
「あのマシンはどうしたのであるか?」
グランプ将軍が尋ねる。
「気が早いですね~将軍。まだ予告の時間じゃないですよ~。まぁいっか。
では期待のマシンに登場してもらいましょう。処刑人殺戮マシン「Killers9」です」
『ファントム』は空中に手を翳した。
空中に歪みが発生し始める。
あれは高次元の魔法か?あんな魔法見たことがない。
その中から「Killers9」は出現した。
目測だが体長は十メートルはゆうに超えている。
二足歩行の一つ目の巨大ロボ。
かなりのデカさだ。
ヴォン
「Killers9」の一つ目が赤色に発光した。
某アニメの敵国のロボットのようだなと僕は思った。
てか見た目まんまだな。
ザ○Ⅱだよ。
黒いザ○Ⅱ!!。
「さぁ処刑人達。準備はいいかな?」
「もう始まっている」
速い!!
ソニック・ブレイドがもうしかけていた。
「Killers9」の左肩に彼は立っていた。
両腕に装着されている刃を「Killers9」の首を狙って交差させる。
ガギィン!!
だがその斬撃は弾かれた。
「何という固さ!!―何!?」
ソニック・ブレイドの両足は、
「Killers9」の左手によって掴まれていた。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!?」
ソニック・ブレイドはそのまま高速で地面に叩きつけられた。
「グゴッ!!」
ベギボキバキ そんな音が鳴った。
ソニック・ブレイドは大量の血を吐いた。
「Killers9」はその鈍重な見た目と違い、
あのスピードでは他の処刑人達に
引けを取らないソニック・ブレイドを片手でキャッチできる。
スピードも速いようだった。
「まず一人目リタイア。早かったですね~」
『ファントム』が言う。
「高火力が必要なようだな。なら吾輩にまかせるのである」
「オレモイコウ」
グランプ将軍とアイアンブローが必殺技の準備をしていた。
両者は強化サイボーグだ。
一撃の火力は他のSランク処刑人を凌駕する。
だが周りの建物も含めて破壊してしまうという苦情も多々あるが。
「デスパレードミサイル!!」胸や肩から連弾で発射されるミサイル弾。
「アイアンWロケットパンチ!!」その名の通りのWロケットパンチ。
二人の必殺技が爆音と共に炸裂した。
爆発と爆炎が上がる。
「Killers9」が後ろに大きく揺らいだ。
効いている。さすがの高火力の一撃。
だがその爆炎の中から黒い影が伸びて来ていた、
「Killers9」の両腕のロケットパンチのお返しが。
「ゴボー!?」「グハー!?」
二人の胴体を貫き破壊し後方のビルまで吹き飛ばした。
ガシャン!!!
二人は本部ビルの窓の上部に叩きつけられた。
「グランプ将軍、アイアンブローもリタイアだね」
『ファントム』が言う。
「なら魔法ならどうだぜ。いくぜ雷帝」
「応!!」
ザ・ヒートマンとブレイブ・アレクサンダーソンの連携魔法が繰り出される。
「ヘル・ヴォルカニカ」「ヘル・サンダーストリーム」
巨大な炎の塊と雷の槍が出現した。
あれは『究極魔法』ヘルシリーズ。
最上級魔法のその上の段階の魔法。
Sランクの処刑人にしか使えない魔法。
Sランク以外が使えば一瞬で闇に心を囚われる禁忌の魔法。
「燃え尽きやがれだぜ!!!」「貫け雷よ!!!」
「Killers9」を覆い尽くす炎と雷。
その中でも平然と「Killers9」は活動を停止しなかった。
ピシュン ピシュン
「ぜ!?」「な、何!?」
「Killers9」の両掌から放たれたレーザー光線が二人を貫ぬく。
そのまま二人は後ろに突き飛ばされた。
「アハハ。焔の貴公子、雷帝、アウトー(笑)」
『ファントム』が笑いながらそう言った。
「ヒヒヒ。アレは『魔法装甲ヒュペリオン』だね」
いつの間にか僕の横に来ていたドクター・バットが言う。
「「Killers9」とんでもない防御力と火力だワシの計算以上だ。
須藤くんだったね。キミはどう思う?」
「僕も「QA」で調べましたがあれを突破するのは『高度な解除魔法』かあるいは、
その魔法を発動している本体を叩くしかないですね」
「ヒヒヒ。同じ考えだね。ワシは魔法の発動者、『ファントム』を撲殺しよう」
その高齢の外見とは違ってそのスピードは素早かった。
一瞬で『ファントム』に接近していた。
「Killers9」の後ろの『ファントム』に金属バットで殴りかかろうとする。
「おじいちゃん。無駄ですよ」
ゴガン!!!
「ヒヒヒ。発動者本体にも『魔法装甲ヒュペリオン』かー!?」
「そういうことです。さよならー」
「Killers9」の片足が上空に持ち上がり、そのままドクターバットを叩き潰した。
グチャリと嫌な音が鳴った。
「さ~てさてもう役者は後二人ですか~Sランクの皆さま。全く話にならないですね~」
『ファントム』は宙に浮かんで手を広げた。
「貴女達が倒れたらこの街、いやこの世界は無くなるんですよ~」
Sランク処刑人達の闘いをずっと腕を組んで見ていた、
楓さんとミラさん。
二人がついに構える。
「ありゃ強いね。最初から全力で行くよ」
「そうだな。戦力分析はできた。行くぞ」
楓さんが怨月を鞘から抜き、左目の眼帯を外す。
楓さんの黒髪が銀髪に変わる。
「光神機。解放!!」
ミラさんの纏う装甲が攻撃に特化したような姿に変わった。
両腕、両足の部分から光の刃が飛びだした。
午後十一時五十分。
ものの五分で歴戦の猛者達が倒れた後、
彼女達は最初から全力のようだ。




