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憎しみ忘れて今夜は騒ごう

014


「ヴィンセント・ゴールドマンをぶっ殺す。それが私の目的!生きる理由!!」

楓さんは涙ながらに僕に過去の話をしてくれた。

それが楓さんがあんなに興奮した理由。

僕はなんて愚かな行為をしたのだろう。

もっと調べてから動けば良かった。

この一日が戻ればいいのにと心から思う。


「うわーーーーーーん」


子供のように泣き叫ぶ楓さんを僕は抱きしめる。

力強く。

楓さんの涙は止まらなかった。

僕は楓さんをひどく傷つけた。


「・・・・・・正一」

「なんでしょう。楓さん」

「離せ~この童貞!!」

ゴスッ

「うぐっ!!」

僕の腹を狙った的確なパンチ。

僕は前かがみにしゃがみ込む。

その時に僕の顔が楓さんの胸に

ボヨン!と当たった。

「わざとだろ~この変態!!」

バギャ!!

膝蹴りをモロに顎に受けて後ろに吹き飛ぶ僕。

歯が何本か折れる感触があった。

ドサッ

僕は仰向けに地面に倒れた。


「アハハハ、笑える」

楓さんの顔が笑顔になった。

「おもいっきり泣いて暴力をふるったらスッキリしたわ」

「・・・・・・楓さん」

僕は口から血を流しながら立ち上がろうとする。

「ほら。手。よっと」

楓さんに手を握られ起こされる。

片手でだ、なんか情けない構図だ。

「ありがとうございます」

僕はスーツに付いた砂ほこりを払う。

「―無謀な夢なんだけどね」

「・・・・・・ゴールドマンを殺す夢ですか?」

「うん。今の私では絶対叶わない。まだあいつとの距離が遠すぎる。

あいつは非道で外道で下劣で卑怯な男だけど、強さは本物。

五回位奇襲をかけたことがあるけど、赤子のように捻られたわ。

本来処刑人同士の依頼以外の私闘は禁止されてるんだけどね」

「それを知ってて過激ですね」

「ニヒヒ。照れるわよ」

「褒めているわけじゃありませんよ」

某国民アニメみたいなやりとりだ。


「さ。仲直りもできたみたいだし、店に戻るぞ」

社長がブランコに乗りながらそう言った。

回想シーンにあんたずっとブランコに乗っていたんかい。

そのまま社長は凄い勢いでこぎ、おもいっきりジャンプして。

月面宙返りをして着地した。

十点 十点 十点 十点 十点

満点です。


「今日は飲むわよー。食うわよ~。正一ー」

僕の腕に抱き付いてくる楓さん。

豊満な胸が腕に当たる。

「もう酔っぱらってませんか。楓さん」

「酔ってねぇレロ」

レロって

一応あなたは未成年です。あと明日学校でしょ。

昔の法律ならば補導されてます。

酒が今更まわってきたのだろうか?

社長と酔っ払い一人を連れて店に戻る。

もう楓さんの前でゴールドマンの話はよそう。

これは僕と楓さんの約束。

夜のNEO東京の小道を歩く。

店につくとそこにはとんでもない光景がそこにあった。


山のように盛り重なった焼肉の皿の数。

そんなスリムな身体でどうやって食べたのだろう。

魔夜さんが一人で大量の焼肉を食べていた。

「皆さん。お疲れ様です」

ツラーとした顔で魔夜さんが出迎える。

「しまった。魔夜がいたのを忘れていた」

社長が顔を手で覆う。

「魔夜さんは大食いなんですね」

「まだ腹六分です」

まだ入るんですか?

「まぁ今日は祝いだ。好きなだけ食え。飲め。」

僕達も席に着席する。

「正一~。祝いだ~。血ぃ吸わせろー」

ガブッ

「グギャーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」

酔っぱらっているのか、

いつも以上に楓さんの噛みつき吸血は強烈だった。

「ギャーギャーギャー」


今日の楽しい宴は深夜二時まで続いた。


『¥1,580,000』

百五十八万円。

ちなみに今夜の焼肉パーティーの代金だ。

殆ど魔夜さんが食べたものだけれど。


超高級焼肉店って怖いね~。

神谷剛三 談。


須藤正一 二十四歳

Eランク処刑人からBランク処刑人に昇格。

「追憶」

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