爆殺する女
016
今日は私の全世界ツアーラスベガス公演。
全世界ツアーライブも今日を含め残すところあと二回。
私はスティシー・ラヴ。
自分で言うのもあれだけど、
『世界の歌姫』『奇跡の女神』
と呼ばれているわ。
今まで出したシングル、アルバム全て
ミリオンセラーを叩き出している。
今日のこのロサンゼルスでの舞台もきっと歴史に残る舞台になる。
『月』でのライブも最高だったし。
これは予感ではなく絶対的な確信。
分厚いカーテンが開かれ、
五万人の大歓声に包まれる。
「ワーーーーーー スティシー結婚してー スティシー最高ー」
たくさんのファンがこのロサンゼルスに集まっている。
私のボルテージもフルスロットルに上がっている。
「みんなー今夜は最高の舞台にするわよー!!」
「ワーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
真紅のドレスを纏いステージでシャウトした。
私はデビュー曲 『JETKISS』を歌う。
会場のボルテージも最高超ね。
「ワーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
『JETKISS』も最後のフレーズに差し掛かる。
私はおもいっきり最後のフレーズを叫ぶ。
「高速で絡もう~JETKISS!!」
バンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバン
会場のファン。照明、音響、バックコーラス、バンド、
会場にいた私以外の全ての人間の頭が次々と破裂するのが見えた。感じた。
会場は一瞬で血の海と化した
私の顔も服もファン達の血でさらに紅く染まった。
「何で!?」
「とんでもない映像ですね」
僕は神谷処刑事務所宛てに届いた、映像ディスクの再生を止める。
「スティシー・ラヴの『ロサンゼルスライブ』は、
中止になったと聞いていましたが裏ではこんなことになっていたんですね」
隣で見ていた魔夜さんは冷静に言う。
午前十時。
いつものように楓さんは学校。社長は睡眠中だ。
「スティシー・ラヴが会場の人間達を皆殺しにしたんでしょうか?」
魔夜さんに質問する。
「会場の人間全てを同時に殺せる魔法は存在しません。
特Sランカーの魔法でも無理です」
複数のターゲットを爆殺する複数爆破最上級スペル、
「ヘルブラスター」でもこの数は無理だ。
殺せても数百人が限度であろう。
なにせ五万人以上の大量虐殺。
僕は背中にゾッと悪寒を感じた。
「会場にいた人間は皆、歌を聞いているんですよね?」
「当たり前のことを聞きますね。須藤さん」
「歌にダークソウルの成分が含まれていたとでも?」
「可能性は否定できませんね」
送られてきた封筒に入っていた手紙を読む。
「私を殺して下さい」
その一文だった。
「依頼の料金はすでに振り込まれています。現在消息不明の
スティシー・ラヴからの直接の依頼かもしれません」
「次のライブツアーはいつですか?」
「封筒にチケットが入っていますね・・・・・・
明日、ここ「NEO東京」「NEO東京ドーム」です」
「このNEO東京か・・・・・・」
処刑対象?『スティシー・ラヴ』
処刑場所?「NEO東京 NEO東京ドーム」
依頼№52『爆女』
開始。
いきなりだが、
僕達はスティシー・ラヴの所在地 (?)に赴く。
なぜなら封筒の中にもう一枚、
どこかの住所が書いている紙が入っていたからだ。
僕達といったが今回の依頼は楓さんとのタッグではない。
神谷処刑事務所の受付嬢でもありAランク処刑人の、
魔夜さんとの初タッグだ。
まぁ魔夜さん曰く、
「須藤さん一人ではまだ不安です」
だそうだ。
Bランクの処刑人となった僕だが、まだ信頼は薄いみたい。
神谷処刑事務所は本日は休業だ。
休業と言っても現在進行形で依頼をこなしているのだけれども・・・・・・
愛車エアドライブで住所の場所へと赴く。
車内の会話風景。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
会話が発生しないよ。
助手席に金髪の美女を乗せているという最高のシチュエーションなのに、
僕は女性との会話に本当に慣れていない。
まぁ魔夜さんが食べるのが好きだということがわかったので、
それで話題を振ってみよう。
「魔夜さん。いつも食事はどうしているんですか?」
「どういう意味ですか。須藤さん」
「この前沢山、肉を食べていましたよね?」
「それがなにか?」
「あれだけ食べてそのプロポーションを維持しているのが凄いなと思いまして」
「適度な運動と適度な食事それだけです」
「あれが普段の食事量なんですか?」
「普段からあれだけ食べますがなにか」
「・・・・・・そうですか」
会話終了。
適度な食事があの量なのかよ!!
本当に女性はよくわからないところがあるな。
僕が会話下手ということもあるけど。
魔夜さんの個人情報をもっと聞き出したかったよ!!!
エアドライブのオート運転で目的地に到着、
着いたところは港の廃倉庫前。
自動でドアを開け二人で降りる。
そして廃倉庫のシャッターを開けた。
ガララララララ、ガシャン
倉庫の中に一人、
スティシー・ラヴは佇んでいた。




