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⑧フレディの悪夢 1899年12月24日 夜10時半

フレディは三日月のように、幽かに震える。


フレディ「俺の哀れな一族の話を始めるかァ・・・アヴァロンの庭師と、ジプシーの女狩人の混血児・・・人狼の影と戦い続ける悪夢を・・・」


フランクの目が輝いた。


フランク「なんだって!君が、あの・・・、聖地アヴァロンの盾と呼ばれた、庭師の末裔か。」


ショーンの眉毛が吊り上がる。マリアンヌは目を大きく見開いた。


クリス「ふん、ほとんど御伽噺だ。石工ギルドを率いて、アヴァロンの領地を罠だらけにしたとか・・・館の女神像を見たら、人狼は人間に戻るとか、どれも信じられん。」


ショーン「聖水で育てたすみれの花に、人狼が寄り付かないことを発見したのが、君のお父君だったな・・・ご立派なことだ!それで金儲けをする前に、どこもかしこもすみれの花だらけになったもんで、僕ぁ、嫌気がさしたんだがねぇ!」


フランク「新婚旅行はアヴァロンに行けってね。ごくつぶしでも、アヴァロンに行きたがるなら人間の男、逃げ出したら人狼だ・・・君のお父君の功績だ。」


ビル「ふん、しかし狼憑よ、あんたの両親は、幼いあんたの目の前で人狼に殺されたと聞いておるぞ。わしが聞きたいのはその話じゃ。」


クリス「・・・これは、世紀末にぴったりの話題だな。金になる話じゃあ無いが・・・御伽噺の結末に興味がある。なんせあんたの一族は百年間、人狼に人殺しをさせなかったんだからな。」


ニック「やれやれ、伝説がいかに朽ち果てたのか、皆興味があるようだ。」


フレディは、不気味な笑みを浮かべた。


フレディ「ククク・・・この中に人狼が居るのなら、残念なことだ・・・・伝説は、終わっていない・・・伝説は、俺を毎晩、殺しに来るんだ・・・」


マリアンヌはそっと目を閉じた。

フレディの奥側。

爬虫類のように冷えた横顔の裏で、ドロドロとした熱い血が流れている。


鉄の匂い。古い傷口の匂い。暗闇に生きる者の匂い。


ふいに、フレディがマリアンヌのほうを見遣る。

暖炉の火が、意味ありげにひとつ爆ぜた。

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