師
022
柳生村正 七十五歳
表の世界、裏の世界問わず「剣聖」と呼ばれる剣の達人。
スカイ・ポリスなど世界政府に武術師範も頼まれるほどの偉人。
だがそんな彼にも闇の部分は存在する。
小春さん曰く、近頃の謎のマフィア・ヤクザの壊滅事件は全て
柳生村正の仕業であるらしい。
毎日のように返り血を浴びて帰って来る祖父に直接聞いたところ、
「悪千人斬り」を行っているということであるらしい。
「剣聖」と呼ばれる人物がなぜこのような凶行を。
僕達はその柳生村正を「処刑」するために、
華の都、京都に足を運ぶこととなった。
もちろん、徒歩ではない。エアドライブでだ。
五山 送り火 伏見稲荷大社
あげればあげるほど観光スポットのある街。
ダークソウルに包まれた今の時代でもその文化は変わらない。
まぁ人工の光が照らす夜の街になってしまったのが儚いが。
「楓さん。いいもんでしょ。この車」
「そうだねー。いいねー」
棒読みだ。
顔を窓の外に出し、完全に観光気分だ。
自慢の愛車。エアドライブを愛する楓さんに乗ってもらい。
夜のドライブなんて洒落たことを考えていた僕だが、
儚く失敗に終わった。
そうだ。これは仕事なんだ。依頼だ。
僕は処刑人そんな気持ちで動いてどうする?
僕は運転に専念した。
「正一。昔話してあげよっか?」
「いいですね。聞かせて下さい」
「私の両親が、ヴィンセント・ゴールドマンに殺された後の話なんだけどね」
「いきなり重い話から始まるんですね」
二年と少し前
私は遠い遠い親戚にあたる、神谷社長に猶子として拾われた。
そこのところは今は割愛するけど。今度話す機会の時にね☆
私は処刑人になりたい、親の仇がとりたいと社長に懇願した。
その時に勧められたのが、
柳生村正の流派、「無幻一刀流」だった。
私は京都に赴き、村正師匠に剣術の手ほどきを受ける。
刀に対する考えかた、作法。
一刀流と謳っているけど二刀流もやったけな~。
一緒に鍛えた兄弟子もいたっけ・・・・・・
たった三ヶ月ほどで免許皆伝を頂くほど、私の腕は良かったらしく。褒めてね♡
「今までで最高の弟子だ」
とお墨付きを貰ったものよ。
その剣術の師匠を今から「処刑」しに行くんだけど、
楽しいのやら、悲しいのやら、複雑な気持ちでいっぱいよ。
回想終わり。
「結構伏線が多く仕込まれているような話ですね」
「そのうち私の過去編に突入するからね☆」
「とんでもないネタバレをしないで下さい!!」
僕は楓さんにツッコミを入れることに全力を尽くしていたので
キキィ!!!!
危なく門松に激突するところだった。
あ、てか目的地についた。
巨大な木造の門。
柳生村正の住処。
「無幻一刀流道場」
僕達は車から降りる。
ピンポーン。
何も躊躇することなく、インターホンを押す楓さん。
「おじいちゃん。処刑しに来たよー」
おじいちゃん?処刑しに来たよー?
あなた悲しいとか言ってませんでしたっけ?
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
巨大な門が自動で開かれる。
こういう所は現代風なんだね。
「無幻一刀流道場」
今の季節は夏だが、
季節外れの桜が満開だった。
でも科学で作られた桜というところは知っておいて欲しい。
現代には太陽光は暗黒の雲に阻まれ、地上には届かない。
だから、朝と昼には超科学で作りだされた
人工太陽がこの地上を照らすのだけれど。
故に花は科学の花または造花しかないのだ。
2080年の豆知識終わり。
とてつもない広さの道場だ。
僕達はその木造の廊下を歩く。
楓さんの先導で。
「昔と全く変わんないや」
と楓さんは言う。
この道場の中もたぶん知り尽くしているんだろうな。
巨大なふすまの間に到着した。
「いよー。ポンポンポンポンポンポンポン」
正面のふすまから声と鼓の音がした。
「何でしょう?」
ふすまがガーっと開き、そこには。
連獅子を連想させる赤い長い髪のダークソウルズが大見得を切っていた。
そして煙玉が天井から落ちて来て、
煙の中から忍者の格好をした、忍者タイプ(仮)のダークソウルズが二体飛びだして来た。
「楓さん」
「わかっているよ」
グロッグ17カスタムと怨月を抜き
僕達は戦闘準備に入る。
「さぁ。処刑の時間だよ☆」




