表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
KILL BLOOD  作者: ユート・ロビンソン
依頼No.52 爆女
16/35

月と少年

017


倉庫の窓から差す人工太陽の光が、

さながらスポットライトのように

スティシー・ラヴを照らしていた。


「本物のスティシー・ラヴさんですよね」

当たり前の質問だが僕から切り出した。

「はい。本物です」

正真正銘、本物のスティシー・ラヴは答える。

たった一言だったけど、

僕は何故かその言葉に興奮を覚えた。

本物のスティシー・ラヴを目の前にしているのだ、

興奮しない男はいないだろう。

それほどスティシー・ラヴの男性人気は異常とも言える。

この美貌にプロポーションだ。

「QA」で調べたところ、二十四歳 身長は百六十センチ 

スリーサイズは上からバスト九十・・・・・・

魔夜さんに「QA」を奪われた。

読者サービスだぜ?ねぇ。


「あなたが神谷処刑事務所に依頼を?」

「そうしました」

小さな声でスティシー・ラヴは答えた。

「聞いて下さい。処刑人さん」

「処刑人さんでも結構ですが、僕の名前は須藤正一です」

「・・・・・・では須藤さん。私の話を聞いてくれますか?」

「もちろんです」

スティシー・ラヴは語り始める。


「私の身に起きた異変は、

たぶん今年の『月』でのライブの後からだったと思います。

『月』でのライブは無事に終了。仮設の楽屋で一人休んでいた時でした。

フードを被った。男性。いやあの声は『少年』でしょうか。が尋ねてきたんです」

「『少年』ですか?」

「はい。音楽を長くやっているので、声でなんとなく齢がわかるんです。

楽屋の前には警備員がいたはずなんですが。

その『少年』は平然と入ってきました。

私は変だな~と思ったんですけど、ファンの一人と勝手に決めつけました。」

「それでどうなったんです?」


『月』

仮設ラボ「ムーン・シアター」


「どなたですか?」

私はフードの『少年』に声をかけました。

「名前なんてどうでもいいだろ。僕は言葉を伝えに来ただけ。

あんたの歌には『刺激』が足りない」


その『少年』の声は不思議と私の心に響きました。


「『刺激』ですか?私はこれでも本気で音楽に向き合っているつもりですけど」

私は反抗心から『少年』に少し怒鳴りました。


「ならもっと『本気』にさせてあげるよ」

『少年』は私に近寄ります。

恐怖心もあったのですが、何故か身体を預けてみようと思ったんです。


『少年』は私の喉に左手を当てこう言いました。

「あんたの歌はこれから極上の刺激に変わるよ」

と。


私の喉になんていうんでしょうか。未知のパワーみたいのが、

注ぎ込まれるのを私は感じました。


『少年』は私の喉から手を離し最後にこう一つだけ言ったのです。


「残り二回のライブ全力で歌え、さもなければ『死』が待ってる」

って。


「『月』に『少年』ですか?」


「はい。『少年』に脅されたからじゃなくって私は、

ロサンゼルスのライブも全力でこなしました。

そしたらそしたら、ああああああああああああああああああああああ」


スティシー・ラヴが奇声を上げ、頭を押さえ蹲る。


「スティシーさん?」

スティシー・ラヴの喉元付近からダークソウルの反応が強まった。

その喉元から溢れ出すダークソウルの流れ。

大量に大量に。

それは倉庫の床を黒い影のように流れ、影は形を作り始める。

倉庫を埋め尽くすほどのダークソウルズが、

スティシー・ラヴの後ろに現れた。


パリィン


ダークソウルズが出現した時と同時のタイミングで、

倉庫の窓が割られ、『白いダークソウルズ』がスティシー・ラヴを抱きかかえた。

「キャア!!」

そのままスティシー・ラヴを抱え窓の外に跳躍していった。

「トラッキング」

僕達はすぐには追えなかった。

目の前のダークソウルズの量だ。

これはすぐにでも「処刑」しなくては。

僕はグロッグ17カスタムを抜きかける。

すぐにその手は押さえられた。

魔夜さんにだ。

「須藤さんはらなくていいです」

「何故ですかこの状況で」

「私の処刑テク。そういえば見せていませんでしたよね」

ダークソウルズが一気に押し寄せてきた。

「FN P90×(バイ)2トランスポート」

FN P90(ファブリックナショナル プロジェクト ナインティー)

僕と同じく旧世代の銃だ。

それを魔夜さんはFN P90を二丁その両手に転送させた。

「須藤さん。私の後ろに、「ガンドライブ」」

「はい」

何故か相方の女性の後ろに毎回隠れる僕。

情けないな~。

ちなみに「ガンドライブ」銃の威力を急上昇させる魔法。

効果時間は五分だよ。


魔夜さんは大食漢だ。漢ではないが。

魔夜さんの普段隠しているさらなる一面を僕は目の当りにする。


「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ」


某漫画のスタンド攻撃のような叫び声を上げながら、

両手のFN P90を連射する。

連射というか乱射だ。

ダークソウルズが次から次へと粉々になっていく。

カチカチカチカチカチ


「弾切れかよクソが、リローダー×2」


クソがって言ったよ!!クソがって言ったよ!!この人。


「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ

さっさと灰になりやがれーヒャハハハハハハハハハハハハハハハ」


またFN P90を連射する。

その連射力に大量のダークソウルズは一歩も動けないようだった。

大量の弾丸が床に飛び散る。


「リローダー×2!!死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ねー!!」


もう見てられない。アタシ。

アタシはオカマ口調になるほど、

魔夜さんのその姿はまさに鬼神のように恐ろしい姿だったわ。



銃撃の嵐は止み、

全てのダークソウルズは灰となり、粉々の肉片となった。


「ふぅースッキリした気分だぜ~」


僕の台詞ではない。断じて。

魔夜さんの口から発せられた言葉だ。


「ま、魔夜さん?」

「そういえば、須藤さんには言ってませんでしたよね」

「何がでしょう?」

「私、『トリガーハッピー』なんです」


トリガーハッピーとは、

銃のトリガーを引き、乱射している時に幸せを感じる人。


つくづく女は恐ろしい生き物だと僕は際認識したものである。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ