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KILL BLOOD  作者: ユート・ロビンソン
依頼No.57 剣聖
23/35

024


シュパン


「ああ!!僕のグロッグ17カスタムが」


僕の愛銃グロッグ17カスタムの銃身が見事なまでに、

斜めに斬られた。これ直るかな?

柳生村正に隙などなかった。

いつの間にか手には日本刀が握られていた。

「銃など使うな。小僧。刀を使え刀をワシの「新月」のような名刀を」

「僕はガンマニアです」

僕の精一杯の抵抗。

「・・・・・・刀の良さがわからんガキが」

柳生村正は僕に斬りかかって来た。


ガキィン!!!!!!!!!!!!


「・・・・・・楓」

「おじいちゃん。私と一対一でりあおうよ」

楓さんの「怨月」と村正の「新月」が鍔迫り合い状態になった。

すぐにその鍔迫り合いもすぐに終わる。

柳生村正が新月を鞘にしまったからだ。

楓さんも怨月を鞘にしまう。

「楓。お前がどれほど成長したか見たくなったわ。

噂話は聞いておるが、所詮噂話よ。庭に来い。」

村正は左腕を上げる。

何重にもふすまが開かれていく。

ダークソウルの力。

「ついて来い」

「わかったよ。おじいちゃん。正一。行くよ」

「あ、はい」

僕は斬られたグロッグ17カスタムの銃身を拾って、楓さんについていった。

直るのかこれ!!マジで。


死闘の舞台は

立派な庭園だった。

鹿威ししおどしや松の木。鯉がいる池。

白い石が一面に敷き詰められており、

いつもは暗黒の雲がかかっている空だったが、

『月』が雲から覗き庭園全体を照らしていた。

『月』を直接見たのは何年ぶりだろうか。

「・・・・・・美しいな」

僕は呟いた。


「楓。刀を抜け」

「おじいちゃんもね」

「言われるまでもないわい」

両者が同時に刀を抜く。


月明かりが二人の剣士の刃を妖しく照らす。

「合図はいらんな。楓よ」

「うん。おじいちゃん。もう始まっているよ」

「ふふふ」

「うふふ」

「アハハハハハハハハハハハハハハハハハ」

「アハハハハハハハハハハハハハハハハハ」


「ぬん!!」


村正の動きが僕には見えなかった。

ガキィン!!!!!!!!

刃と刃がぶつかり合う。

ギリギリギリギリギリ

火花を散らしながら二つの刃が交わる。


「楓。よくぞ見切った」

「私も毎日修行しているからね」

「今だに復讐の道を進んでおるのか?」

「それは私の夢。誰にも邪魔させない」

楓さんが村正を押し始める。

「復讐は修羅の道よ。それでも構わぬのか?」

「ここで修行し始めた時も言ったよね。修羅の道こそ私の道だと。はあー!!!」

ガキィン!!!!!!!!

ガキィン!!!!!!!!

ガキィン!!!!!!!!

ガキィン!!!!!!!!

激しい斬り合いののち、

二人は距離をとった。


「楓。修羅の道はこういう末路が待っておるぞ」

村正は着物の上を脱いだ。

背中から溢れ出す不の瘴気。

ダークソウルの流れ。

「ワシはこの闇に心を奪われた。渇くのだよ。血がな新月がな。

悪を斬り裂くことで理性を保っておるが、ワシの心はやがて、

完全なる闇に包まれるのだろう。その時はもうすぐだろう」

「私は絶対ダークソウルに侵されない。でも復讐は果たすよ」

「・・・・・・そうか。飛燕!!!」

飛燕 無限一刀流の奥義の一つ、

斬撃を飛ばす技。

常識的に考えて魔法を使わず斬撃を発射できるのってすごくないですか?

無色透明の飛ぶ斬撃。

地面を抉りながら飛んでくる。

楓さんはそれを躱す。

「口ではいうが、楓よ。お前も必ず闇に堕ちるぞ。連覇・飛燕!!!」

そう言って村正はまた斬撃を飛ばす。何度も何度も。

楓さんは躱し続けた。

いつもならすぐに斬りかかっていくはずなのに・・・・・・

「どうした。楓。これでは決着がつかぬぞ」

楓さんは黙って躱し続ける。

「・・・・・・」

そして

楓さんは目を瞑って怨月を鞘にしまって裏手に構えた。

「ほう。それで来るのか」

村正も新月を鞘にしまい楓さんと同じ構えをとる。

「無幻一刀流・秘奥義 叢雲むらくも

それは一度もワシに勝ったことのない技じゃろうが」

「・・・・・・」


十分位だろうか。

両者が全く動かなくなってからの時間は

だが達人同士の斬り合いに決着がつくのは一瞬。


やはり僕の眼にはその瞬間を目視することができなかった。

あまりの超絶スピードに線が何本も走ったようにしか見えなかった。

二人は逆の方向に交差した。


先に楓さんが膝を地面につける。

「楓さん!!」

思わず僕は叫んだ。

村正は楓さんのほうを振り返る。


「強くなったな。楓よ。叢雲 見事な完成度よ」

村正の胸部に何本もの切り傷が発生し、

おびただしい出血が胸部から放たれた。

致命傷だ。


「楓よ。闇は甘い。美しい。飲み込まれるなよ」

「はい。師匠マスター

「師匠か。ふふふ。お前は最後の弟子だった。そして一番優秀な弟子だった」

「ありがとうございます」

「これをお前にやろう」

私に投げ渡されたのは柳生村正の愛刀 妖刀・新月だった。

「「剣聖」の名はお前が継げ。さらに精進し強くなれよ。楓」

「はい!!」


柳生村正は私に背を向け正座をした。

柳生村正という伝説のおとこの最期。


介錯かいしゃくを頼むぞ。楓。ぬん」


柳生村正は短刀を抜き自らの腹に突き刺す。


「伝説のおとこの生き様。この心に焼き付けました」


私は怨月を振り下ろし、

柳生村正の首を刎ねた。


柳生村正は龍をその背に正座のまま即死した。


楓さんは怨月を鞘にしまった。

「さ。帰ろう」

「楓さん。いいんですか?」

「何が?」

「師匠の最期を見届けれたとして、後味悪くないですか?」

「依頼は依頼。処刑人としての義務でしょ。正一が暗くなってどうするの?

師匠は悔いなく逝ったんだ。それでいいじゃない。

そんな考えだったら。正一。あんたが闇に飲まれるよ」

「そうですね。わかりました」


柳生村正の死体を後にして僕達は

「無幻一刀流道場」を出た。

楓さんの手には村正の刀。妖刀・新月が握られていた。


僕達は車に乗り込む。

エンジンをかけて発進する。

「正一。正一」

「なんでしょう?楓さん」

「私が使っている妖刀「華月シリーズ」って実は三本あるんだよ」

「三刀流ですか!?ロロノア!?」

「何それ?」

楓さんは呆れた顔をする。

「そもそも三本もどうやって刀を持つのよ」

「両手に持ってですね。口に咥えるんですよ。それで三刀流です」

「それじゃあ。喋れないじゃない」

「・・・・・・」

「ふがふがふがってなるよね」

「・・・・・・まぁ現実はそうですよね」

「最後の一本「紅月こうげつ」は誰が持っているんだっけか?」

「重要な伏線ですね」


楓さんと雑談をしながら夜の京都を後にする。

五山送り火を後にして。


翌日。神谷処刑事務所 午前十時。


「ほんまおおきに。おじいちゃんも満あいやして死んやみたいしな」

小春さんは深々と頭を下げた。

「「剣聖」の名と刀はうちの事務所の楓さんが受け継ぎました。

小春さんよろしいのでしょうか?」

「それもおじいちゃんの望むところさかい。国宝大事に使っておくれやす」

「楓さんに伝えておきます」

「では今回の料金のご精算を」

隣の魔夜さんが言う。

「今回のケースですと、Sランク処刑人一人とBランク処刑人一人の出張費。

二時間以内での処刑費。その他込みで、こちらの額になります」

魔夜さんは高速でタブレットに数字を打ち込んで、

処刑費用を提示する。


『¥5,500,000,000』


「五十五億か。あかん。今日車で持ってきた札束じゃ少し足りひんわ」

「クレジットでも構いませんよ」

「ほな。カードで決済させてもらいます」


小春さんの出した、電子マネーカードをスキャンした。

「ご利用誠にありがとうございました」

「ほな。またの機会にほんまおおきに」

カランカラン

小春さんは事務所を出ていった。

最期までうなじがセクシーだったぜ。

「須藤さん」

「は、はい」

うなじに見とれていた僕はビックリした。


「楓さんが手にした妖刀・新月 実はとんでもない力を持っているんです」

「どんな力なんですか?」

「楓さんが使えば近々。特Sランクになるかもしれない力です」

「焦らしますね。早くその力を教えて下さい」

「妖刀・新月の力は」


処刑対象『柳生村正』処刑完了。

処刑場所「無幻一刀流道場」


『¥5,500,000,000』処刑費用カード分割払い


依頼№57『剣聖』


僕達が知る由もしなかった出来事だ。

僕達が「無幻一刀流道場」を後にしたほんの数分後の出来事。


『月』から男が降りてきた。

「あらら。柳生村正。殺されちゃいましたか。

やはり新月はダークソウルに侵された身体じゃ真の力を発揮できないからね。

KILLBLOOD。とんでもない得物を手にしてしまっちゃったな~。

新月の使い方次第では、あのお方も殺される可能性があるかも?

・・・・・・いやまずありえないか。あのお方は万能の存在になったのだからね。

でも新月の真の力『本来斬ることができないものを斬る力』は危険だね。

今度この俺が直接KILLBLOODに会いに行こうかな?なんてね」

男は柳生村正の死体を手にもつ箱にしまい『月』へと跳躍した。

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